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5ぷるぷる

第5話:自己実現:ぷるぷる(毒80%)

 マズローの頂点。それは、自分が望む最高の自分になることだという。

 今の僕にとって、最高の自分とは、彼女の一部になることに他ならなかった。

 農場の仕事はもう何もしていない。僕が動く必要はない。彼女の身体が、僕の意志を先回りして、僕のすべてを全うしてくれるからだ。

「ボク。何モ、考エナイデ。ワタシ、ボク、全部、ナル」

 彼女の姿は、僕の理想とする「美」そのものに固定されていた。だが、その輪郭は時折、陽炎のように揺れ、僕の身体と混ざり合おうと蠢いている。

 僕は、人間としての自尊心や、未来への野心を、すべて「不純物」として捨て去ることにした。それらが僕と彼女の「合一」を妨げるからだ。

 鏡の前に立てば、そこには十八歳の少年の形をした、しかし中身が彼女の霊力で満たされた「器」が立っている。

「……ああ、これが僕の求めていた、真実のスローライフだ」

 僕は、自分という個体の終焉を、最高の自己実現として受け入れた。

 夕暮れの光の中で、僕は震える手を伸ばし、目の前で微笑む「彼女」の柔らかな身体に、全力で抱きついた。

 それは、世界で最も甘美な、自分自身の葬列の始まりだった。


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