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本部役員奔走中 at みどり幼稚園  作者: 彩緒


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第8話:夏休み

(第8話 2244字)

「グリーン会報できた?これ写真小さくない?」


「七夕会の写真はこっちを使って。送るから差し替えて」


「ここ、句点入れた方がいいんじゃない?」



 バザーの準備が順調で、余裕ができたせいか、私への書類チェックはまた厳しくなっていた。指摘されて良かったと思うこともあれば、国語を添削されているみたいで気分が悪いこともある。

 とは言え、書記の仕事量は決まっているので、仕事量が減っていっていると思えば乗り切れる。それになんだかんだ言っても、皆真面目だ。特に留美さんは、生徒会長だっただけあって、きっちりしている。


 

 夏休み直前の本部役員の仕事は、出来上がったバザー商品を、幼稚園の倉庫用の部屋に運ぶことだ。倉庫用の部屋は、冷房が効いていなくて、汗だくで段ボールを運んで積み上げていると、園長先生が声をかけてきた。

 ”ご苦労様”とでも言ってくれるのかと思いきや


「散らかさないでくださいね」


と言っていった。先生たちのバザー商品も運んでいるのに。

 私の心の声が聞こえたのか、千鶴さんが


「ああいう人なんだよ。昔から」


と言った。


「昔から?」


「そう。寛人もここの幼稚園だから」


「兄弟でみどり幼稚園の人多いよ。うちも杏莉がそうだし、優加ちゃんと綾乃さんのところもそうだよ」


 そういえば、私以外は子どもが在園生か卒園生だと言っていた。

 私以外の他の四人で通じる感覚があるのはこのせいなのかな。


「とにかくサッサと片付けて、冷房のあるところへ行こう」






 夏休みは平和だ。

 理緒を連れて遠くの大きな公園で遊んだり、海水浴に行ったりして穏やかに過ごしている。

 近くの公園は、近所のおじいちゃんおばあちゃんが孫を連れてきて、その子と理緒が遊びだすと、私が子どもたちの面倒をみることになってしまうので今は避け気味だ。


 たまに思い出したように、留美さんが夏休み明けに配布する文書の下書きを送れと言ってくるけど、時間に余裕があるから心にも余裕がある。



 ゆっくりと夏休みを過ごしていたが、そろそろ終わりに近づいてきた頃、青葉駅のほうへバザーの景品を買いにいくことにした。バザーは手作り品を用意するだけでなく、ゲームコーナーの景品も用意する必要があり、私は100均への買い出し担当になっていた。


 理緒と一緒に車で100均へ行き、必要なものをメモを見ながら買った。買ったものを車に積み、そのまま帰ろうと思ったが、せっかくの夏休み、青葉地区まで来たのだから寄り道していくことにした。


 青葉駅の駅ビルに行こうと思い歩いていると、駅前ではおそろいのTシャツを着た高校生ぐらいの男の子がビラを配っている。見ていると、男の子がこちらの視線に気づいて寄ってきた。


「お母さんもお嬢ちゃんもいかがですか?今、そこの藤澤学園で藤澤祭をやっているんですけど、寄っていきませんか?」


「藤澤祭?女の子が行って浮きませんか?」


 藤澤学園は男子校だ。文化祭は、受験予定の男子小学生が多いのではと思って聞いてみた。


「全然大丈夫です!幼稚園の子も楽しめる縁日とかもやっていますからぜひ!」


「じゃあ行ってみます。夏休み?なのに大変ですね」


「大丈夫です。その分、代休ありますから。お嬢ちゃん、いっぱい楽しんで行ってね」



 駅から徒歩5分のところにある藤澤学園は、人でごった返していた。夏休みの終わりに、遠出はできないけど何か楽しいイベントがほしい、そういうときに藤澤祭はピッタリだ。

 理緒もすぐに、目を輝かせてヨーヨー釣りの方へ向かっていった。

 グランドではサッカー部や野球部がストラックアウトをやっているし、中庭では女装パフォーマンスをやっていたりでとにかく賑やかだ。

 意外にも、藤澤祭に来ているのは、男の子より女の子の方が多かった。

 


 文化祭とは違うが、みどり幼稚園もバザーを控えているので、どんな出し物をしているのか気になってしまう。校内を歩いていると、保護者バザーと書かれている教室があった。入ってみると、知っている顔があった。


 あの人みどり幼稚園のバザーを立ち上げたというレジェンド?

 ここの保護者だったんだ。


 レジェンドは他の保護者と話しながら品物を並べている。

 理緒が熱心に編みぐるみを見ていて、その横で立っていると、自然と会話が耳に入ってきた。


「今年の来場者数どう?」


「大丈夫、今年も上々!」


「よかったよ~。英光学園できてから、藤澤ちょっと受験者減ったよね。人気盛り返さないと偏差値下がっちゃうよ」


「本当にね~。後から建てないでほしいよね。うちなんて、せっかく藤澤入ったのに、英光学園で女子と青春したかったとかぬかしおって、本当にムカつく」


「うちもだよ~。どうせ英光学園大学目指すことになるなら、中学から入りたかったとかいうし、街でチャラチャラカップルで歩かれると、大学受験のモチベーションが下がるんだよ」


 ・・・・・。

 私が悪いわけではないけど、落ち着かなくなってきた。

 もしかして、千鶴さんも同じこと思っているのかな?



「あ、千鶴ちゃん。交代の時間だね」


 え?千鶴?

 振り返ると、千鶴さんが教室に入ってきていた。


「あれ?香里さんと理緒ちゃん。藤澤祭に遊びに来てたんだ。あ、聡美ちゃん、浅井さんは今年のみどり幼稚園の本部役員さん」


「浅井香里です。よろしくお願いします」


「田中聡美です。よろしく」


 顔見知りになるつもりはなかったけど、千鶴さんに紹介されて自動的に挨拶した。

 じゃあこれで、と言ってその場を後にしたけど、千鶴さんがうちのことを詳しく話してなければいいなと思った。


 千鶴さんとレジェンド田中さんは知り合いだったのか・・・。


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