黒燼結晶
黒燼結晶 Cinderite
数十年前に地球へ墜落した隕石内部から発見された未知の自己増殖型エネルギー鉱物である。色は艶のある半透明な漆黒であり、中核部がやや紫がかっている。
本鉱物は金属に混ぜて鍛造することで強靭な工業製品を製造出来る他、外部エネルギー(熱・電力・放射線など)を吸収・媒介し、それを極めて高効率で再出力する性質を持つ。
この特性により、従来の資源を凌駕する新物質として注目され、人類の技術体系に飛躍的進歩をもたらした。
しかし同時に、黒燼結晶は以下の重大な危険性を内包していることが後に判明する。
・自己増殖性:高エネルギー環境下で急速に増殖し、制御不能な拡大を引き起こす。
・共振干渉:動力炉に用いられた黒燼結晶同士がある一定以上のエネルギーを発生させることで共鳴し、広域にわたる電子・通信障害を発生させるだけでなく、黒燼結晶を用いた装甲材の急激な強度上昇や動力炉の急激な出力上昇を引き起こす。
・炉心暴走:共振干渉が臨界状態に達した際、広範囲を消滅させる大規模エネルギー放出を引き起こす。黒燼結晶を動力炉として使用した際の暴走現象は、後に《灰燼災害》と呼称される未曾有の大災害を引き起こし、人類の約半数と地表の4割を失わせた。
・黒燼粉塵汚染:黒燼結晶の破砕・消費・事故によって発生した微細な粒子が大気中に拡散し地表及び大気中を汚染する現象。
大戦末期には高濃度なジャミングを行うべくして黒燼粉塵を散布するEFWが投入されたこともある。
電磁干渉を引き起こすだけでなく従来の航空機のようなエアインテークにフィルターの施されていない民間・軍用機が損傷し使用不能となった。現在まで抜本的な解決策は作られないまま、軍事、衛星制空権確保、長距離爆撃、精密誘導攻撃といったものが事実上使用不能となっている。人体に対しては粘膜の損傷や吸引することによる呼吸器の損傷による呼吸機能の低下、そしてそれが長期に渡ることで肺の線維化現象が確認されている。
事の重大さから、灰燼災害の後処理において各陣営では意図的に黒燼粉塵を散布する兵器の使用が全面的に禁止された。しかし、黒燼結晶の採掘・使用の禁止には至っておらず、今も尚結晶使用の依存を強めている。
上記の事態を招いても尚黒燼結晶は現代において最重要資源であり続けている。なぜなら、エネルギー供給、兵器運用、そして人型機動兵器たるEFWの中核として不可欠であり、各経済圏は人類社会を滅亡させかねない危険性を認識しながらも採掘と利用を止めることが出来ずにいる。




