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灰燼のイニティウム  作者: 白カラス
太平洋連合経済圏編
6/11

死に損ない Ⅰ

《ち、ちくしょう!! 脚をやられた!!》


《エ、エンバー!! 死にたく……》


《クソッたれぇぇぇ!!》


 インカム越しに響き渡る怒声──それは太平洋連合経済圏製のEWS──Exo-Frame Weapon──、《MAU-PUE-F4A2M VANGUARD》で構成された使()()()()()()のパイロット達のものであった。

 大戦期、一部の国家で実施された敵性外国人隔離政策の元、強制収容所へ送られた後に国民の不満を逸らし、捌け口を作るべく「自由の為にかつての祖国を正し、打ち破らんとした若者達」という建前で設立された特攻部隊──戦後もなおも設置が続き、境界線や鉱脈付近での軍事衝突に投入されていた。

VANGUARDは第四世代の中量機。大戦末期から配備が進み、今日まで運用され続けている太平洋連合経済圏の主力量産機である。

 相対するはユーラシア社会主義経済圏製のEFW、《TM-ESE-042H медведь(メドヴェージ)》。第四世代の重量機であり、優れた防御性能と生存性から新ソ連を中心に運用されているユーラシア社会主義経済圏の主力量産機だ。

 VANGUARDの全高18.3m/機体重量65tに対しмедведьは全高21m/機体重量105.8t。体格差は明確であり、正面戦闘は明らかに特攻部隊にとって不利であった。


「……エレーナより各機へ。左右に散開し、地形を利用して誘い込む」


 エレーナ、と名乗る金髪赤目の少女は無機質に命令を飛ばす。有無を言わせない、といった雰囲気故に他の機体もしぶしぶといった様子で散開を開始。

 幸いここは渓谷に程近い鉱脈だ。

 ユーラシア社会主義経済圏側の兵士達も自分達と同じように鉱脈を欲しているが為に、わざわざ壊すような真似はしない。だからこそ、利用させてもらう。


《こいつら……鉱脈を盾に……!?》


 その背には鉱脈。

 下手に撃てば後方の鉱脈に命中し崩落を招いてしまう。

 VANGUARDの最大戦速は実にマッハ2。最大でもマッハ1、それも機体重量故にトップスピードに至るまでに時間のかかるмедведьにとっては後退を妨げるには弾幕を張る以外になく……そしてその弾幕は先程述べたように鉱脈を使い物にならなくさせてしまう危険性を持ってしまった。


(……こうすればあいつらは嫌でも白兵戦に移行せざるをえなくなる)


 目論見通り、その両手に持っていた火器を投げ捨て、鈍重なラウンドシールドの裏側に懸架された高周波式の刀身を持つハルバードを構えるмедведьの中隊。

 エレーナのEFW、VANGUARD軽装型飛行仕様こと《WHITE GRAVE》は残弾の少ないアサルトライフルを投げ捨て、日本刀のような形状の二振りの高周波ブレードを抜き放つ。その内一振りをмедведьへと向けてひらひらと揺らすと──それは挑発しているように相手の兵士には見えた。


《こいつ……!! 調子に乗るな!!》


《馬鹿!! 誘われている!!》


《うるせぇ!! ユーラシアに栄光あれ!! 我らが祖国に栄光あれぇぇぇ!!》


 飛び出す二機のмедведь。一機はハルバードとして、もう一機は取り回しを重視したのか柄を短縮した大型トマホークとして振り被り、制止など意に介さずスラスターを全力で吹かし突撃する。


《死ぃねぇぇぇぇぇ!!》


 迫る二つの大刃。

 二機に続くように他медведьもスラスターを吹かし突貫。

 エレーナはその光景に冷酷な表情で応える。



「……撃て」


 刹那。



──バババババババババババババババババババ!!!!!!!!



