↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/92

はじめての交流戦

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「そこまで! 勝者エスタ!」


「あざました!」


 ものの見事に返り討ちにされた俺は、地面に両膝をつき、片手で腹を擦りながら、土下座をするように頭を下げた。


 まさか、あんな無理な体勢から反撃してくるとは思わなかった。カウンター気味に横薙ぎの一撃を胴体に食らって、俺はすぐには立ち上がれなかった。


「最初の攻撃は良かったぞ。相手の根性が上回った……というよりは、A組の意地を見せられた感じだな。ま、運が悪かったと思え」


 ペダルも珍しく、欠点を指摘するのではなく、良かったところを褒めてくれている。客観的に見ても、先程の俺の攻撃は惜しかったようだ。


「あざました……」


「こちらこそ」


 俺が健闘を称えて対戦相手と握手を交わすと、向こうもしっかりと手を握り返してくる。なかなか爽やかで良い奴のようだ。ラップの完全上位互換だと言えるだろう。


「交流戦でも……頑張ってください」


「凄く悔しそうに言うんだね。了解。頑張るよ」


 A組の生徒は力強く頷いた。


     *


 エスタという生徒は、剣の腕前に関しては、A組の中でも最強格らしい。


 俺に勝利した後、エスタは次の試合でも勝ち星を積み重ねて、交流戦のメンバーにあっさり内定した。


 交流戦に出場できるのは、予備の補欠も含めて総勢十人ほど。毎年、定員の倍以上の生徒が出場を希望するため、少なくとも選抜試合で一回以上は勝利しなければ、交流戦のメンバーに選ばれることは無いと言える。


 つまり、今回も俺は交流戦のメンバーになれなかった――――はずなのだが。


 ここで、奇跡が起きた。


 なんと、エスタが選抜試合で足首を痛めて、交流戦への出場を辞退したのである。


 どうやら、俺との試合で、無理な体勢から反撃を繰り出した際に足首を捻ったらしく、そのまま次の試合も戦ったため、怪我を悪化させてしまったとのこと。


 そして、エスタの辞退により補欠へと繰り上がったのが、なぜか俺だったのだ。


「どういう風の吹き回しか知らんが、エスタ本人がお前を推薦してきた。俺としても、B組の生徒が一人くらいいても良いと思っていたから、特に断る理由も無かったわけだ」


 補欠だけど引き受けるよな? と。


 ペダルから確認されたため、俺は二つ返事で了承した。


 王都への出発の日、アカデミーの正門前には多くの見送りの生徒が集まってくれた。


「シノブくん、やったね! 同じB組として鼻が高いよ! 頑張ってきてね!」


 クランが興奮気味にはしゃぎながら、俺の手を取り、激励の言葉を掛けてくる。


 それを見て、ラップが不満そうにフンと鼻を鳴らした。


「選ばれたと言っても、補欠だろ? 王都の観光だけして、帰ってくることになるさ」


「ふふ……。負け惜しみか? そいつはみっともないぜ?」


 俺は余裕の笑みで勝ち誇りながら、ラップにマウントを取った。


 補欠だろうと何だろうと、選ばれたのはラップではなく、俺なのだ。


 ちなみに、ラップの選抜試合の結果はと言うと、最初の試合で俺と同じようにA組の生徒と対戦し、何の見せ場も無く敗退したらしい。


「くそっ、調子に乗りやがって……。俺に勝ったA組の奴だってちゃんと交流戦のメンバーに選ばれているんだから、お前が俺に勝ったことにはならないだろ!」


「そうだね」


「そのドヤ顔、やめろよ!」


 むかつくんだよ、と。


 ラップが俺の胸倉を掴もうとしたところで、ペダルが仲裁にはいった。

評価、ブックマーク、いいね、感想などをもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。