もしもの世界線
毎日1000文字を目標に続きを書いています。
次回の更新は明後日です。
(何やってんだ、俺は……)
激しい自責の念と、自己嫌悪に襲われる。
そうだ。こんなことをしても、何の意味もない。
そもそも、俺は兄貴のことを疑っていないのだから、ノートに書かれている情報は基本的に信用していいはずだ。今更、信憑性の担保など不要である。
それならば――――
今、この場で俺がすべきことは一つしかない。
(まだ、兄貴がやっていないことをする)
自慢じゃないが、俺はゲームの選択肢をすべて選んでみる派だ。ゲームにおける選択肢は、正解を選ぶクイズではない。イフの世界を体験できるパラレルワールドの入口なのだ。
兄貴が既に「太ももを触る」と「尻を触る」を選択済みならば、俺が選ぶのはこれだ。
「ふん!」
俺は腹筋に力を入れて上体を起こし、勢いよく幼馴染の胸に顔を埋めた。
むにゅ。
至高の柔らかさが、俺の顔を包み込む。
「ひゃあ!」
突然の暴挙に驚いた俺の幼馴染――――アミ・ダンファンスは、俺から逃れようとしたせいで体勢を崩し、床に尻もちをついた。
「いたーい! な、なんなの!? どうしたの!?」
「おはよう!」
「おはようじゃないよ! 寝惚けているの!?」
「何が?」
「何がって……」
アミは異様にハイテンションな俺を見て、気勢を削がれたようにため息を吐いた。
「はぁ……。もういいよ。起きたのなら着替えて。朝ごはんにしよう? 今日は分校のクラス分けの日だよ」
「そうだね」
俺は頷いて、ベッドから身を起こした。
(ふむ……)
目線の高さに、特に違和感は無い。自分の掌を見ると、見慣れた自分の手相だった。
どうやら、俺は本当に自分の肉体のまま、この世界に転移したようだ。
分校とか、クラス分けとか、本来ならば「何それ?」と尋ねたくなる単語も飛び出してきたが、そのへんは兄貴のノートに書いてあったので予習済みだ。
(それよりも……)
今、俺が知りたいのは、人類と魔王軍の全面戦争のことだ。
恐らく、プリムラは、戦争のことを話したら俺が怖気づくのではないかと考えて、直前まで告知せずに黙っていたのだろう。もしくは、ガチで忘れていたのだろうか?
前者だとしたら小賢しいし、後者だとしたらポンコツすぎる。
(アミにそれとなく質問してみるか……)
そんなことを考えながら、俺は手早く分校の制服に着替えた。
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