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そう、私に愛想をつかせて立ち去ってほしい。
朝、顔を合わせてもおざなりのおはようございますだけでいいのだ。特別な人になって欲しくない。ふたたび特別な人を失いたくないから。
竹中のように背も高く、爽やかなイケメンタイプにはかわいくってキャッキャとはしゃぐような女の子が似合う。食べるとふわっとしているチーズケーキのような万人を笑顔にするようなスイーツ的な女子が。
私なんて他の女子よりも背が高く、不機嫌さを隠そうともしない変わり者。苦味のある瓜、ゴーヤみたいな存在かも。
「まったく、ホントに頑固なんですから」
竹中はいつもと違う吐き捨てるかのような口調で言った。それを望んでいたのに、胸が傷んだ。
竹中がやっと私に背を向けて去っていく。人からこんなに慕われて、追いかけられる経験はもうないだろう。そんな思い出をくれた彼には感謝しなければならない。
私がそんなことを考えていると竹中が近づいてきた。あっと思ったときはその腕が大きく開かれ、私は彼の腕の中にいた。
ぎゅっと抱きしめられる。とっさに逃れようとしたが、動けなかった。
もっと背が低ければ座り込んだりして腕から外れるかもしれないが、彼の腕は私の腰をがっちりと掴み、私の顔は竹中の顎と首のあたりにある。
理想的な背の高さ。そんなことを思ったが私は抗う。
「なにすんのっ、放して」
もがこうとしたが放れない。
「放しません。あなたにはもうこうして行動に移すしか証明する手立てがないんです。意固地になって人の話をよく聞かないし、信じないし、まったくもうっ」
かっとしていた。
「そんなことあなたに言われなくてもわかってる」
「いえ、わかってません。そりゃそんなことを言いはじめたら僕だって欠点だらけです。でもあなたは他の人も同じだってこと気づいていない。みんなが抱えていることです」




