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灰燼のイニティウム  作者: 白カラス
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世界観

 数十年前、かつて世界各地に落着した隕石によって形成されたクレーターより未知の鉱石──黒燼結晶が発見された。

 黒燼結晶はエネルギーを飛躍的に増殖・変換する特性を持ち、合金として鍛造された際は極めて高い剛性を保持していたことから、人類の技術は爆発的進歩を遂げた。

 しかし、黒燼結晶の保有量・産出量によって国家間に決定的な資源的・技術的格差が生じ、やがて世界は戦争状態へと突入する。

 西暦2180年──黒燼結晶を巡る国家間の対立は最初の戦端へと繋がり、中央アジアにて勃発。

 これを第一のシンギュラリティ──資源争奪戦争と呼ぶ。

 黒燼結晶を、そしてその鉱脈を手に入れるべくして人類は半ば総動員体制へと突き進み、程無くして第三次世界大戦が勃発。その間に黒燼結晶を戦争利用する為の技術開発が進められていくこととなる。

 そこから6年後の西暦2186年。

 既存兵器群から黒燼結晶を用いた兵器群へと転換が行われていく中、とある報告が届く。

 旧ロシア連邦たる新ソビエト連邦による人類史上初の人型機動兵器の開発に成功、及び実戦投入により一つの国家が一夜にして壊滅、降伏した。

 世界各国は震撼し、瞬く間に戦場の主役はそれらの人型機動兵器──Exo-Frame Weapon──通用EFWへと移り変わることとなる。

 これを第二のシンギュラリティ──第一次機動大戦という。

 従来の兵器にはない拡張性はもちろん、人間の挙動に限りなく近付ける為のフレーム構造もあるが、人類がこれまで消費してきた黒燼結晶の使用後に生じる微細な塵が長年に渡って大気を蝕み、従来の電子機器の誤作動や誘導兵器のロック不良、通信の断絶や遅延によりミサイルであれば命中率の激減、ドローンであれば制御不能状態になり、戦闘機であれば精密攻撃の成功率激減などにより距離の利点が崩壊したことによる有視界戦闘の必要性、黒燼結晶を用いた兵器による物理的破壊からなる都市の瓦礫化、地盤の崩落などにより戦場が三次元迷路のような状況に陥ったことで戦車の使用が事実上不可能になったことによる新たな機動方法の確立の必要性が増したことが挙げられる。

 新ソ連によるESWにより戦局は決定付けられたかに思えた──しかし、とある国家は黙って手をこまねいているわけではなかった。

 アメリカ合衆国だ。

 米国は数度にわたる戦闘で新ソ連によるEFWが実戦配備を急速に進める為に性能面での妥協をしたことから粗悪品が多く、機能不全に陥りやすいということを掴んでいた。大規模な鹵獲作戦が各地で行われ、手に入れたEFWを解析、自国において再現し、戦場へ投入した。

 米国の同盟国にもその技術は伝播し、戦争は泥沼化。

 ──やがて訪れた破綻の日。

 西暦2192年──黒燼結晶を用いたEFW、特に増幅するには高効率であった核融合炉が世界各地で暴走。臨界崩壊を起こす灰燼災害により地球規模の災厄へと発展した。その規模は人類の約半数を死滅させ、汚染により地表の約四割が居住不能になり、空からは灰のような粒子が降り注いだ。

 黒燼結晶はエネルギー刺激をトリガーに成長・増殖をし続ける性質を持ち、吸収したエネルギーを超高出力エネルギーに変換する機能は不安定なものであり、また、一定以上の総量により共鳴、臨界状態に陥った動力炉がそこに存在する場合、臨界状態が伝播、エネルギーが暴走し、結果として人類社会を破壊しかねない惨禍を引き起こしたのである。

 第三のシンギュラリティ──灰燼の日である。

 程無くして休戦協定が結ばれ、大戦は集結した。

 それから五年後の西暦2197年。

 人類は壊滅的な被害を受けながらも生存。弱体化した各国は勢力を維持すべく三つの経済圏へと統合。しかし統合が進んだ現在も至るところで武力衝突が発生しており、増殖し続ける黒燼結晶と、かつての惨禍への危機感こそあるものの、ここで採掘・利用を止めれば他国家群に資源を簒奪されてしまい、各国家群は終わりのない戦争状態となっていた。

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