 ありったけの砲弾がмедведь中隊へと叩き込まれていく。

 VANGUARDの基本兵装として採用されている120mm電磁加速式ライフルによる一斉射撃だ。渓谷の上から挟み込むように放たれた砲弾がмедведьの重装甲へ容赦無く突き刺さり、穿つ。

 ラウンドシールドを構える暇すら与えぬ濃密な弾幕により、次々と装甲をズタズタにされ倒れ伏していく僚機に、隊長機の男は脚を竦ませ震え上がる。



──故に、反応が遅れた。



「撃ち方やめ」


 同時にスラスターを吹かし、滑り込むようにмедведьの懐へと入り込むWHITE GRAVE。


《待っ……!!》


 既に振り抜かれていた高周波ブレードは胴体側面から逆袈裟に斬り上げていき、高周波振動する刃が容赦無くコックピットへと陥入、切断していく。


《い、いやだッ助けッ》



──斬ッ



 泣き別れる胴体。

 その男の最期の光景はモニターに映し出されたWHITE GRAVEの青いモノアイと、自身の腹を両断する刀身であった。

 撃破時の動力炉の爆発を防ぐべく、エレーナは素早く操縦桿を倒しペダルを踏み込み反転。離脱して少し経ち、後方で爆発音が響き渡った。


「……状況終了。全機、基地へ帰投」


 真紅のモノアイを輝かせ僚機たるVANGUARDは幽鬼のような足取りで離脱していくのであった。





 今もなお、灰色の空の下で争いは続いている。









機体紹介

◾︎EFW DATA

機体名:VANGUARD

型式番号:MAU-PUE-F4A2M

所属:太平洋連合経済圏

世代:第四世代

全高:18.3m

機体重量:65t

重量帯:中量機

動力源:バッテリー

最大速度:マッハ2

瞬間速度:マッハ1


◾︎地形適正

[地上]〇

[空中]△

[水中]△

[森林]〇

[砂漠]〇

[寒冷]〇


◾︎兵装

●主兵装

・LR-M120A2

太平洋連合経済圏において制式採用されている対EFW用電磁加速ライフル。120mmの弾体を射出する高出力兵装であり、本モデルは第2次改修型として初速の向上と射撃管制システムの最適化によって高い命中精度を誇り、中〜長距離における主力火器として広く運用されている。一方で発射間隔はやや長く、近距離戦では取り回しに難を残す。

装弾数40。予備弾倉2。


・HF-SABER Type-7

高周波振動により切断性能を引き上げ、対象の分子結合を破壊する対装甲戦闘において有効となる兵装。開発には日本人技術者が積極的に関与しており、刀身は日本刀のような緩やかな反りの入った形状を採用している。その特性上、斬撃効率に優れる他、度重なる改良が続いた本兵装は第7次改修型であり片手でも取り回しが出来る程の軽量化に成功している。


・STORMHAIL ML2-8

背面左右に分散配置した2連8連装式の小型ミサイルランチャー。近〜中距離での飽和攻撃を主目的としており、対装甲用弾頭を用いていることから重量機にも一矢報いることが可能。

同時発射最大数16。装弾数32。


・IMPACT PILE MK-IV

敵機装甲貫通を目的とした近接用打突兵装の第4次改修型。右前腕部に装備している。

電磁加速と炸薬を組み合わせた射出機構により超硬性の杭を敵機装甲との密着状態から高速射出し、超火力により貫徹、内部構造へ致命的な損傷を与える。

本兵装は開発当初より日本人技術者が関与しており、曰く一撃必殺の浪漫を詰め込んだとのこと。

愛称はパイルバンカー。

発射回数1。使い捨ての為使用後はパージされる。


●副兵装

・KS-3

中型物理シールド。複合装甲を採用しており、衝撃を吸収することで高い防御性能を獲得している。また、末端部が杭状になっており、地面へと突き立てることで即席防御陣地として機能し、戦闘時の機体保護やシールドを手に持つ必要性が存在しないことからより安定した射撃姿勢を取ることを可能にする。


