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嘘って言いたかった。その口を封じたかった。そんなのは絶対に嘘だ。みんなが私と同じ問題を抱えているわけがない。
「本当です。みんな同じなんです。ただ他の人はそれを顔に出さないのがちょっとだけ上手ってことくらいで。鹿島さんみたいにそれをさらけ出せるってことはいい意味で自分を隠すことなく生きてる。うらやましいって思う人もいるでしょうね」
私がうらやましいって思える人はいつも笑顔を絶やさずにいてみんなの中心になってわいわいやっている人種だ。誰かの皮肉のような冗談にも笑って言い返せる、そんな良い性格の人。
竹中がいうのには、そういう人たちも私が考えているような戸惑いや恐れ、人生の難しさを持っているって。混乱していた。それに追い打ちをかけるように竹中が言った。
「僕にはそんな否定的な鹿島さんがかわいいって思えるんです。最近のあなたは見ていられない。以前にも増してぶっきらぼうだし、こっちの心が苦しくなるくらい落ち込んでいるのがわかる。まるで生きるゾンビです」
そこは普通、生ける屍って言うだろうと心の中で突っ込んでいた。
「それって褒めてんの? それともけなしてる?」
この人の真剣さが伝わっていた。
今までの言葉は全部本当のことだったとわかった。私が力を抜くと向こうも腕の力を抜いてくれた。
「そうですね。僕にはどっちでもいいんです。けなしていてもそれはあなたのことがすごく気になるからで」
胸が苦しくなるくらい切なくなった。ただ心配してくれているだけなんだからと自分に言い聞かせていた。
「ありがと、私、大丈夫だから」
元気出すよとつぶやきながら竹中の胸を押す。
「いや、大丈夫じゃない」
まだ信用されていないらしい。
「大丈夫だってばっ」とつい大声になった。
「ほら大丈夫じゃない。自分の心を誤魔化さないでくださいね。僕は鹿島さんと一緒にいるとほっとするんです。いつでもマイペースで人に合わせて笑顔を作ることのない正直な人って言えば褒め言葉になりますかね」
そう言ってくれるのはうれしい。




