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幼馴染ヒロインの好感度について

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「じゃあ、明日、俺の命に関わる何かしらのイベントが発生すると思うので。それを記録しておいてください。もし、死んでしまっても、その情報が次の周回で役立ちますので」


 その日の夜、いつものようにプリムラの仕事部屋に呼び出してもらい、一日の出来事をノートにまとめた後、以前から約束していた記録代行の依頼をする。


「お任せくださいっ!」


 プリムラはやる気に満ち溢れた表情で「ふんすっ」と意気込んで見せた。


「シノブさんの死に様を、ばっちり記録させていただきます!」


「一応、生き延びる努力はするからね?」


 なので、絶対に死ぬという前提で話をするのは、やめてもらいたい。


「生き残るつもりなんですかぁ?」


「何だよ、その言い方は」


 いくら死ぬ確率が高くても、座して死を待つのは馬鹿のすることだ。


 生きていれば明日が来るのだから。


 俺としては、どんなことをしても生き残りたいと思っている。


 なんなら、起床したらすぐに家を出て、一日中、どこかに身を隠していてもいいのだ。


 今回はプリムラが記録を残してくれるので、仮に生き残れなかったとしても、その結果を次の周回で活かすことができる。


 俺は改めて、今日までに書き溜めた攻略ノートをぱらぱらと見返した。


(一年足らずの期間ではあったけれど……)


 本当に、いろいろなことがあった。


 悲しかった事件も、楽しかったことも。


 心残りがあるとすれば、幼馴染であるアミとの関係が、まるで進展しなかったことだ。


 無限ループの原因を突き止めて解消するという、本来の目的とはまったく関係無いことではあるのだが、ギャルゲーフリークの俺としては、やはり、幼馴染キャラとは仲良くなりたいというか、攻略対象として見てしまうのである。


 だが、どれだけ一緒に行動しても、好感度を高めるようなことを言っても、アミとの関係はいつまで経っても「幼馴染」のままだった。


(まあ、しゃーない)


 いくらギャルゲーの神様が管理者を務めているギャルゲーみたいな世界だとしても、これはゲームではなく、現実なのだから、幼馴染と簡単に恋仲になれるわけがないのだ。


 それに、純粋なゲーム目線で考えても、最初から好感度が高いはずの幼馴染ヒロインを、なぜか攻略できないという現象は、そこまで珍しいものではない。


 幼馴染のようなキャラには好感度に天井が設定されていて、普通にプレイしていたら恋人になるのに必要なところまで、好感度が上昇しないようになっていることがあるのだ。この仕様により、幼馴染に特有の「異性として意識されていない」感じを表現しているのである。


 この好感度の天井を取り除く方法は、一つしかない。専用のイベントを起こして、好感度を上限突破させればいいのだ。


 例えば、困っているところを助けるとか。


 試験で優秀な成績を残すとか。


 あえて他の女子と仲良くして、嫉妬心を掻き立てるとか。


 要するに、幼馴染ヒロインに主人公を「魅力的な異性」として再認識させればよいのだが、アミの場合にこの理屈を当てはめると、好感度の上限を突破するトリガーイベントは、十中八九、アカデミーのクラス分けでA組になることだと思われる。


 同じクラスになることで、必然的にアミと一緒にいる時間も増えるし、なにより実力で隣に並び立つことができる。今まで手間のかかる弟みたいに思っていた存在が、いつの間にか自分の手を引いてリードしてくれる存在に変わるのだ。アミからすれば、こんなの異性として意識しないわけにはいかないだろう。


 問題があるとすれば、A組の生徒になるのは容易ではないということ。


(いつになることやら……)


 俺はため息を吐きつつ、現実の世界に戻った。

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