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フェト一緒に男子寮にある自室を目指して歩いていると、俺達が来るのを待っていたのか俺とフェイが通ろうとした道をふさぐように三人の男が木の陰から姿を現した。
その男たちをよく見ると、今日の剣術科の実技の時に休憩室で俺を舌打ちした男が真ん中に立っていた。残りの二人は、舌打ち男の後ろに立つように現れたため、用があるのは舌打ち男であとの二人はその付き添いの様に見える。
俺はそんなことを考えながら目の前の三人を見ていると、横にいたフェイが少しめんどくさそうに俺に小声で話しかけてきた。
「あの三人組、入試の時みたから多分貴族だよ。
めんどくさいことにならないように気おつけてね」
フェイが俺にそう助言をしてくれるが、俺は「真ん中の男には、もうすでに目をつけられているけどね。」と思いながら、「わかったと」軽く返事をした。
「なんか用事があるのか?」
俺は一歩前に出てそう聞くと、三人組の真ん中にいる男が俺に話しかけてきた。
「今さっきはすいませんでしたっ!」
真ん中の男はそう言うと深々と頭を下げて俺に謝ってきた。
俺は男の予想に反した行動に驚きながらも、頭を上げるように指示を出した。
「頭を上げてくれ、それに急にどうしたんだよ。
さっきの授業の時はあんなに睨んできたのに…」
俺がそう聞くと、男は事情を説明してくれた。
どうやら真ん中の男の名前は、キューホール=アイバという名前で、横の二人はその友達のファンタ=サイダとグレープ=ミツヤという名前だそうだ。
アイバが俺に舌打ちや、睨んできたのは単に、俺はクラエド先生に勝ったのに、アイバは瞬殺されたみたいで悔しくて、逆切れしていたらしい。
そしてさらに、アイバの友達は単に俺の父さんと母さんのファンでその子供である俺を近くで見たかったためついてきたそうだ。
俺は、謝ってくれたので気にしてないとアイバに言うと、アイバは笑顔になりまた俺に謝り、そして感謝の言葉を言って、男子寮の中へと入っていった。
それを見ていた俺は、あっという間に起きた出来事に驚きながらも我に返ると、横にいたフェイの方を向き声をかけた。
「おれたちも部屋へと帰るか」
俺がそう言うと、不意は俺の方を向いて頷いたので俺はフェイと一緒に自分たちの部屋へと向かった。
総合技能学園で午前は魔術科で魔法の授業、午後は剣術科で剣術の授業を学ぶ生活を始めてから、約二か月がたったある日。
魔術科の一年生と剣術科の一年生クラエド先生とレティシア先生に集められて実技場へと来ていた。
二人の先生の前に生徒が整列して集まっている状態だ。
授業のチャイムが鳴ると、クラエド先生が一歩前に出て話を始めた。
「これから、二週間後に一年生のAクラスの魔術科と剣術科それぞれの科で順位を決めるための模擬戦のトーナメントを行う。
このトーナメントは、これからある魔術科と剣術科の生徒がペアを組んで行う授業のペア決めのために行う。
例を挙げると、魔術科の一位が剣術科の一位とペアを組むようになる。
要するに、魔術科と剣術科の順位が同じもの同士でペアを組んでもらうようになるからな。
そのためにこれから二週間は授業はなく、各自の自主練習とする。
最後にアレックスはこの後俺のもとに来るように。解散」
クラエド先生がそう言うと、話は終わり生徒たちは自主練習をするためにそれぞれ行動し始めた。
俺は、クラエド先生に呼ばれたのでクラエド先生のもとへと向かうことにした。
クラエド先生のもとへ着くと、そこにはレティシア先生もそこに立っていた。
俺が2人に近づくと、クラエド先生が俺に気づき話しかけてきた。
「おぉ、来たか。
アレックスに話があるんだが、アレックスがこのトーナメントに参加すると、多分だが君が両方の科で一位をとる可能性が高いため。このトーナメントに参加するにあたってアレックスはどっちの科で参加するのかを決めてほしいんだが………
すぐに決まらないんなら明日でも大丈夫だが考えておいてほしい。」
クラエド先生がそう言い終わるのと同時に俺はクラエド先生に返事をしてた。
「それなら剣術科で出ます。」
俺がそう返事をすると、クラエド先生とレティシア先生は驚いた顔をしていたが、すぐに二人はそれぞれ対照的な顔をしてこっちを見ていた。
クラエド先生はどこか嬉しそうな顔をして、レティシア先生はどこか落ち込んだ顔をしてこっちを見ていた。
「アレックス君、考え直さないかしら………?」
レティシア先生は、俺に魔術科で出てほしかったのか考え直さないかとしつこく俺に話しかけてきた。
俺はそんなレティシア先生に、少引き気味になりながら断っていると、それを見ていたくらえど先生が声をかけて助けてくれた。
「レティシア先生よ、アレックスが困ってますよ。
ちゃんと生徒の意見を尊重しないと。」
クラエド先生が、いつもとは違いちゃんとした発言をしていた驚いた。
俺はそう思いながらクラエド先生の方を見ると、クラエド先生はレティシア先生の方を向いており、レティシア戦背と目が合うとどや顔をしていた。
俺はそんなラエド先生を見ていつもの先生だなと、すこし冷めた気持ちになりながらも、クラエド先生とレティシア先生に声をかけた。
「レティシア先生すみません。剣術科でトーナメントとは出ようと思います。では失礼します。」
俺はそう言うと、レティシア先生とクラエド先生に頭を下げて、この場を後にした。
俺は実技場を出ると、フェイやエミリ、シャロル、レティ達と一緒に自主練習をしようと思い、4人を探すことにした。
「とりあえず、フェイがいるかもしれないし、いったん自室に帰るか……」
俺はそう呟くと、男子寮を目指して足を進めた。
自室に着くと、そこには予想通りにフェイがベットの上に座って分厚い本を読んでいた。
「読書とは余裕だな」
俺はフェイをからかうように笑い名が声をかけると、フェイは焦りながら説明をしてきた。
「ちっ、ちがうよ!
読書は読書でも、この本は魔法についての本で、少しでも強い魔法を使えるように勉強していたんだよ!」
フェイは必死に俺にそう言ってきた。俺はそんなフェイを見ながら笑っているとフェイはどこかすねたような顔をして、また本を読み始めた。
「からかって悪かったって。
魔法について学びたいんなら、この学園の図書室で一緒に勉強をしないか?
」
俺がそう言うとフェイは、さっきすねたのはどこかへ行ったのか満面の笑みになると、「うん!」とうなずきながら返事をした。
フェイの返事を聞いて俺は、フェイと一緒に図書室へ向かうことにした。