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愛犬たちと異世界辺境スローライフ~王家から逃げたアラサー女子、スマホ通販で快適生活~  作者: 紅しょうが


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第31話 試作品完成

完成した第一号石鹸を前に、玲はじっとそれを見つめていた。


「……本当に石鹸になった」


 試作品とはいえ、見た目はちゃんと石鹸だ。


 ここまで来るのに、材料を考え、配合を調整し、何度も試行錯誤してきた。


「まずは、実際に使ってみないとね」


 玲は完成した石鹸を手に取った。


 そして――。


「どうかな……」


 水を含ませ、両手でこすってみる。


「おお……!」


 ふわっと泡が立った。


「ちゃんと泡立つ!」


 玲は嬉しそうに泡を手のひらに乗せる。


 泡は細かく、思っていたよりもしっかりしている。


「洗浄力も……うん。大丈夫そう」


 実際に使ってみても、汚れはきちんと落ちている。


 第一号試作品としては、かなり良い出来だ。


「やった……!」


 玲は思わず小さくガッツポーズをした。


 けれど――。


「……あれ?」


 洗い流したあと、玲は自分の手を見つめた。


「ちょっとだけ、つっぱる……」


 気になるほどではない。


 けれど、化粧品メーカーで研究開発をしていた玲だからこそ分かる。


 もう少し、肌に優しいものにできる。


「うーん……」


 玲が考え込んでいると、レオンハルトが声をかけた。


「どうした?」


「レオンハルトさんも使ってみます?」


「俺が?」


「はい。男性の肌でも使い心地を確認したいので」


「分かった」


 レオンハルトは玲から石鹸を受け取った。


 そして、玲に教えられた通りに使ってみる。


「……泡が細かいな」


「でしょう?」


 玲は嬉しそうに頷いた。


「洗った感じはどうですか?」


「悪くない」


「つっぱりは?」


「普段使っている石鹸よりは少ないな」


「なるほど……」


 玲は腕を組んだ。


 やっぱり、石鹸としては十分使える。


 でも――。


「もっと良くできる」


「そうなのか?」


「はい」


 玲の目が、研究者の目に変わる。


「今の石鹸でも商品にはできると思います。でも、せっかくならもっと肌に優しいものにしたい」


「……玲らしいな」


「だって、毎日使うものですから」


 玲は完成した石鹸を見つめた。


「油を変えてみようかな」


「油を?」


「はい。使う油によって、石鹸の仕上がりも変わるんです」


 玲の頭の中では、すでに次の試作品の配合が浮かび始めていた。


「この世界に、もっと肌に優しい石鹸を作れる油があるなら……」


「探してみるか?」


「はい!」


 玲は即答した。


「せっかくだから、納得できるものを作りたいです」


 そんな話をしていたところへ――。


「玲様!」


 ギルドからの知らせを持った職員が、慌てた様子でやってきた。


「どうしました?」


「先日お探しになっていた油の件ですが……」


「何か分かったんですか?」


「はい!」


 職員は嬉しそうに頷いた。


「オリーブに似た実から油を採ることができる職人が見つかりました」


「本当ですか!?」


 玲の顔がぱっと明るくなる。


「ぜひ、お願いします!」


 こうして玲は、第二号試作品へ向けて動き始めることになった。


「次は、もっと肌に優しい石鹸を作ろう」


 玲の新たな挑戦が、始まった。

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