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「僕、祖父ちゃん子だったんです」


 祖父ちゃん子ってあまりきいたことないけど。


「祖父ちゃんは寡黙でよほどのことがないかぎり、何も言わない人でした。けど一度言葉を発するとその時の一言はいつも的を得ていて、いつもうるさい祖母や母が黙ってしまうほどパワーがあったんです。それで祖父ちゃんってすげえって思ってて。その祖父ちゃんがいつも連れて行ってくれるとこ、近所にあった漫画喫茶でした。パフェとか食べながら手あたり次第に漫画を一緒に読みました。すごく楽しかったんです」


 竹中は私と一緒にいるとその祖父ちゃんを思い出すらしい。怖い漫画を読んでも目の前に祖父ちゃんがいる。そんなことで安心していたって。


「ねえ、鹿島さん。今からその漫画喫茶へ行きましょうよ。それとも・・・・」


「それとも?」


「どっか二人だけで一夜を過ごしますか?」


 どういう考えでそんな選択になるんだろう。


「ダ~メ。私達のつきあいはちゃんと手順をふんでから」


「手順ってなんですか」


「えっと、好きになってしばらくしてからお互いを見つめあって、手を繋いで、抱き締めて・・・・」


「待ってくださいよ。しばらくしてからってどのくらいの時間をかけたらいいですか。三十分くらいでいいですか」


「しばらくって半年くらいでしょ、普通は」


「ええ~っ、冗談じゃないっすよ。もう僕たちは抱きしめたからその先へ進んでいいですよね」


「何言ってんの。そもそもそれが反則行為で・・・・」


 まだまだまくしたてようとしていたのに、竹中はひょいと屈んで私の口を封じた。キスされていた。 

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