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本部役員奔走中 at みどり幼稚園  作者: 彩緒


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11/14

第11話:バザー

(第11話 2070字)

 バザーの日は、良く晴れた暑い日になった。

 来場者も運営側も汗をかきながら、半袖で動き回るので、まるで夏祭りのようだ。


 みどり幼稚園のバザーでは、手作り品を売るだけでなく、各家庭で必要のないお中元やお歳暮、引き出物などを破格の値段で売り出すので、毎年これを目当てにしているご近所の人もいる。

 子供服のお下がりのコーナーも人気だ。

 ゲームコーナーは言うまでもない。子どもたちがお小遣いを手に集まってくる。ゲームコーナーの係をしていると、私も縁日の屋台の人になったみたいで楽しくなってくる。本当は、私は焼きそばコーナーの担当だけだったのだが、サプリメント本田さんが体調不良ということで、助っ人として入った。



「香里さん、手が空いたから変わるね。香里さんは次、予定通り焼きそばコーナーをお願い」


 留美さんがやってきて、交代してくれる。本音を言うと、このままゲームコーナーを担当していたい気分だ。この時間の焼きそばコーナーの担当は、優加さんと私の二人だ。お客さんがひっきりなしに来てくれることを願う。


 焼きそばコーナーに行くと、優加さんと同じ年ぐらいの男性二人と女性一人がいた。女性は売り子側の方に立ってコーラを飲んでいる。


 誰?保護者?


「あれ?香里さん来たの?別にいいのに。彼ら地元の友だちなんだけど、手伝ってくれるっていうし」


「え、いや、そういうわけにはいかないから」


 戸惑っていると、男性一人が気を利かせたのか、話に入ってきた。


「ほら、どいたどいた。ママさんの邪魔になってるって」


「え~、邪魔なの~?なんだ、せっかく屋台のお姉さんできると思っていたのに」


「屋台のおばさんだろ!」


「ひど~い!」


「まあ、屋台のおばあさんじゃなくてよかったじゃん」


 今、優加さん、ちらっと私を見たね。


 焼きそばのパック詰めをしていると、お客さんがやってきた。その後も彼らは居座って、お喋りしたり、客引きをしていた。


 私は自分の作業をしながら、優加さんたちを観察していた。優加さんを最初見たとき、派手な美人だなと思った。優加さんの地元の友だちも、派手な雰囲気だった。皆結婚指輪をしていたり、会話からパパママなんだというのがわかる。そして学生時代、いわゆる一軍だった人たちかなと思った。この人たちは、留美さんとも友だちだと思うが、留美さんは派手ではない。でもずっと生徒会長をやっていた留美さんは特別枠なのだろう。

 私の時代には一軍二軍なんて言い方はなかったけど、私は二軍か三軍ぐらいになるのかな?

 変なことを考えているうちに、私の担当時間は終わった。


 コーナー担当が終わると、次はグリーン会報用の写真を撮りに行く。


 理緒は、パパと一緒に会場を回っている。途中すれ違うと


「ママー!見て見て!これ射的で取ったの!こっちが手裏剣で取ったの」


 手には、景品とお菓子が山ほど握られている。どんだけやったのかな?パパに視線を向けると


「まあ、いいじゃないか、たまにはね」


 と流された。理緒がゲームコーナーに集中していてくれると、パパは楽なのだろう。

 とにかく私は、撮り忘れがないようにバザー風景を撮影しないと。


 撮影して回っていると、園長先生が誰かと話している。頭を下げて横を通り過ぎる。


「園長先生、みどり幼稚園のバザーは、毎年盛大ですね。緑が丘を盛り上げてくださってありがとうございます」


「区長さんにそうおっしゃっていただけると嬉しいですよ。みどり幼稚園の自慢のバザーですから」


 

 えっ!

 どの口が言う!?

 ・・・・園長先生には幼稚園としての外向きの顔があるらしい。




 バザー二日目、15:20になった。


 #ご来場の皆様、あと10分でバザー終了となります。お帰りのさいは、お忘れ物のないようにお願いいたします。各担当コーナーの責任者は、片付けと集計の準備に入ってください#



 事前のトラブルはあったけど、ふたを開けてみれば、バザーは大盛況。時間を短縮した分、却って人が集中して賑うこととなった。売上も、集計前だが例年より上だとわかる。



 来場者が全員、園の外へ出た後、一斉に片付けと清掃が始まった。優加さんと綾乃さんは、各担当コーナーの責任者とともに売上の集計をしている。


 私が下駄箱のところでモップをかけていると、あかね先生もモップを持ってやって来た。会議室であかね先生の目に涙が滲むのを見てから、私の中に気まずさがあった。あかね先生も私も、何ら変わることなく、普通に送迎時接しているのだが・・・。


 無言でモップがけの作業をしていると、ふいにあかね先生が言った。


「バザー、やっぱり二日間やってよかったですよね。子どもたちすっごく楽しんでいたし、地区の人たちにも感謝されて」


「ええ、本当に良かったです。でも先生たちにはご負担をおかけしてしまって」


「いえ、そんなことはないです。いつもと変わらないです。それより本部の人たちの負担が大きくて」


「あ、いえ、とんでもない」


「今度は運動会ですね。よろしくお願いします」


「あ、よろしくお願いします」


 あかね先生の方から、声をかけられてしまった。

 この後は、あかね先生と一緒にいても気まずさを感じることはなくなった。

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