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レクシア -de quodam lexicone fabula-  作者: Nekke
第3章 ヴォルクス編
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35/35

0034 狼

更新遅れてすみません。

ここ暫く忙しいので、また更新できなくなるかもです。

更新できるように頑張ります。

 レッサーグレーウルフたちは低く唸りながら距離を詰める。包囲は完成していて、穴が無い。

 前方にはグレーウルフ、左右にはレッサーグレーウルフ。恐らく、後ろにもいるんだろう。逃げ道は、用意されていない。

「……13匹か」


 カイルが静かに剣を抜く。鞘から抜かれた刃が、木漏れ日を反射した。

「下がってろ、レクシア」

 そう言って、私を庇うように立つ。…でも、その表情には自信の無さが隠れていた。それだけ、分が悪いということだろう。

「私も戦うよ」

 そう言うと、カイルは驚いたような表情でこちらを振り返り、そして再び前を向く。

「じゃあ、前は俺がやる。後ろは頼めるか」

「うん」


 私の相槌を聞くや否や、カイルが一歩前へ出る。

 それを見たグレーウルフが、その牙を見せて唸った。

「グルルル……ォォオオオン!」

 その咆哮を合図に、群れが動く。

 前後左右、それぞれ3匹ずつ。一斉に飛びかかって、数で押しつぶすつもりらしい。


「来るぞ!」

 カイルが剣を低く構える。守りの姿勢だ。

 そこに、レッサーグレーウルフが飛びかかってくる。

「はあっ!」

 最初に飛び込んできたレッサーグレーウルフを、剣の腹で強く弾く。

「【剣技】!」

 そのまま剣を横に振り返し、次のレッサーグレーウルフの腹を深く切り裂いた。


 私も負けじと、ページを開いて唱える。

「アイスシールド」

 私の目前に現れた氷の盾が、レッサーグレーウルフの攻撃を防ぐ。

「ダークボール」

 続けて放たれる、黒い球体。その奥にいたレッサーグレーウルフが吹き飛び、気絶する。でも……


「数が、多い……!」


 思わずそう呟いてしまう。

 現に、私が気絶させた一匹の横を、別のレッサーグレーウルフが飛び越えてきていた。

「ガァッ!」

 鋭い牙が迫る。その牙の隙間から、涎が垂れるのが見えて、心底恐ろしかった。

「…ダークボール!」

 咄嗟に放ったせいで、その魔法は一撃で倒すのに十分な威力を持っていなかった。

 レッサーグレーウルフは少しのけ反るだけで、再び襲いかかってくる。

 私は物理防御のステータスが低い。たとえ一撃でも、攻撃を受けるのは危険だ。


「ォオオン!」

 再び迫る鋭い牙。避けきる暇は無い。それに、避けたらカイルに当たってしまう。それだと、背中合わせになった意味が無い。

 怖い…けど、覚悟を決めて、その牙を敢えて噛み付かせる。

「っ……!」

 鋭い痛みが左腕を走った。

 レッサーグレーウルフの牙が服を裂き、そのまま腕へ食い込む。熱いような痛み。HPが大きく削れた時の感触だ。だけど…


「捕まえた」

 レッサーグレーウルフは、獲物を仕留めたつもりだったんだろう。まさか、私が自分から噛まれに来ているとは思わなかったらしい。…そして、それこそを狙っていた。

「ダークボール」

 至近距離で放たれる黒い球体。それが、レッサーグレーウルフの顔面で炸裂した。

「ギャウンッ!?」

 悲鳴を上げながら吹き飛び、そのまま木に激突して動かなくなる。これで3匹目だ。


 だが……

「レクシア!」

 カイルの叫び声。私は、グレーウルフが迫っていることに気づいていなかった。

 目の前には、大きく開かれた顎。灰色の巨体が、一直線にこちらへ飛び込んできていた。

「っーー!」

 反射的に後ろへ跳ぼうとする。…でも、間に合わない。今にも、グレーウルフの牙が私の首を噛み砕こうとしていた。


 でも、その瞬間……

「はああっ!」

 横から飛び込んできたカイルの剣が、グレーウルフの牙を防ぐ。

 勇者の能力だろうか、その剣が、光と炎を纏っているのが見える。

「ォオン!」

 炎に怯えたグレーウルフが、警戒して後ずさる。

「ありがとう、カイル」

 あと一瞬遅かったら、私は今ごろ死んでいただろう。

 そして、カイルがくれたのはそれだけじゃない。そう、それは……


「……ヒント」

「ヒント?…何の話だ?」

 そうカイルが聞き返す。それを聞きながら、私は魔法を放った。正面のグレーウルフにではなく、足元のレッサーグレーウルフに向けて。

「ファイアボルト」

 鋭い菱形の炎が、一直線にレッサーグレーウルフへ刺さり、爆ぜる。

「ギャンッ!?」

 炎に包まれたレッサーグレーウルフはパニックを起こし、辺りを駆け回る。…通った所に、火の粉を撒き散らしながら。

「グルルルル…」

 グレーウルフの耳がわずかに伏せられている。牙を剥いているのに、その瞳の奥には警戒が見えた。明確に、炎に対する恐れがあった。…当たりだ。やっぱり、「グレーウルフ系は炎が苦手」だったんだ。


「ォォオオオオン!!」

 さっきのレッサーグレーウルフの火が消えて、群れが再び動き出すみたいだ。でも、辺りの木々には火がついている。…狙い通りだった。

「ねえカイル、少しだけ時間を稼げる?」

「いいけど……何するんだ?」

「ちょっとだけ、中級魔法の準備をするから」

 狙うのは、炎属性の中級魔法、「フレアバースト」。群れを壊滅させるに足る、最高の威力で。


 そう思っていると、私の口から呪文が自然と出てくる。あの時、シャドウランスを打ったのと同じように。

「炎よ、全てを燃やし尽くすものよ」

 襲いかかってくるレッサーグレーウルフの群れを、カイルの剣が防いでいる。私は、私に出せる最大限をするだけだ。

「その原初には種火ありて、その火先は我が敵へ」

 手元の魔法式が赤い光を強めていく。

「鋼をも壊す鎚となり、その意を果たせ」

 ……今だ!

「フレアバースト!」


 辺りの空気が一瞬揺らぎ、木々に着いた火に向かって一気に収束する。その風は、辺りの全てを巻き込んで中心に引き寄せる。グレーウルフも、私たちも。

「レクシア、掴まれ!」

 振り返ると、カイルが私に向かって手を伸ばしていた。反対側の手で、近くにあった木を掴んでいる。

「うん!」

 カイルの手に掴まり、二人の木の後ろに隠れた次の瞬間、爆音と共に熱風が私たちの後ろを過ぎ去る。

「ォオオオオオン!?」

 狼たちの悲鳴が聞こえてくる。爆発の中心では、巻き込まれたレッサーグレーウルフたちが次々と吹き飛ばされていた。炎に弱い彼らには、爆発はまさに天敵だった。


 数秒後、ようやく熱風が止む。

 私は恐る恐る顔を上げた。

「……どうかな?」

「見てみろ、上手くいったみたいだぞ」

 後ろを振り返ると、半径十数メートルが焼け野原になっていた。…ちょっとやりすぎたかな?

 レッサーグレーウルフは、無事全て倒れている。

 しかし——


「まだいる」

 カイルが剣を構え直す。

 煙の向こうから、一つの影が現れた。…グレーウルフだ。

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レッサーつくと蜘蛛ですがに見えるw
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