二度目の選抜試合
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次回の更新は明後日です。
「いいだろう。身の程知らずのお前をコテンパンにしてやるよ」
「簡単に勝てると思ったら大間違いだぞ。俺は、お前が鍛錬を怠っている間にも、毎日、剣を振り続けてきたんだからな」
吠え面をかかせてやる、それはこっちのセリフだ、と。
俺とラップは至近距離からメンチを切り合い、互いに罵倒と挑発を浴びせてから別れた。
「――――さて。二人とも、お待たせ。帰ろうか」
「……シノブ。切り替え、早いね」
「あんなこと言って、大丈夫だったの?」
アミとクランが、呆れ半分、心配半分の表情で、俺を見る。
「ラップくん、訓練はサボりがちだけど、結構、強かったはずだよ?」
「なんとかなるさ」
ラップのやる気スイッチが入る条件は、過去のループの中で既に解明されている。それは、ずばり「剣の実力で俺に抜かれそうになった時」だ。
そのため、俺は次の選抜試合でラップに確実に勝利するために、ラップのやる気スイッチが入らないように、今の今まで直接対決を避けてきたのである。
すべては選抜試合を勝ち抜いて、交流戦のメンバーに選ばれるため。
ラップには、多くの生徒が見守る中、俺に惨敗するという屈辱を味わってもらうとしよう。
俺は、ラップに初勝利する瞬間を待ちわびながら、選抜試合の日を迎えた。
*
「次は、B組のシノブ・テンドーと、A組のエスタ・レント。二人とも前へ」
「……は?」
初戦でいきなり名前を呼ばれて、俺は面食らった。
「どうした? お前の番だぞ」
ペダルが不思議そうに首を傾げながら、さっさと壇上に上がるように、俺を促す。
「なんで、自分の対戦相手がいきなりA組なんですか?」
「なんでと言われても……。元々、この選抜試合は、向上心のあるB組の生徒にもチャンスを与えるためのものだからな」
そもそも、A組の生徒に勝たずに交流戦のメンバーに選ばれるわけないだろ、と。
ペダルは当然のことのように言った。
(なるほど……。そういうことか)
前の周回で、俺がラップと対戦したのは、俺がC組の生徒だったからだ。今回、俺はB組に所属しているので、例外的な取り扱いではなく、原則どおりA組の生徒に挑戦しなければならないらしい。
(当たり前といえば、当たり前か)
最初に振り分けられるクラスがC組かB組か。その程度のことでも、未来は変わってしまうらしい。俺は改めて、ゲームとは異なる現実世界のフラグ管理の難しさを実感した。
見物席に目をやると、そこには応援に来てくれたらしいアミとクランの姿がある。
そして、最前列には、木剣を手に握り締め、自分の出番を待っているラップの姿があった。目と目が合うと、ラップは「ざまーみろ」と言わんばかりに口角をつり上げて見せる。
(勝ち誇っているみたいだけど、この後、お前もA組の生徒と当たるんだぞ)
はっきり言って、俺の作戦(策略)により、やる気スイッチを不発にさせられたラップに、A組の生徒に勝てる道理はない。この時点で、ラップの敗北はほぼ約束されているのだ。
つまり、俺がこの試合で金星をあげれば、ラップにも間接的に勝利できるのである。
俺はゆっくりと深呼吸をして、試合用の木剣を構えた。
「いいでしょう。A組の生徒もいずれは越えなければならない壁ですから。いずれではなく、今日、越えて見せますよ」
「俺は、お前のその根拠の無い自信と、底無しの向上心。わりと評価しているからな」
せいぜい頑張ることだ、と。
中立であるべき立場なのに、堂々と俺に声援を送った後、ペダルは試合開始を宣言した。
「うおおお! 先手必勝!」
試合開始と同時に、俺は木剣を前に突き出すようにして、突撃した。
相手がA組の生徒である以上、実力はラップよりも上のはずだ。
技術で上回る相手には、受けに回ったらまず勝てない。こちらの攻撃を冷静に対処させても同じだ。
格下の俺がジャイアントキリングを起こすには、勢いを上乗せして攻め立て、相手に冷静な判断をさせないことが重要なのである。
「でや!」
「!?」
想定していたよりも、かなり重い攻撃だったのだろう。
最初からガードさせる目的で振り下ろした木剣は、狙い通り、A組の生徒のバランスを崩すことに成功した。
「もらった!」
体勢を崩したところに、頭上から再び振り下ろす一撃。
完璧な間合い。そして、完璧なタイミングだった。
俺は勝利を確信して木剣を振り下ろした。
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