はじめての交流戦
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です。
「そこまで! 勝者エスタ!」
「あざました!」
ものの見事に返り討ちにされた俺は、地面に両膝をつき、片手で腹を擦りながら、土下座をするように頭を下げた。
まさか、あんな無理な体勢から反撃してくるとは思わなかった。カウンター気味に横薙ぎの一撃を胴体に食らって、俺はすぐには立ち上がれなかった。
「最初の攻撃は良かったぞ。相手の根性が上回った……というよりは、A組の意地を見せられた感じだな。ま、運が悪かったと思え」
ペダルも珍しく、欠点を指摘するのではなく、良かったところを褒めてくれている。客観的に見ても、先程の俺の攻撃は惜しかったようだ。
「あざました……」
「こちらこそ」
俺が健闘を称えて対戦相手と握手を交わすと、向こうもしっかりと手を握り返してくる。なかなか爽やかで良い奴のようだ。ラップの完全上位互換だと言えるだろう。
「交流戦でも……頑張ってください」
「凄く悔しそうに言うんだね。了解。頑張るよ」
A組の生徒は力強く頷いた。
*
エスタという生徒は、剣の腕前に関しては、A組の中でも最強格らしい。
俺に勝利した後、エスタは次の試合でも勝ち星を積み重ねて、交流戦のメンバーにあっさり内定した。
交流戦に出場できるのは、予備の補欠も含めて総勢十人ほど。毎年、定員の倍以上の生徒が出場を希望するため、少なくとも選抜試合で一回以上は勝利しなければ、交流戦のメンバーに選ばれることは無いと言える。
つまり、今回も俺は交流戦のメンバーになれなかった――――はずなのだが。
ここで、奇跡が起きた。
なんと、エスタが選抜試合で足首を痛めて、交流戦への出場を辞退したのである。
どうやら、俺との試合で、無理な体勢から反撃を繰り出した際に足首を捻ったらしく、そのまま次の試合も戦ったため、怪我を悪化させてしまったとのこと。
そして、エスタの辞退により補欠へと繰り上がったのが、なぜか俺だったのだ。
「どういう風の吹き回しか知らんが、エスタ本人がお前を推薦してきた。俺としても、B組の生徒が一人くらいいても良いと思っていたから、特に断る理由も無かったわけだ」
補欠だけど引き受けるよな? と。
ペダルから確認されたため、俺は二つ返事で了承した。
王都への出発の日、アカデミーの正門前には多くの見送りの生徒が集まってくれた。
「シノブくん、やったね! 同じB組として鼻が高いよ! 頑張ってきてね!」
クランが興奮気味にはしゃぎながら、俺の手を取り、激励の言葉を掛けてくる。
それを見て、ラップが不満そうにフンと鼻を鳴らした。
「選ばれたと言っても、補欠だろ? 王都の観光だけして、帰ってくることになるさ」
「ふふ……。負け惜しみか? そいつはみっともないぜ?」
俺は余裕の笑みで勝ち誇りながら、ラップにマウントを取った。
補欠だろうと何だろうと、選ばれたのはラップではなく、俺なのだ。
ちなみに、ラップの選抜試合の結果はと言うと、最初の試合で俺と同じようにA組の生徒と対戦し、何の見せ場も無く敗退したらしい。
「くそっ、調子に乗りやがって……。俺に勝ったA組の奴だってちゃんと交流戦のメンバーに選ばれているんだから、お前が俺に勝ったことにはならないだろ!」
「そうだね」
「そのドヤ顔、やめろよ!」
むかつくんだよ、と。
ラップが俺の胸倉を掴もうとしたところで、ペダルが仲裁にはいった。
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