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会社では相変わらずの私のはずだったが、少し私が変わりつつある。
あの昼休みに一緒に過ごしてから、竹中にいつもつきまとわれているからだ。朝も帰りもわざわざ挨拶をしに私の机まで訪れてくる。その時、かならず自分は何時に起きて電車ではどうだったとかこうだったとか、どうでもいい話をするのだ。私はその話に耳を傾けるように努力をし、うんうん、あっそうと答えるのが常だった。
竹中は歩くだけで派手だから、皆が目を向ける。その際、必然的に私も見られる存在となった。
「なんか、今日、いい雰囲気っすか?」
そう言われてドキッとした。
腕と脚にラベンダーのボディバターをつけていた。その香りは香水やデオドラントのように強くはないはず。それでも好きな香りに包まれているということが私を笑顔にしてくれたのかもしれない。
「ん、まあね。今日は機嫌いいのかも」
そういうと竹中は自分が褒められたかのような無邪気な笑顔になった。本当にこの人は無条件に寄ってきて勝手にまとわりつき、じゃれる仔犬だと思う。




