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✿ 桜の華 ― *艶やかに舞う* ―   作者: 設楽理沙


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28 ◇桃と桃美




「桃美~、今度の仕事は心情的に今の私にピッタリ。いい場所に当たったわ」


『前のところは、物足りないって言ってたよね。

それで気持ちのほうはどんななの?』



「なんかね、かなり軽くなったような気がする。

胸の中に巣くうモヤッとした黒い塊みたいなものが取れたような気分」



『やっぱり……。 

でも裸のモデルをしたからって気持ちが軽くなるって

どういうことなのかなぁ』



「まだよく分からないけど緊張を伴う非日常的なのがいいんじゃない? 

 それと……」


『まだ何かあるの?』





「うん。たぶんだけど、解放感と俊のためだけの身体をその他大勢の人間に

見せてるんだぞっていう、なんていうのかな……もう俊のためだけのものじゃ

ないんだぞっていうことなんじゃないのかなぁ」


『そっか……』




「俊のためだけに、つまりは俊に操は捧げないということで、俊だけを

見ていた自分との決別の意味もあるのかもね」




『夫に向けていた愛を捨て去るということだよねぇ?』



「そうそう、愛を捨て去るための儀式なのかもね」


『儀式か……。桃、上手いこと言うじゃない。

落ち込みから少しは抜け出せそう?』



「まだ、はじめて日が浅いからアレだけど、上手くいけば

もっともっと自分を取り戻せるかも……」



『希望の光を見付けられてひとまずは良かったね』



「うん、ひとまずはね」



『だけど……万が一俊に知れたらどうするの?』



「どうもしないわ。むしろ早く知られたいくらい……」



『俊、驚くだろうね~』


「腰ぬかすかも、あっはっは。早く見てみたぁ~い」



『桃、楽しそうだね』



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