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何度でもやり直す

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

     ・


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     ・


 ――――なんやかんやあって。


 無限ループする世界に転移することを決めた俺は、ノートに残された過去の周回についての情報に目を通した後、最終日の出来事について、プリムラから報告を受けた。


「えーと。なぜか、私が付けていた最終日の記録によると、そういうことみたいですねぇ」


「一年が経過するくらいのタイミングで、獣人の国が攻めてくるのか」


 力を合わせて、一緒に魔王軍と戦っていたはずの友好国が、突然、裏切って攻めてくる。


 これはファウル王国(人間の国)にとっては、大きな痛手のはずだ。獣人の国が裏切ることで、南と西の二正面作戦を強いられることになる。膠着していた魔王軍との戦線が、一気に劣勢に傾いてしまうかもしれない。


 しかも、奇襲によってアセビの町が(恐らく)壊滅的な被害を受けてしまうので、アセビの町でループをスタートする俺にとっても、これは痛い。上手く立ち回らなければ、最初の一年で何度も死ぬことになってしまう。


(というか、これって回避することはできないのか?)


 獣人の国の裏切りが確定事項だとするならば、難易度としてはかなりのハードモードだ。


 今のところ、裏切りについて関係ありそうな情報といえば、町長の息子のラップから聞いた「王女が失踪している」と「国内の政局が不安定」の二つだろう。


 話を聞いた直後の俺は、王女が失踪しているから跡目争いで揉めているのではないかと考えたようだが、その結果、ファウル王国に対して敵対的な派閥(勢力)が勝利したということなのだろうか?


 俺一人が助かるだけならば、自分以外のすべてを見捨てて、前日に町の外に避難してしまえばいいのだが……。


(結局、それができなくて、前回は死んでいるみたいだからなぁ)


 やはり、一年も一緒に過ごせば、簡単に見捨てられないくらいには、感情移入してしまうということなのだろう。


「ま、今回も色々と調べながらやっていくしかないか……」


 俺はため息を吐きつつ、転移させてほしいと依頼するため、プリムラを見た。


 すると、プリムラは自分の書いたノートを見ながら、首を傾げていた。


「どうかしましたか? 何か、気づいたことでも?」


「いえ……。なんだか、最終日のシノブさん、カッコ付けてるなぁと思いまして。……本当にこんなことしました? 嘘なんじゃないですかぁ?」


「書いた本人がそれを言ったら、そこに書いてあること、何も信じられなくなるだろ」


 いい加減にしろよ、と。


 俺は冷静にツッコミを返しながら、無限ループする世界に転移した。


     *


「よし。B組だ」


「あざました!」


 ペダルに返り討ちにされた俺はその場に座り込み、肩で息をしながら丁寧に頭を下げた。


「勢い任せに突っ込んでくる傾向はあるが、一応、剣術の基礎のような動きはできていたな。どこかで習っていたのか?」


「習っていたというよりは、日々の積み重ねの成果ですね。毎日、同じ練習を繰り返すことで、体に最適な動きが染みついていたようです。勝つための……ね」


「ははっ。達人みたいなことを言うじゃないか。……B組だからな?」


 そういうことはA組になった時に言う方がカッコいいぞ、と。


 ペダルから、ごもっともな指摘をされてしまった。


 だが、ループしても強さにリセットの掛からない「強くてニューゲーム」の恩恵は、確実に結果という形で現実に反映されている。今回、初めてクラス分け試験でB組スタートになることができた。


(過去の周回の自分に感謝だな)


 頭の中でイメージする自分の動きよりも、遥かに力強く剣を振ることができたし、どれだけ激しく動き回っても、スタミナが切れなかった。


 特に驚いたのは、ペダルの攻撃を木剣で受けようとした時に、体が勝手に動いたことだ。まるで、何度も繰り返した攻撃や防御の「型」を、体が覚えているかのようだった。


 ループする度に記憶にリセットが掛かるとしても、体に染みついた動きを「経験」という形で持ち越すことができるのであれば、今後は弓や魔法に取り組むのもありなのかもしれない。


 幸いなことに、魔法に関してはアミという極めて師事しやすい存在がいる。アカデミーの教官に教えを請うとなると、ある程度、ガチで取り組む必要が出てくるが、軽い気持ちで「試しに習ってみる」には、A組の生徒で、しかも幼馴染のアミは理想的な先生なのだ。


(機会があったら、アミに魔法について聞いてみるか)


 頭の中で今後のスケジュールをまとめつつ、俺は編入手続きの列に並んだ。

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