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本部役員奔走中 at みどり幼稚園  作者: 彩緒


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第9話:夏休み明けのドタバタ

(第9話 2046字)

 夏休みが明けて、幼稚園の二学期が始まった。


 休み明けは、子どもが行き渋ることがあると聞くが、理緒は違った。

 私が本部役員になり、入園後、毎日に近いぐらい一緒に通園して別の部屋にいるため、児童館に来ているときの感覚と変わらないらしい。私も、親から離れているときの子どもたちの様子が見れるので、役員になって良かったのかもしれない。



 登園すると、優加さんと千鶴さん、他の年中クラスのママたちが、園の主任、えりこ先生を囲んでいた。


「どういうことですか?ゆき先生がしばらく来ないって」


「すみません。後ほどきちんとお知らせいたしますので」


「誰が年中クラスをみてくれるんですか?」


「私がしばらく担当します」



 理緒をあかね先生に引き渡し、少し離れたところでやりとりを見ていると、綾乃さんが寄ってきた。


「ゆき先生、悪阻らしいよ」


「は?え?だって結婚してないよね」


「まあ、そういうこと」


「綾乃さん、なんでそんなこと知っているの?」


「だって、ゆき先生隠してないもん。普通に緑が丘医院に通っているよ。ちょっと順番が入れ替わっちゃったけど、どうせ結婚する予定だったんだし。でも、子どもたちにどう伝えるかだよね。せっかく慣れてきたとこなのに」


「あ~・・・」



 さすがにこの件については、幼稚園側からLINEではなくお知らせプリントで配布された。

 ”年中クラス担当教諭の交代について”

 理由は体調不良による長期静養、今後の担当はえりこ先生となっている。

 皆が予想していた通りだ。

 

 この件は、これで収まった。




 ・・・・と思っていたのだが、園長先生がとんでもないことを言いだした。




「ちょっと、本部役員の皆さんよろしいかしら。9月のバザーのことなんだけど、ゆき先生が休職中で、今幼稚園は大変なの。今年は土日じゃなくて、土曜日だけにしてくださいな」


「「「「「!」」」」」


 な、な、なんてことを!

 私たちが、どれだけ一生懸命準備したのか・・・。

 すでに二日間の予定で食材を注文したり、シフト組んだりしているし。

 それを『してくださいな』って何!?


 一番最初に口を開いたのは、留美さんだった。


「私たちは二日間のための準備をしています。バザー一か月前になってから言われても困ります」


「それに焼きそばや豚汁の食材も発注済みです。今からキャンセルなんてできません」


 優加さんも続けて言う。


「あらぁ、キャンセルしなくても土曜日に売り切ればいいんじゃない?バザーの案内もまだ出してないんだから大丈夫よ。とにかくこれは決定事項よ。よろしくね」


 去っていこうとする園長先生の背中に、千鶴さんが鋭くと言った。


「決定事項じゃありません。私たちは納得していません。子どもたちだって楽しみにしているんです。卒園した子も皆遊びにくるんですよ。私たちだけで決めていいことじゃありません!」


 園長先生は思い切り不機嫌な顔になった。


「あなたね、子どもたちのためって言って、あの時も押し通したけど、ここは私の幼稚園なのよ。幼稚園は場所を提供してブースまで出して協力しているのよ。こっちの負担を考えたことあるのかしら」


「それでもこれは突然すぎます」


「そうです。あんまりです」


 話は平行線のまま、また後日話し合いの場をもたれることになった。

 園長先生が去った後は、バザーの準備どころではなく、皆で怒りをぶちまける会になっていた。

 私だけセリフが思いつかず、園長先生に何も言えなかったので、気が引けていた。


 皆言いたいことを言って、興奮が収まってきたところで、さっき引っ掛かったことを聞いてみる。


「園長先生、千鶴さんにあの時もって行ったけど、あの時って何?」


「え!?今さら!」


 優加さんが露骨に嫌な顔をする。千鶴さんより先に綾乃さんが答える。


「千鶴さんて今の本部役員の体制になったときの初代会長だよ。というか今の本部役員や役員の体制を考えた人。バザーの立ち上げメンバーの一人だよね」


 え!?それ早く言ってよ。

 知っていたから何か変わるということはないが、皆当たり前に知っていることを知らないと、自分だけ靄がかかっている気がする。


「そんな大したことじゃないよ。役員は、誰が何をやるか明確にしただけ。バザーは、わざわざ青葉地区の幼稚園に遊びに行くぐらいなら、自分のとこでやればいいと思っただけだし。バザー開催を了承してもらったせいで幼稚園がやる業務を本部役員が手伝うことになっちゃったけどね」


「いやいや、そのおかげで毎年子どもも大人も楽しみができたんだし」


 謙遜する千鶴さんを皆は持ち上げる。



 そうか、やっと納得できた。

 ずっと不思議には思っていた。

 皆千鶴さんには一目置いていた。

 LINEで『次の集まりをそろそろしましょう』というとき、いつも千鶴さん始まりだった。

 それが副会長の仕事なのかと思っていたけど、そういうことだったのか。

 それになんで幼稚園の業務だと思われることを本部役員がやっているのかも・・・。



「次回、園長先生との交渉、気を引き締めないとね。香里さんも、何言うか考えてきてね」


 そうだ、次回こそは私も何か言わないといけない。


 

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