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3ぷるぷる

第3話:社会的欲求:ぷるぷる(毒40%)

 彼女はもう、誰が見ても美しい、しかしどこか現実離れした「少女」の姿をしていた。

 不思議なことに、農場に郵便が届かなくなり、村の連中もここへ寄り付かなくなった。標高35メートルのこの地を覆う霧が、いつの間にか、陽光さえ拒むほどに分厚く、粘り強いものに変わっていたからだ。あの日水路で見た、あの白く重たい壁が、今は農場を外の世界から完全に切り離す「巨大なまゆ」となって僕らを包み込んでいる。 だが、僕はそれを少しも寂しいとは思わなかった。

「ボク。ワタシ、二人。ソレ、セカイ」

 彼女が僕の腕に絡みつき、その冷たい体温を僕の中に流し込んでくる。

 僕という社会は、今や彼女という唯一の他者によって完結していた。誰からも認められず、誰とも繋がっていないという恐怖は、彼女の「ワタシ、ボク、スキ」という片言の熱情によって、完全に塗り潰された。

 時折、僕は思う。外の世界にいる友人たちは、今ごろ僕を忘れているのではないか。

 だが、その思考が首をもたげると、彼女は決まって僕の首筋に顔を埋め、僕の「寂しさ」をサクッとかすめ取る。

「外、イラナイ。ボク、ワタシ、ダケ。ワタシ、ボク、全部」

 彼女の粘液が、僕の社会的欲求という名の「雑音」を吸い取っていく。

 一対一の、完璧に閉じた世界。三一致の法則が支配するこの檻の中で、僕は彼女という社会に、自ら進んで同化し始めていた。


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