・12.7mm CIWS

側頭部両側に搭載された近接防御火器。口径は12.7mmであり、高レートでの連射が可能。牽制やミサイルの迎撃において用いられる。


・CK-9

両腰に装備された近接戦闘において補助兵装として配備されている高耐久コンバットナイフ。関節部やセンサー部といった比較的脆弱な箇所への攻撃に適する。他兵装使用不能時の最後の手段としての意味合いが強い。


・HG40A2

補助兵装として配備されている40mm口径のハンドガン。第2次改修型として射撃反動低減による射撃精度の向上がなされている。火力面においては控えめな為、関節部やセンサー部といった比較的脆弱な箇所への攻撃に適する。

装弾数10。


●内装関連

・熱管理・冷却システム

両肩部に搭載された電磁加速兵装や高周波兵装の発熱を効率的に処理する冷却機構。一定以上の発熱を検知した際に冷媒を噴射することで兵装の性能低下を抑え、稼働時間を延長する。


・トリモチランチャー

小型の高粘着性樹脂弾を射出する非致死性拘束用兵装。マニピュレーター基部に搭載されている。関節部やセンサー部へ付着させることで敵機の運動性を低下させる他、破損した構造物の落下を防ぐ応急処置に用いられることもある。


◾︎機体概要

太平洋連合経済圏において開発された第四世代量産型EFWであり、戦後第2次改修型としてロールアウトした機体である。

本機《VANGUARD》は、あらゆる戦場環境に対応することを目的として設計された汎用戦闘プラットフォームであり、従来機に比べて特定任務への特化を避け、中距離戦闘能力・近接戦闘能力・継戦能力の全てを高水準で両立している。

主兵装である電磁加速ライフル《LR-M120A2》による精密射撃を基軸としつつ、ミサイルによる面制圧、高周波兵装およびパイルバンカーによる近接撃破といった多角的な攻撃手段を備えることで、単機でも状況に応じた柔軟な戦闘が可能となっている。

また、防御面においては複合装甲シールド《KS-3》とCIWSを組み合わせることで、対実弾・対ミサイル双方に対応した防御能力を実現。さらにシールドの設置運用により簡易陣地を構築可能であり、前線維持能力にも優れる。

背部スラスターはメインスラスターに加え三方向に伸びるスタビライザーにサブスラスターを分散配置することにより高い姿勢制御能力を保持している。

動力にはバッテリー方式を採用し、運用コストの低減と整備性の向上を実現。その一方で稼働時間の制約という課題は残るものの、部隊単位でのローテーション運用を前提とすることで上記の課題は最小限に抑えられている。

総じて本機は突出した一点性能ではなく、戦場における信頼性と汎用性を重視した機体であり、前線突破、制圧、治安維持に至るまで幅広く運用される太平洋連合経済圏の主力機である。




◾︎EFW DATA

機体名:WHITE GRAVE

型式番号:MAU-PUE-F4A2M(LF)

所属:太平洋連合経済圏

世代:第四世代

全高:18.3m

機体重量:60.5t

重量帯:中量機

動力源:バッテリー

最大速度:マッハ2.5

瞬間速度:マッハ1.2


◾︎地形適正

[地上]〇

[空中]〇

[水中]△

[森林]〇

[砂漠]〇

[寒冷]〇


◾︎兵装

●主兵装

・TEMPEST AR-90

現行の主流である90mm口径のアサルトライフル。威力と貫通性、連射性能を両立したスタンダードなモデルであり、多くのEFWで使用されている。

本機は撃ち捨てを前提としつつ、機動戦による撃ち合いの為に二挺装備されている。

それぞれ装弾数60発。それぞれ予備弾倉2。


・HF-SABER Type-7

高周波振動により切断性能を引き上げ、対象の分子結合を破壊する対装甲戦闘において有効となる兵装。開発には日本人技術者が積極的に関与しており、刀身は日本刀のような緩やかな反りの入った形状を採用している。その特性上、斬撃効率に優れる他、度重なる改良が続いた本兵装は第7次改修型であり片手でも取り回しが出来る程の軽量化に成功している。

