はじめてのB組
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です。
クラス分け試験でB組になったことの恩恵は、かなり大きい。
まず、シンプルにクラスメイトが強くなる。
勿論、C組の生徒を馬鹿にする(侮辱する)わけではないのだが、やはり、士官学校である以上、上のクラスになればなるほど、実力も向上心もある生徒が増えるのは事実だ。長期的な目標として「A組になること」を掲げている俺にとって、切磋琢磨し合えるクラスメイトのいる環境というのは、それだけでありがたい。
また、王都で開催される交流戦のメンバーを決める選抜試合に、B組の生徒ならば無条件で参加できるのも嬉しい。前の周回の俺は、特例措置により例外的に参加を認められていたようだが、毎回、特例措置が発動するとは限らないので、やはり、B組になれたことの意味は大きいと言える。
そして、何といっても――――
「クラン・アーベントイヤーです。よろしくね」
「……ラップだ」
記憶にリセットが掛かっているせいで、顔を見てもそれが誰なのか判別できなかった俺は、選挙期間中の政治家よろしくクラスメイトに挨拶をして回り、三十人以上に話し掛けた後で、ようやく目当ての人物を探し当てることに成功した。
クラス分け試験でB組になれたことによる最大のメリット――――それはラップとクランの二人と、初日に知り合えることだ。二人とも、過去の周回で俺が「重要人物」だと位置付けていたため、この二人と初日に出会えることの意味は大きい。将来、高確率で発生する幾つかの問題を解決する上で、大きなアドバンテージを得たと言えるだろう。
「ふふ……。ようやく見つけたぜぇ……」
「ひっ!?」
「何だ、お前!? 近寄るな!」
喜びのあまり、標的をロックオンしたと言わんばかりに、俺が握手したままニヤニヤと笑い出したせいで、二人から明らかに警戒されてしまったことについては、とても大きなビハインドを背負ったと言わざるを得ないのだか。
まあ、好感度や親密度に与えるデメリットとしては誤差の範囲内だろう。……多分。
*
『一年目の一学期(攻略ノートより)
重要人物だと思われるB組のクラスメイト。
一人目「ラップ」
ナンパ野郎。その正体は、アセビの町の町長の息子。貴族ではなく平民らしい。
剣の実力は(「明らかに格上」の文字が削除されている)少しだけ格上。今後の努力次第で上回れるとは思うのだが、俺と実力が拮抗すると、本人が焦りを感じて一生懸命に自己鍛錬をするようになるので、なかなか追い抜けない。
町長の息子だが、周囲にはそれをアピールしていないので、わりと良い奴なのかもしれない。
また、その立場上、父親の会話を小耳に挟む機会が多いようで、機密性の高い情報を知っている。そして、それらを「誰にも言うなよ」と念を押すだけで簡単に教えてくれるので、情報屋としての利用価値が高い。単純バカ。
二人目「クラン」
高確率(多分、確定で)一学期の後半に発生する失踪事件の被害者になる。
事件は、表向きには遭難事件として処理されるが、その実態は奴隷商(人買いグループ)による人攫いであり、当然、犯罪。悪を許すな。絶対に阻止すること。
事件当日の本人の行動に干渉することで、未来を変えられる可能性はある。最悪、嫌われるのを覚悟で、こっちが拉致してしまえばいい。』
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