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レクシア -de quodam lexicone fabula-  作者: Nekke
第3章 ヴォルクス編
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34/35

0033 森

新章開幕なのに、投稿が遅れて申し訳ないです。

第3章 ヴォルクス編が今回から始まります。

 城壁を登った先には、広い草原が広がっていた。爽やかな空気が髪を撫でる。見渡す限りの緑が、あたり一面を覆っていた。

 振り返れば、ルーメルの街並みが見えた。色とりどりの屋根が、美しい模様を描いている。

「待てぇぇぇぇ!」

 …足元で騒いでいる神殿騎士の群れは、見なかったことにしよう。

「くそ、誰か空を飛べるやつはいないのか!?」

「いないだろ、俺たちは神殿騎士だから、風属性なんか使えないって」

「ああ、何故こんなに偏っているんだ、俺たちの属性は!光属性しか使えないなんて、不便すぎる!」

 …なんか、思ったより楽しそうだね。


「ああは言っているが、城門を通って追ってくるかもしれない、急ぐぞ」

 そう言って、カイルが城壁の出っ張りの部分にロープを引っ掛けて結ぶ。

「よし、行こう」

 しっかりと結べたのを確認したら、ロープを伝って一気に滑り降りる。


「レクシアも、早く」

「…うん」

 カイルに急かされる。…でも、今気づいたけど、私、高所恐怖症だったみたいだ。高い場所から降りるのが、こんなに怖いとは思わなかった。

 恐る恐る降りてみると、しっかり握ったら思ったより落ちるのが速くなかった。降りた時に、カイルに優しくキャッチされた。

 カイルがロープを手順を踏んで引っ張ると、上に掛けていた結び目が一気に解け、するりとロープが城壁の上から落ちてくる。

「便利だね、それ」

「昔、レンさんに教わったんだ」

「へえ……」


 ロープを回収しながら、カイルは周囲を見回した。

 ルーメルの外はしばらく草原が続いていて、思った以上に開けている。隠れる場所は少ない。遠くには森が見えるけど、ここからだとまだかなり距離がある。

「とりあえず、あの森を目指そう」

 そう言って、カイルは東にある森を指差した。

「分かった。その後はどうするの?」

「その先に、ヴォルクスという街がある。ダンジョンがある街だから、そこを目指そう」

「分かった」


 二人で草原を駆け出す。

 風が強い。街や森の中では感じることのない、草原特有の開放感があった。だけど、その分だけ不安も大きい。見つかる可能性も、高いってことだから。

 追われていることへの恐怖は、私の中で燻り続けていた。…きっと、カイルも同じなんだろう。

 巻き込んじゃって、申し訳ない。カイルもそうだし、あの三人も。


「気にしないでくれ」

 私の気持ちを察したかのように、カイルはそう言い放った。

「お前が倒れてるのを見た時から、こうなることはきっと決まってたんだ。俺たちは誰もお前のことを責めたりしないし、助けたことを後悔もしていない」

「本当に?でも……」

「いいんだ、別に。『旅は道連れ』だからな」

「…ありがとう」

 小さく呟く。

 カイルは困ったように少しだけこちらを見て、それから前を向いた。

「…辛気臭い話はどうも苦手なんだ。これで終わりにしよう」

 ルーメルの城壁は少しずつ小さくなり、代わりに南東の森が近づいてきていた。

 後ろに神殿騎士の姿はない。よかった。


「そろそろ、ペースを落としてもいいかもしれないな」

 不意に、カイルがそう言った。ちょうど息が切れてた頃だったから、助かる。

「ねえ、カイル」

 この機会だし、聞いてみよう。

「どうした?」

「ヴォルクスって、どんな街?」

 カイルは少し考えて、答える。

「ダンジョンが街の中にある…というより、ダンジョンの周りにできた街だ」

 へえ、そんなものがあるのか。


「ヴォルクスのダンジョンは、自然型のEランクダンジョンで、難易度は低い。ダンジョンの雰囲気に慣れるのにはもってこいだ」

「なるほど」

 前世ではゲームもたくさんしてたし、ラノベも読み漁ってたから、そういうのなら知ってる。だけど、この世界のダンジョンが必ずしもそういうものだとは限らない。

「ダンジョンって、やっぱり魔物が出たりするの?」

「?…そりゃあ出るだろ、ダンジョンだから」

「…だよね」

 よかった、私が知ってるダンジョンと同じみたいだ。


 そういえば、さっきカイルが気になることを言ってたから、聞き直してみる。

「自然型って?」

「ダンジョンは、二つの種類に分けられる。自然型と、遺跡型だ」

 ふむふむ、なるほど。

「自然型は、その名の通り自然の地形がそのままダンジョンになったものだ。小さいものから、大きいものまである。洞窟だったり、森の一部だったり…一番大きいのだったら、山脈丸ごとだったり」

「そんなに?」

「そうだ。そして遺跡型は、人工物の見た目をしているもの全般を言う。小さいものが多いけど、その分難易度も高い」

「へえ…そういえば、ヴォルクスのダンジョンはどんな見た目なの?」

「洞窟だ。自然型の中だと、けっこう入り組んでる方だから、迷子にならないようにな」

「分かった、気をつけるね。…どんな魔物が出るの?」

「大体はゴブリンとかの亜人種だが…最下層には、オークとかも出たような気がする。…オーガは流石に出ないけどな」

 オーガ…私のトラウマだ。できればもう、会いたくはない。

「ありがとう、いろいろ教えてくれて」


 気づいたらすでに、森の中に入っていた。髪を撫でる風の質が、青々としたものへと変化しているのを感じた。草原ののどかな空気と違い、森からは生き生きとした自然がより強く感じられる。

「森に入ったってことは、魔物もより強く、狡猾になる。しかも、この森は南の森よりも魔物が強い。だから俺たちは、もっと気をつけて入るべきだった…そうだよな?」

 苦笑いしながら、カイルが言う。

 森の中から、低い唸り声がいくつか聞こえる。全部で十数個程度だろうか。見渡すと、木々の間から赤い瞳がちらちらと見える。灰色の毛並みをもつそれらは、牙を剥き出しにして私たちを囲っていた。

「うん、私もそう思うよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レッサーグレーウルフの群れ 種族:魔物/魔獣種 個体数:13

平均レベル:11 指揮官数:1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 レッサーグレーウルフたちは、じりじりと距離を詰めてくる。さっきまでとは打って変わって、そこは張り詰めた戦闘の空気で満たされていた。

「グルルルルル…」

 レッサーグレーウルフの中に一匹、私たちの真正面に、一際大きな狼がいた。灰色の毛並みは他よりも濃く、もし立ち上がったら私を優に超えていそうな大きさだ。

「グレーウルフ…強化個体か……!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

グレーウルフ 種族:魔物/魔獣種 年齢:9

レベル:16

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八咫鏡使える神殿騎士いなかったかw
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