本機は近接戦闘を主軸としている為に二振り装備されている。


・IMPACT PILE MK-IV

敵機装甲貫通を目的とした近接用打突兵装の第4次改修型。右前腕部に装備している。

電磁加速と炸薬を組み合わせた射出機構により超硬性の杭を敵機装甲との密着状態から高速射出し、超火力により貫徹、内部構造へ致命的な損傷を与える。

本兵装は開発当初より日本人技術者が関与しており、曰く一撃必殺の浪漫を詰め込んだとのこと。

愛称はパイルバンカー。

発射回数1。使い捨ての為使用後はパージされる。


・VANGUARD用背部飛行翼

VANGUARD専用の換装ユニット。2基の飛行翼を接続することでEFWに飛行能力を与え、また、スイングすることによる反作用で姿勢制御を行い、同時に作動肢ごとに配置された小型推進器の向きを変えることで、少ないエネルギーで急速かつ繊細な機体制御を行うAMBAC肢としての運用も可能である。

背部のハードポイントが使用される為STORMHAIL ML2-8といった背部武装を接続することが出来なくなる。


●副兵装

・12.7mm CIWS

側頭部両側に搭載された近接防御火器。口径は12.7mmであり、高レートでの連射が可能。牽制やミサイルの迎撃において用いられる。


・CK-9

両腰に装備された近接戦闘において補助兵装として配備されている高耐久コンバットナイフ。関節部やセンサー部といった比較的脆弱な箇所への攻撃に適する。他兵装使用不能時の最後の手段としての意味合いが強い。


・AGL-G2

VANGUARD用オプション兵装で、本機左前腕部に装備されている2連装グレネードランチャー。近距離における使用を考慮し、サブアームとしてある程度の威力を持たせている。使用後パージ可能。

本機唯一の爆発性の兵装でもある。

同時発射最大数2。装弾数6。


●内装関連

・熱管理・冷却システム

両肩部に搭載された電磁加速兵装や高周波兵装の発熱を効率的に処理する冷却機構。一定以上の発熱を検知した際に冷媒を噴射することで兵装の性能低下を抑え、稼働時間を延長する。


・トリモチランチャー

小型の高粘着性樹脂弾を射出する非致死性拘束用兵装。マニピュレーター基部に搭載されている。関節部やセンサー部へ付着させることで敵機の運動性を低下させる他、破損した構造物の落下を防ぐ応急処置に用いられることもある。


◾︎機体概要

本機はVANGUARD軽装型飛行仕様である。

軽量化の為に本体装甲の一部をオミット・肉抜きし、飛行翼を取り付けることで空戦に対応させた他、電磁加速ライフルやミサイルランチャー、シールドを撤廃することで全備重量の更なる削減に成功している。

本機の戦闘思想において特筆すべき点として、「補給線の不安定さを前提とした戦闘様式」が挙げられる。停戦後も各地の紛争地帯では戦線の流動化が激しく、特に特攻部隊のような使い捨て戦力に対しては、十分な補給が継続的に保証されることは極めて稀である。本機も例外ではなく、弾薬・エネルギー双方において慢性的な補給不足を前提とした運用が想定されている。

この制約に対する解として、本機は近接戦闘を主軸とした戦闘スタイルを採用している。射撃兵装はあくまで接敵までの牽制および限定的な制圧を目的としたものであり、戦闘の決定打は高周波兵装および打突兵装による直接攻撃に委ねられる構成となっている。これにより、弾薬消費を最小限に抑えつつ、敵機に対して確実な損害を与えることが可能となっている。

