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美佐穂が、お先にと言ってベッドに入る。大きなお腹で歩き回ったり、料理までしてくれた。疲れたのだろう。
私はまだちょっと調べ物があるからと居間に残った。別にどうってことはないが、まださっきの気まずさを引きずっている。美佐穂が寝入ってから布団に入りたかった。
久し振りにラインを開けて驚く。かなりのメッセージが届いていた。
しかもそれらは全部、あの竹中からだった。毎日会社で顔を合わせているのにと呆れてしまう。
私が読んでいないこともわかっているはず。それなのに『お疲れ様でした。今日はマジで疲れたぁ』とかのどうでもいいつぶやきが多い。
最新のものは『最近の鹿島さん、帰るのが早くないっすか。気づいたらいないし。誰か待ってる人でもいるんですか』とか『鹿島さんのお弁当、超豪華でびっくりしました。今度、僕にもお願いします』なんて勝手なことを言っている。
それらを呼んでいるうちに、今、メッセージが飛び込んできた。
『来たる七月一日は鹿島さんの誕生日っすよね。もしよかったらメシでも食いに行きませんか』と。
社員たちの誕生日を探るのはたやすい。だから竹中がそれを知っていても不思議ではなかった。
でもその日はあけておきたい。美佐穂とどこかへ出かけたかった。
いつも家にいて夕飯を作ってくれている。だから、特別な日には休んでもらいたい。そんなふうに思い、それも夫的な発想だって気づき、ほくそ笑んだ。
まず、竹中に返事をする。
『誕生日はダメ』それだけを送った。すぐに返事がきた。
『やった~、やっと読んでもらえました。じゃあ、いつならいいですか』
そんな返事を読んで思案にくれる。
私が竹中と食事に出かける絵図を想像した。それは笑えるくらいあり得ない。そしてもしそれが実現されれば、美佐穂をここに残したままだということにも気づいた。
一人でご飯を食べている美佐穂が映った。そんなこと、できない。
すぐに返事を送る。
『たぶん、ずっと都合がつかないと思う。誘ってくれてありがとう。じゃあ、また明日』
またラインはしばらく見ないことになるだろう。
しかし、私の意識に新たなる不安が立ち上った。
美佐穂はいつまでここにいてくれるんだろう。美佐穂さえよければ、ずっとこのままでいいとさえ思う。
赤ちゃんとの生活も悪くない。ここが狭いならもう少し大きなところを探そうとそんなことまで考えた。




