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予選敗退

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「そこまで! 勝者ラップ!」


「あざした!」


 ラップに返り討ちにされた俺は、地面に両手両膝をつき、肩で息をしながら、土下座をするように頭を下げた。


「ど、どうだ! 実力差を思い知ったか!」


 ラップもその場に座り込み、肩で息をしている。


「まあ、圧勝ではなかったものの、実力差は明白だったな」


 ペダルが忌憚のない意見で試合内容を寸評する。


「シノブは、クラス分け試験の時と比べると見違えるほどに上達したが、勢いだけで押し切ろうとして、攻めが単調になる時がある。引き続き精進するように」


「うす!」


「逆に、ラップは技術で上回っているものの、体力では負けていたぞ。上を目指すのであれば、もっと真面目に訓練に取り組むように」


「は、はい……」


 俺とラップは立ち上がり、握手をして、互いの健闘を称えた。B組とC組の生徒の試合ではあったものの、試合前の口喧嘩などで盛り上がっていたため、見物していた生徒も多く、ぱらぱらと拍手が起きた。


「次は絶対に負けないからな……!」


「俺だって……! お前なんかに負けて堪るか……! ぜぇ……ぜぇ……」


 負けたことは悔しいが、正々堂々と戦った上での敗北なので、受け入れなければならない。


 ここが、今の自分の最高到達地点なのだ。


「ぐぬ……! つ……次……」


「あ?」


「次も……。ぐぬ……がん……頑張れよ」


「言いたくないなら、別に言わなくてもいいだろ!」


 俺は、まだ肩で呼吸しているラップにしかめ面で激励の言葉を掛けると、悔しさ全開で試合会場を後にした。


「シノブ、見てたよ。惜しかったね」


 すかさず、アミが俺を追いかけてきて、慰めの言葉を掛けてくれる。


「言うほど惜しかったかな?」


「勢いでは押してたよ!」


「勢いでゴリ押ししようとしているって、さっき注意されたからね」


 もう少し冷静に相手の動きを見極めなければ、自分の攻撃を先に当てることはできないということなのだろう。


「私は、勢いがあることが悪いとは思わないけどなぁ」


「それでも、相手の方が格上だと、冷静に対処されちゃうからね。こっちも、相手の動きをよく見ないと」


 そう言って、俺が先程の試合を振り返り、どう動けば勝てたのかを脳内シミュレーションしていると、アミは自嘲するように感嘆のため息を吐いた。


「シノブは偉いね。私なんか、結局、選抜試合にも出なかったのに」


「出る、出ないは、その人の自由だよ。引け目を感じることじゃない」


「そういうふうに考えられるところも、シノブの凄いところだと思うよ」


 アミは嬉しそうに何度も頷いて、


「……私も、変わらないといけないのかもね」


 しみじみと、そんなことを呟いた。


 後日、選抜試合を勝ち抜いたメンバーが、アカデミーの本校で開催される交流戦に臨むべく、馬車に乗って王都へ向かった。


 そのメンバーの中に、ラップは入っていなかった。


 俺に勝利した後、次の試合でA組の生徒にあっさりと敗北したらしい。


 そして、そのA組の生徒も、交流戦では本校の生徒に敗北してしまったそうだ。


 士官学校の生徒のレベルでさえ、上には上がいる。


 それでも――――強くてニューゲームの効果を信じて、努力を続けていれば、いつかは俺が交流戦で優勝するような世界線もあり得るのだろうか?


 気が遠くなるような未来を想像してしまい、俺は気合を入れ直した。

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