また、戦闘時間そのものの短縮にも寄与しており、長距離からの撃ち合いは弾薬の消耗と時間の浪費を招きやすく、補給の見込めない状況下では致命的なリスクとなる。その為本機は機動力を活かして短時間で敵との距離を詰め、最小限の消耗で戦闘を終結させることを重視している。これは単なる戦闘スタイルではなく、「戦場に滞在する時間を削減することで生存性を確保する」という、本機特有の生存戦略の一環である。

さらに、近接兵装は弾薬のように即座に枯渇するものではなく、損耗こそすれど使用回数に制限が少ないという利点を持つ。特に《HF-SABER Type-7》はエネルギー消費こそあるものの、適切な熱管理下においては長時間の運用が可能であり、弾切れによる戦闘不能状態を回避する役割を担う。

このように本機は、「補給を前提としない戦闘」を成立させるために設計された機体であり、火力の持続ではなく戦闘の完結性を重視している。

結果として長期戦において継続的に戦場へ関与する能力を持ちながらも、その実態は「短期決戦を積み重ねることで長期戦を生き延びる」ことに特化した存在であると言える。




◾︎EFW DATA

機体名:медведь(メドヴェージ:熊の意)

型式番号:TM-ESE-042H

所属:ユーラシア社会主義経済圏

世代:第四世代

全高:21m

機体重量:105.8t

重量帯:重量機

動力源:バッテリー

最大速度:マッハ1

瞬間速度:マッハ0.5


◾︎地形適正

[地上]〇

[空中]△

[水中]×

[森林]〇

[砂漠]〇

[寒冷]〇


◾︎兵装

●主兵装

・HF-5 Разрушитель(ラズルーシテル:破壊者の意)

刃部に高周波振動機構を搭載したハルバード状の大型近接兵装。本モデルは第5次改修型。

高周波振動する刃部により対象の装甲強度を著しく低下させ装甲を内部構造ごと、その質量と遠心力を活かした一撃により破壊することを目的としている。

柄部には伸縮機構を採用しており戦況に応じてリーチを調節可能。伸長状態では遠心力を活かした鈍重なハルバードとして機能し、短縮状態では大型トマホークとして近接格闘時の取り回しを向上させることが可能。



・BZ-360 Молот(モロート:ハンマーの意)

360mm口径の大口径バズーカ。

側面にレーザーデバイスを設置したことで近距離での弾道誘導を可能としている為、回避機動を行う敵機に対して有効打を与えることが出来る。

本体側面、レーザーデバイスのやや前方には後述の着脱式の防御アーマーが取り付けられており射撃時の爆風や敵機からの反撃に対して一定の防御性能を持つ。これにより強引な突撃運用にも耐えうる設計となっている。


・ZL-42 Искра(イスクラ:火花の意)

第4世代EFW用に設計された高出力ビームランチャー。

大戦時の運用データを基に第2次改修型として出力及び冷却性能強化が施された改良モデルである。

本兵装は重量機に搭載することを前提とし、重装甲機や拠点への攻撃・破壊を目的とした重火力兵装として運用される。黒燼結晶を用いた技術体系の1つであるビーム兵器の中でも屈指の出力を誇ることから、貫通能力と長距離精密攻撃能力をも併せ持つ。


・RS-2M-6 Снегопад(スニェゴパート:降雪の意)

背部左右に分散配置された2連6連装のミサイルランチャー。

主に中距離での制圧や対装甲戦闘を想定して開発され、最大12発の同時飽和攻撃を行うことが可能。重量機への攻撃も視野に入れられており、威力だけでなくある程度の装甲貫通能力も保持する。

同時発射最大数12。装弾数36。


・FS-4 Буйвол(ブイヴォル:猛牛の意)

EFW用円形大型物理シールドの第4次改修型。

原型はアメリカ製第三世代EFWに搭載されていたパイルバンカーを脅威と捉えた新ソ連によって製造され、以降今日に至るまでアメリカ製EFWのパイルバンカーとの技術競合を繰り返しており、複合装甲を曲面状に精製することで衝撃を分散させ、その形状からパイルバンカーの軌道を逸らすことで根元から破断させる効果を持つ。

