ペダル
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次回の更新は明後日です。
「ん? ああ、すまん。つい、癖でな」
俺と目が合うと、男はバツが悪そうな顔をして、言い訳を口にした。
俺よりも一回り大きい、がっしりした体格の男だ。腰から剣(本物)をぶら下げているので、俺と同じく、弓の試験を見物していただけなのだろう。見るからに強そうではあるが……。
「あの……。失礼かもしれませんけど、俺と同じ新入生ですか?」
「そんなわけあるか」
男は怪訝そうな顔をして、無精髭の生えたアゴを撫でた。
「どこからどう見ても、おっさんだろうが」
「いえ……。年齢制限は無いって聞いたから」
「無いけども。でも、さすがに無理があるだろ。俺とここにいる新入生たちとは、親子ほども歳が離れているんだぞ? 違う違う」
男はこれを見ろと言わんばかりに、腰の剣を指さした。
「俺は試験官だよ。例年、剣の試験は希望者が多いから、試験官も複数人いるんだ。交代まで時間があるから、今年の新入生の実力を見て回っていたのさ。――――お。あれを見てみな」
そう言って、男が指さしたのは弓の試験会場と横並びになっている魔法の試験会場だった。
魔法の試験は、弓と同じで的当てのようだ。離れた場所にある的を魔法で攻撃して、その内容で評価が決まるらしい。
(あ)
試験を受けているのは、アミだった。魔法の試験は希望者が少ないため、もうアミの順番になったようだ。
「あの女の子は、A組になるぞ」
「え」
男は遠くから見ただけで、今、正に魔法を使おうとしているアミの試験結果を予言した。
「魔法を使う際の魔力の乱れというか、淀みが無い。余程、普段から魔法を使い慣れているのか、それとも先天的な才能なのか……」
「そんなこと、分かるものなんですか?」
「んー、まあ、四六時中、魔法使いと一緒にいると分かるようになるぞ」
そう言って、男はアミから少し離れた場所に立っている大人の女性を指さした。
「あの試験官、俺の奥さん」
「へ?」
「俺たち、夫婦で冒険者の真似事みたいなことをしながら、世界中を旅して回っているんだ。俺が前衛の剣士で、奥さんが後衛の魔法使いだな。路銀を稼ぐため、夏までアカデミーの臨時教官を引き受けることにしたのさ」
よろしくな、と。
男は気さくに笑いながら、俺に手を差し出した。
「ちなみに、名前はペダルだ」
「シノブです」
「そうか」
ペダルは、俺の手の感触を確かめるように、握手を交わした。
魔法の試験会場では、アミが五つある的に魔法をすべて命中させて、誰が見ても文句無しの最高評価で、A組になったところだった。
「ほらな」
予想が当たったペダルは、嬉しそうに目を細めて笑った。
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