7話
今日は土曜日。学校も休みなので大型のショッピングモールに来ている。
本日の目的は愛読している漫画の新刊を買うこと。
今日が発売日ということで少し前から楽しみにしていたのだ。
早く続きが読みたくて既にうずうずしている。
今の時代を考えれば電子版を読むのもありなのかもしれないが、個人的には紙で読むのが好きなのだ。
さっさと買って早く帰ろう。漫画を読みたいのもあるが、私は人混みも得意ではないのだ。
伊達に長年ぼっちをやっているわけではない。
目的のブツを得るために歩いていると、前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ねぇ、あのパンダのぬいぐるみ可愛くない?」
「本当だ! 可愛い!」
よく見ると同じクラスの女子生徒たちだった。
なんとなく顔を合わせたら気まずいので、見つからないように気をつけて行動しよう。
ステルス、ステルス。
「恭司はどう思う?」
「いいんじゃない。買うの?」
「どうしよかっな〜」
さらに聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
大島恭司。お試し期間とはいえ、私と付き合っているはずの男だ。
それがどうして女子たちに囲まれる休日を過ごしているのか…
仮にも恋人がいるのだから少しは遠慮するものなんじゃないのだろうか。
そりゃプライベートなんだから何をしようが彼の自由だ。
別に女子だけと来ているわけでもなく、他の男子もいるみたいだし……よく一緒にいる仲良しグループで遊びに来たのだろう……
なのに……なんだか納得がいかない…
なんなのだろうこの気持ちは……無性にモヤモヤする…
さっきから私は何を言っているのだろうか……別に彼がどこで何をしてようと関係ないはずなのに…異性として好きなわけではないはずなのに……彼が気になってしょうがない。
この気持ちはいったいなんなのか…
もしかして私は彼のことを好きなのだろうか…?
そんなはずはない。私が男に恋をするなんてあるわけがない。
きっとこれはあれだけ人のことを好きと言っておいて、当たり前のように他の女子と遊んでいるのに納得いかないだけだ。
そうに決まってる…だから少し胸が痛いと思うのは気のせいだ。
こんな気持ちで明日のデートに挑まないといけないなんて、今日は出かけないの方がよかったのかもしれない。




