表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レクシア -de quodam lexicone fabula-  作者: Nekke
第2章 ルーメル編
27/30

0026 屋敷

投稿遅れました。ごめんなさい。

「私はマーサ…マーサ・グランディス。グランディス家の次女よ」

 マーサ・グランディス。その名前を聞いた瞬間、胸の奥がわずかにざわついた。確か、この世界では基本的に貴族しか名字を持たないはず、と、いうことは…

「……貴族、なんですね」

 思わずそう口にすると、マーサさんはほんの少しだけ首を傾げた。

「一応ね。でも、そんなことは今はどうでもいいわ」

 どうでもいいんだ。…どうでも良いのかな、本当に?

「さて、今からする話はここでして良いものじゃないわ。場所を変えるべきね」


 そう言って、くるりと背を向けた。

「ついて来て」

 そのまま歩き出す。迷いのない足取りだった。

「え、ちょっと……」

 思わず声をかける。

「行き先、聞いてもいいですか?」

「グランディス家の屋敷」

 驚くほどに、速い返事だった。

「……もし、断ったら?」

「悪いけど、それは出来ない。私がいるから」

 足を止めずに、淡々と続ける。

「それに、その場合は神殿の奴らに追われることになるかもしれないけど」

 そう、有無を言わせぬ口調で言われたら、もう断りようがない。


「……分かりました。行きます」

「そう」

 マーサさんはそれだけ言って、再び前を向いた。

 私はその背中を追う。

 石畳の路地を抜け、大通りへ出る。そこからさらに人の少ない道へと進み、やがて街の一角にある大きな屋敷が見えてきた。

 高い塀に囲まれた敷地。重厚な門。中には手入れの行き届いた庭が広がっているのが、隙間から少しだけ見えた。


「ここよ」

 マーサさんが門の前で足を止める。

 門番らしき人がこちらを見ると、すぐに姿勢を正した。

「お帰りなさいませ、マーサ様」

「ただいま」

 短いやり取りの後、門がゆっくりと開かれる。…もう、後戻りできない。

「どうしたの?」

 一瞬だけ立ち止まっていると、不意にマーサさんが振り返った。

「いえ、なんでもないです」

 覚悟を決めて、私は門をくぐった。






 後ろから、重厚な扉が閉まる音が聞こえた。入ってみると、貴族の家にしては飾り気が少なく、その家の住人の性格が分かるような気がした。

 通された部屋は広く、多くの本や書類で囲まれていた。置かれている家具の組み合わせ的に、ここは執務室かな?

 正面の椅子には、一人の男が座っていた。

 年の頃は4、50代ほどだろうか。背筋を伸ばし、こちらを静かに見据えている。その視線には、薄く、部屋中に張り巡らされるような威圧感を感じた。


「連れて来ました」

 マーサさんが簡潔に言う。

「ああ、聞いている」

 低く落ち着いた声だった。

「初めまして、だな。私はグランディス家当主、アルディウス・グランディスだ」

「……レクシアです」

 小さく名乗ると、その人はわずかに頷いた。

 それだけの動作なのに、まるでその一瞬だけで評価されたかのような気がして、少しだけ背筋が冷える。


「さて、私には時間があまり無い。早速だが、本題に入ろう。確認だが、君は確か村を追放されたのだそうだな?」

 その嘘は確かローディスさんたちにしか話して無いと思うけど、なんで知ってるんだろう?

「その場所はここから南西に20キロメルトほど進んだあたりか?」

 恐らく、ノーモスさんと別れたのもその辺りだよね?

「はい、恐らく」


 そう返すと、しばしの間静寂が訪れる。そして、当主が口を開く。

「私はここルーメルの領主だ。…この意味が分かるね?」

「…いえ」

「あの辺りには村は一つも存在しない。もし存在したとしても、領主である私に村の報告をしなければ重罪となる」

「それは…」

「君が嘘をついているのは既に分かっている。その上で、君に協力を要請する」

「協力、ですか?」

「単刀直入に聞くが、君は『禁書庫』という言葉に聞き覚えは無いか?」

 『禁書庫』?ひょっとして、ノーモスさんといたあの図書館のこと?もし、そうだとしたら…

「それに近いものを知っているかもしれません」

「…詳しく聞いてもいいか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