裏面にはハルバードを収納可能。

表面には四門のビーム爆砕砲を搭載しており、敵機の攻撃を受け止めつつ反撃、場合によっては撃破をも行う。誘爆を防ぐべく出力は掌部のコネクタを介し、本体にはエネルギーカートリッジを搭載していない。


●副兵装

・12.7mm CIWS

側頭部両側に搭載された近接防御火器。口径は12.7mmであり、高レートでの連射が可能。牽制やミサイルの迎撃において用いられる。


・FS-R3 Таран(タラン:突撃の意)

右脚部に装着された肉厚の複合装甲採用型の物理シールドの第3次改修型。

脚部防御に特化しており、前進・突撃時の被弾を前提にその部位の防御を行うことで損傷を大幅に軽減することを目的としている。


・HA-2 Леска(レスカ:釣り糸の意)

フロントスカート裏側に2基搭載された近接用兵装。

アンカー部をヒート兵器とし、敵機に打ち込むことで動作阻害を行う他、建造物に打ち込み巻き取ることで本体を高速で牽引、外壁を登攀させることで重量機たる本機の機動性を大幅に改善させる兵装でもある。

大戦後第2次改修型となる。


・ERA-3 Щит(シュチート:盾の意)

胸部前面に搭載された単発式爆発反応装甲。

敵機近接貫通兵装、特にパイルバンカーのような兵装の直撃に対して装甲自体を爆発させ、衝撃を分散・反発させる。これにより一度のみ行動不能を回避可能となっている。爆発に関しても胸部前面へ行うことで内部構造への損傷を最小限に抑える設計となっている。

大戦後第3次改修型となる。


・防御アーマー

《BZ-360 Молот》の側面に取り付けられた肉厚な小型シールド。複合装甲を採用している。


●内装関連

・局地戦用センサーカメラ

頭部左側面に配置された天候変化や複雑な地形においての索敵・状況把握・解析に特化したセンサーカメラ。

高解像度光学センサーと短距離レーダーを組み合わせており、煙幕や砂塵、降雪(特に吹雪)、低照度環境下での運用を想定している。


・強制冷却機構

高出力兵装使用時の発熱を抑制すべく両肩部に充填された冷媒を吹き付ける機構。


◾︎機体概要

медведь(メドヴェージ)はユーラシア社会主義経済圏にて開発された第四世代量産EFWである。

大戦後、第2次改修型としてアップデートされた。

本機は圧倒的防御力と多角的火力をコンセプトに設計されており、前線突破から敵陣制圧、雪原等の局地戦等といった幅広い運用が可能である。

主流が90mm口径となったのも本機の前身となるEFWの登場があってのことであり、それよりも小さな口径ではまともにダメージを与えられない程の重装甲機である。

主兵装である高周波ハルバード《HF-5 Разрушитель》や大口径バズーカ《BZ-360 Молот》、高出力ビームランチャー《ZL-42 Искра》といった重量機に特化した破壊力の兵装により距離を選ばぬ汎用性を手に入れている。

防御面では、《FS-4 Буйвол》による大型円形物理シールド、《FS-R3 Таран》による脚部防御、胸部爆発反応装甲《ERA-3 Щит》を組み合わせ、アメリカ製EFWのパイルバンカーのような近接兵装への対抗や、突撃時の被弾を前提とした防御体系を確立。さらに局地戦用センサーカメラと内蔵冷却機構により、極寒や吹雪などの悪天候・長時間稼働環境でも性能低下を最小限に抑えることが可能である。

総じて、медведьは圧倒的な火力・防御力と高度な汎用性を備え、ユーラシア社会主義経済圏の前線部隊における主力重量機として運用される、まさに《荒ぶる熊》と呼ぶにふさわしいEFWである。

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