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幼馴染ヒロインの位置づけ

毎日1000文字を目標に続きを書いています。

次回の更新は明後日です。

「あ、シノブ! 今、帰るとこ? それなら一緒に帰ろ?」


 この日は、帰宅時にアカデミーの校門のところでアミと鉢合わせて、一緒に帰宅することになった。


(さすがは幼馴染だな)


 最初から好感度というか、親密度が高い。


 これがゲームなら、たとえ幼馴染であっても「噂されると恥ずかしい」と言われてしまい、一人で寂しく帰宅することになるのだが、アミはちゃんと声を掛けてくれる。


 ギャルゲーにおける幼馴染ヒロインといえば、かつては攻略難易度最高クラスのラスボスであることが多かったのだが、アミはブーム後期のギャルゲーに登場する「最初からそれなりに好感度が高くて、攻略しやすいヒロイン」に該当するようだ。失礼な言い方だが、ちょろいヒロインなので「ちょろイン」と呼ばれることもある。


 これは、ゲーム制作者側の幼馴染ヒロインに対する位置づけが「最後に攻略するヒロイン」から「最初に攻略するヒロイン」に変わったことが要因だろう。ラスボス系のヒロインは、高嶺の花すぎて、一番人気にならないことも多いのである。ギャルゲーを遊ぶ層は大半が男なので、最初から好意的に接してくれるちょろインの方が、人気が出やすいのだ。


 男は単純――――この一言に尽きると思う。


「シノブ、アカデミーに入ってから、めちゃくちゃ頑張っているみたいだね」


 凄いじゃん、偉い偉い、と。


 アミはからかうように笑いながら、手を伸ばして俺の頭を撫でた。


 気安い口調や近い距離間。健全な範囲であればスキンシップに抵抗が無い感じや、背伸びをするように頭を撫でてくる絶妙な身長差まで、すべてが完璧な幼馴染だ。


(プリムラに人格とか改変されてないだろうな)


 そんなことを疑ってしまうくらい、アミは理想的な幼馴染だった。


 A組なのに、C組の俺を見くびっておらず、むしろ「やればできる子」扱いしてくれるのも励みになる。


「アミってさ。お母さん属性も持ってるよね」


「お母さん? 何それ?」


「なんかこう……何気ない言動の中に包容力があり、甘えたくなるというか」


「シノブ、寂しいの?」


 唐突に属性について語り始めたので、怪訝な顔をされてしまった。


「……でも、まあ、そっか。家族と離れて暮らしているんだもんね。寂しくなることもあるよね」


「まあ、ちょっとだけね」


 俺は照れ臭そうな顔をして頷いたが、実のところ、全然、寂しくない。


 理由は単純明快。俺にとって「家族がいる」という情報は、ただの設定に過ぎないからだ。まだ会ったことも無い家族と離れて暮らしていても、特段、寂しいとは思わない。


(前の周回では、会っていたみたいだけど……)


 ただ、その時の記憶は、世界がループする際にリセットされてしまったので、過去の周回で俺が作った(かもしれない)家族との思い出は、頭の中から綺麗さっぱり消えてしまったのである。


 そのため、次に家族と顔を合わせる時、俺は心情的には初対面なのに、久しぶりに再会したという設定で接しなければいけないのだ。家族に対して感情移入しにくいというのは、結構、大きなデメリットなのではないだろうか? 勿論、重すぎる感情を抱いてしまっても、それはそれでデメリットになるのだが。


「でも、夏休みになったら会えるじゃない」


「そうだね」


 王都に住んでいる俺の家族は、夏休みと冬休み――――要するに、アカデミーが長期休暇に入るタイミングで、故郷であるアセビの町に帰省するため、その時になれば必ず会える。


 多分、春休みにも里帰りすると思うのだが、俺も兄貴もその前に死んでしまっているため、現時点では確かめられていない。

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