歓迎式典
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次回の更新は明後日です。
王都での滞在は四日間。
初日は歓迎式典、二日目と三日目が交流戦。四日目は王都観光(自由行動)になる。
俺は歓迎式典の前に、王都に住んでいる家族と再会した。
「それじゃあ、明日は外泊するの?」
「うん。家族と一緒に食事をして、そのまま家に泊まるよ。外泊の許可も貰った」
歓迎式典の最中、アミと二人で壁際に並んで立ちながら、世間話に花を咲かせる。
交流戦のメンバーとはいえ、俺とアミは補欠であり、しかも今回が初参加なので、この場に知り合いもいないし、注目もされていないのだ。交流戦の雰囲気に慣れておくために一年生が補欠になることは、わりとよくあるらしい。
「あ。シノブ、見て。今、壇上で挨拶しているの、王女様だよ」
「え?」
アミの言葉に反応して壇上に目をやると、たしかに、アカデミーの制服を着ているものの、他の生徒とは明らかに異なる雰囲気を醸し出している女生徒がいた。懇親会を兼ねたユルい雰囲気の式典ではあるが、さすがに壇上近くの生徒は神妙な顔で話を聞いている。
「王女様もアカデミーの生徒なの?」
「今年で卒業じゃないかな。生徒会長として式典に出席しているみたい」
「来賓みたいなものか」
王族が生徒会長というのも、本校ならではだ。アカデミーは士官学校なので、軍に影響力を持つために、生徒会のメンバーは王族や貴族でがっちり固められているのかもしれない。派閥争いなんてものまであるとしたら、庶民としては、関わり合いたくない話だ。
「そういえば、王位の継承をめぐって、王女と王子がバチバチに争っているって噂があるけど、本当なのかな?」
俺が、前の周回でラップから聞き出した情報を持ち出して尋ねると、アミは首を傾げた。
「どうなんだろうね? そういう噂はたしかに聞いたことがあるけど。アセビの町にいたら、実際のところは分からないよね」
「田舎で暮らしていたら、あまり関係無い話だからなぁ」
とはいえ、誰が国を統治するかというのは、当たり前だが、国の将来を左右する重要な問題だ。なにしろ、政情が不安定になった獣人の国は、一年後にアセビの町を襲撃することになるのだから。
(そっちも忘れないようにしないといけないな)
実は、前回の最後を踏まえて、今回はかなり早い段階から獣人の国について情報収集をしているのだが、誰に尋ねても、返ってくるのは異口同音に「獣人国は同盟国である」という回答ばかり。どうやら、現時点では、まだ、獣人の国は政情不安定に陥っていないようだ。
その後、俺とアミが四日目の自由行動の日に立ち寄る予定のカフェについて話し合っていると、ある女生徒が俺たちの前で立ち止まった。
分校の生徒ではない(見覚えが無い)ので、本校の生徒だろう。ひと目見ただけだが、なんとなく「貴族だな」と直感した。何というか、ちょっとした仕草や立ち居振る舞いが、庶民とは違って洗練されており、上品なのだ。
貴族だと思われる女生徒は、俺とアミを見て、口元に薄笑いを浮かべた。
「何を話しているのかと思えば……。もう、交流戦が終わった後の予定を立てているなんて、意識のお低いこと。分校だからなのか、補欠だからなのかは、知りませんけれど」
何を言われるのかと思いきや、女生徒は俺とアミにテンプレのような嫌味を吐き捨てると、勝ち誇った様子で立ち去ってしまった。
「何あれ?」
アミも呆気に取られているが、俺も同じ気持ちだ。
こういう時、何の脈絡もなく突っ掛かってくる相手は、噛ませ犬だと相場が決まっている。分校でいうところのラップのような存在だと思っておけば、間違いないだろう。
今回、俺は補欠だが、いつか正規メンバーとして交流戦に参加することがあれば、先程の女生徒と対戦する未来もあるのだろうか?
その時の俺は、そんなことを考えていたのだが――――
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