黄金の血
父親の死から3日。隼人は家を捨て、変わり果てた街に出ていた。
紙幣の価値が消え去った世界で、新しい通貨となったのは「健康な血液」だ。人々は自身の腕から血を抜き、等級をつけて取引する「血金券」の社会を作り上げていた。
5等級(最低):血液100ml / 約1万円の価値
4等級:約2万円
3等級:約4万円
2等級:約8万円
1等級(最高):約16万円
隼人は街の検査施設で血液検査を受けさせられていた。結果が出ると、冷酷な表情の査定官が冷ややかな視線を向けた。
「山口隼人、17歳。……おい、お前のは『血液等級5』だ。おいおい、一番底辺じゃねえか。価値としては100mlで一万円ぽっちだ。こんなガリガリの体じゃ、買い手もすぐにはつかんぞ」
腕に『5』の刻印を雑に押された隼人は、苦渋に満ちた表情で路地裏へと逃げ込んだ。最高等級ならまだしも、最底辺の5等級では自分の命をつなぐための物資すら満足に買えない。生き残るためには、ここから遥か北にあると噂される、政府の管理が及ばない「完全隔離の安住の地」を目指すしかなかった。
「クソ……俺の血じゃ、足しにもならねぇってのかよ……」
その時、目の前のゴミ捨て場の陰から、息を殺した小さなうめき声が聞こえた。
「……っ、はぁ、はぁ……」
警戒しながら近づくと、ボロボロのフードを被った一人の少女が倒れていた。歳は隼人と変わらないくらいだろうか。少女が苦しそうに腕を抑えたとき、フードの隙間から見えた手のひらに、恐怖の黒い線が走っているのが見えた。
「おい、大丈夫か……?」
「……こないで……っ! 私に近づくと、あなたまで……」
少女が顔を上げた瞬間、隼人は息を呑んだ。
彼女の瞳は夜空の星のように深く、そして、その流した涙に濡れた頬を伝う雫が――信じられないことに、薄っすらと黄金色の輝きを帯びていた。
人間の血の色ではない。それは、太陽の光を閉じ込めたような、透き通る黄金の液体だった。
「お前……なんだ、その目は……?」
「……私の名前は、沢城綾華。……お願い、助けて……私、追われてるの……!」
背後から、遠くで警笛の音が響いた。政府の特務部隊が、このエリアの掃討を始めている。
血液等級5の無力な少年と、物語の鍵を握る「黄金の血液」を持つ謎の少女。
1日毎に死が迫る、過酷な逃避行が今、幕を開けた。
最後までみて頂きありがとうございます!
初心者ですので書き方などはまだ勉強中ですので頑張っていきます
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