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当然の選択

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「交流戦のメンバーになれたら王都に行けるから、それを狙っているんだよね」


「あー、そっか。選抜試合に申し込めるの、A組とB組の生徒だけだもんね。だから、シノブ、頑張ってたんだ」


「うん。まだまだ遠い道のりだけど。……ところで、アミは選抜試合に申し込むの?」


 なんとなく尋ねると、アミは途端に表情を曇らせた。


「先生には、魔法部門で出るように言われているんだけどね……。個人的には気乗りしないんだよなぁ。私、戦闘とか好きじゃないし」


「そっか」


「もし、シノブが交流戦のメンバーに選ばれたら、私も参加するよ」


 だから頑張ってね、と。


 アミは冗談めかして笑ったが、俺は内心でキュピーンと目を光らせていた。


 これは間違いなく、イベントフラグだ。


 俺が交流戦のメンバーに選ばれれば、アミと一緒に王都に行くことになり、そこで通常よりも早いタイミングで家族と会うことになるし、本校の選抜メンバーとも交流することになり、未来が大きく変わる可能性が高い。


「よっしゃ! アミと王都に旅行に行くために、頑張るぜ!」


「こらこら」


 旅行じゃないでしょ、と。


 アミが俺の頭をペチンと叩いて、漫才のような会話にオチがついたところで、前方から声が聞こえてきた。


「いいじゃん。寄り道していこうよ」


「でも、私、引っ越してきたばかりで。暗くなると、道が分からなくなるから……」


「その時は、俺らが家まで送ってあげるよ」


 なんのことはない、よくあるナンパの風景だった。


 女子が一人と、男子が二人。俺やアミと同じ制服を着ているので、全員、アカデミーの生徒のようだ。

「シノブの同級生?」


「いや。C組の生徒じゃないな。見たことない」


「私も。じゃあ、上級生かB組の生徒だね」


 恐らく、この通りには飲食系の露店が多いので、下校途中の女子生徒にターゲットを絞ってナンパしているのだろう。


「女の子、困っているっぽいね」


「ニ対一だから、ちょっと怖いかもね。――――じゃあ、ちょっと止めてくる」


「え?」


 俺が当然のように、双方の間に割って入ろうとしたので、アミは驚いて目を丸くした。


「本当に行くの?」


「行くよ?」


 俺から言わせれば、逆に行かない理由が無い。ギャルゲーを嗜む者にとって、しつこくナンパされて困っている女性を見かけたら、助けるという選択をするのが当たり前だからだ。


 こんなにも分かりやすい「出会いイベント」は他に無い。


「はい、ちょっとすみません」


「は?」


 俺が強引な通行人のごとく間に割って入ると、ナンパを妨害された男子生徒はあからさまに怪訝そうな顔をした。


「もう、止めませんか? 見た感じ、脈は無さそうですし」


「何だよ、お前」


「止めないなら、大声で「ナンパは止めましょう」って叫びますよ?」


「は? おい、お前、止めろよ」


 俺が初手でいきなり最後の手段をちらつかせると、男子生徒は目に見えて動揺した。もし、そんなことをされたら、周囲から注目を集めてしまい、当面の間、この場所でナンパできなくなると理解したのだろう。


「もういいよ、行こうぜ」


 変な奴に会ったと言わんばかりに、露骨な舌打ちを一つ。二人の男子生徒は連れ立って、足早にその場から退散した。

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