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9-3

 首に一太刀もらった猫頭はそれで倒れるかと思われた。だが、そこから猫頭は動いてきた。半分ほど切れた首を落ちないようにと片腕で支え、残った片手は再度攻撃をしようと杖を上にと振りかぶる。


 自由になったフーゴは猫頭の懐深くに走っていき、足を狙って剣を振る。片足を刈られた猫頭はその場から動けなくなる。フーゴとカシアはそれぞれ攻撃を畳みかける。

 攻撃を受ける一方となった猫頭は沈んでいった。



 協力して敵を倒した形になったので、フーゴは笑顔でハイタッチをしようと寄ったがカシアには、その手をバシッと落とされた。

 しょうがないなー、とフーゴは引いて、叩かれた手をプラつかせながら部屋の探索を始める。

 カシアがなんだこいつ、と思っていると、入り口に気配を感じて振り返った。


「え、あっ! カシア! それに、フーゴも……⁉」

「なんだ、お前。今頃辿り着いたのか? 俺らよりずいぶん先に行ってると思ってたんだが」

 入り口から入ってきたのは、ニームだった。

「だって、めちゃくちゃ難しかった……」

 仲良く攻略したくないという割に、カシアとニームは普通にしゃべっている。やはり見慣れた顔と出会うときは緩むもんなんだろう。フーゴはふーんと思いつつ、二人のやり取りをちらりと見ながら、部屋の探索をしていた。


 その二人の背後に影が見えて、ん? と目を凝らす。


「お? んだよ。お前も今頃来たのか」

「え? あ、ヒースっ……」

 カシアの声に、背後を振り返ったニームがヒースの名を呼びかけたが、その声が奇妙に途中でかすれた。そして、急にその場に崩れ落ちる。

「は? ニーっ⁉」

 咄嗟に倒れたニームに駆け寄ろうとしたカシアに、ヒースが素早く近寄る。その直後、カシアはその場に倒れた。


 一人、離れた場所にいたフーゴは何が起こったのかをすべて見ていた。

 ヒースが背後からニームを刺し、次いでカシアも同じように刺した。


 フーゴはヒースと対峙するべく足を一歩踏み出しかけた。そこで、ヒースと目が合った。


 ヒースは一瞬、フーゴと足元に転がる彼ら二人を見比べた。ヒースの足元に転がる二人は、まだ息があるのか身じろいでいた。



 ヒースは背を向けて、再び入り口に向かって走った。入り口にほど近い場所にいたヒースはすぐにたどり着く。そこで一度振り返って室内に何かを投げつけて扉を閉める。


 投げて使うアイテムなど、敵にダメージを与える物しかなくないか!

 と考え、よく見ればそれは広げた巻物であった。


 フーゴはそれで察した。



 刺し傷に悶える中、爆炎が吹きあがる。その身が焼ける痛みをもって、カシアは己の死を覚悟した。

「はっ!」

 それから気を失ったのは間違いない。だが、突然意識が戻り、カシアは何が起こったのか、と目だけで辺りを探る。

「うーん。やっぱり全量を使わないと完全回復は難しいよな。でも、これだけしかないし」

 頭上から呑気そうな響きの声が聞こえてくる。その声の主はフーゴだ。


「お前……?」

 カシアは上体を起こした。フーゴが何かを倒れたニームの口に注いで飲ませていた。

「あ、これポーション。あらゆる傷を回復させるっていうダンジョン産の薬。前に行ったことのあるダンジョンで手に入れたやつなんだ」

 そう語るフーゴはまったくの無傷であった。

「本当は一本丸ごと使うべきなんだろうけど、俺はこの一本しか持ってないから、カシアとニームで半分ずつな」

「お前、なんで……」

「俺は、攻略は協力すべきだと思ってるんだよ」

「いや。それもだけど、そうじゃなくて!」

 カシアは言いかけて、フーゴが無傷で助かった理由を知った。

「あ、これ。爆裂にも耐えれる盾なんだ。これも前のダンジョンで手に入れたやつ。本当は人のものなんだけど」

 フーゴの傍らにあったのは、鏡のように磨かれた白銀に輝く巨大な盾であった。


「そうか……お前は、前に行ったことのあるダンジョンで得たアイテムをあらかじめ持ってたのか……」

「そういうこと」

 フーゴは自身の持ち物からリンゴを取り出してそれを三等分に分ける。

「ほら、これでも食べて」

「……おお」

 一瞬カシアは身構えたが、わざわざポーションで回復させといて、ここで毒など盛ろうはずもない。素直に受け取ってそれをかじった。


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