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ラベンダーのサボン
美佐穂はわずか十日ほどで私の元から去っていった。私はこれからどうしたらいいのかわからなくなっていた。美佐穂がいなくなったこの部屋は空虚感が増した。二人でいたという幸せを失うことは空しさがさらに深くなる。
美佐穂がいてくれたあの日々はおとぎの国のように楽しかった。気兼ねのいらない友人というだけの存在ではなかった。私にとって美佐穂は恋人だったのだ。
美佐穂の笑顔が見たくて急いで家に帰った。その日のことを話したくてしょうがなかった。美佐穂は何を話しても目をみてちゃんと聞いてくれたし、私達は意見も交わした。
今は、台所の隅に掛かっている美佐穂のつけていたエプロンと根付くかもしれないと言って、枝を挿し木にした鉢植えにしたアナベルが残されている。
日本という国が同性婚を認めていたら、美佐穂に結婚を申し込んでいただろう。一生大事にする、生まれてくる子供も自分の子供としてかわいがる、だから私と結婚してくださいって。
そんなことを真剣に考えていた。
私は、同性婚が合法の国へ行って、そこで結婚式を挙げようなんて夢も描いていた。その国へ行けば私達は結婚したカップルなのだ。そして迎える出産。
分娩室にも入りたいと思い、今からその場に備えて慌てないように勉強しようとしていた。




