4話
これは別に自慢話をするつもりではないのだが、私のビジュアルはかなり整っている。
転生する前は男性だった私がそう思うのだから、この評価は間違ってはいないと思う。
実際に両親も美男美女であるし、私自身も昔からよく告白される。この高校に入学してからも何回かそういうことがあった。
もちろんお断りしたが。
なぜそんな話しをするのかと言えば、私が目の前にいるチャラそうな男子生徒から告白されそうだからである。
本当はいつも通りに早く下校したかったのだが、今日は帰りのホームルームが長引いてしまったのだ。
そのため、下駄箱の前で待ち伏せされる羽目になったしまった。
こういう出来事を避けるという目的もあって、早く学校から出ているというのもあるのについてない。
「深井さんさ、俺と付き合わない」
相手の目的も案の定だったので、直ぐに断りの返事を伝える。
「結構です」
「まぁまぁ、そう言わずにさ。お試しでいいから」
「お断りします」
「俺ってこう見えて一途だし、後悔はさせないからさ、付き合おうよ」
目の前にいる彼はよっぽど自分に自信があるのか、なかなかに引いてくれない。
確かに顔立ちは整っているが、いくら粘ろうと私が告白を了承することはない。
そもそもチャラくて自信過剰とかいう私が一番苦手なタイプの相手だ。
この男と付き合うぐらいなら、まだ大島恭司と付き合った方がましである。
「無理です」
「彼氏とかいるの? いないなら俺にチャンスちょうだいよ」
本当にしつこい。いい加減にめんどくさいので早くいなくなってほしい。
「何してんの瑞樹?」
そんな時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
なぜか普段と違って名前呼びだったが…
「は、誰だよお前?」
「瑞樹の彼氏だけど。俺の彼女になんかよう?」
は? 彼氏?
「は? 彼氏?」
全く嬉しくないがチャラ男とハモってしまった。
「そう。彼氏」
彼氏でもないし、肯定しないでほしいのだが。
「チッ! なんだよ…彼氏いるなら早く言えよ。しかも凄いイケメンじゃねぇか」
そう言って男は去っていった。
「彼氏ってどういうこと?」
「これが一番手っ取り早くさっきの男を追い払えるかなって……」
「だからってそんな嘘をつかれても困る」
「と言うのは建前で、他の男に深井さんを取られることがよぎって、つい口から出ちゃった。ごめん」
「ついって」
「俺と付き合わない?」
「その話しは断ったはずよね」
私に彼と付き合うつもりはない。確かにさっきのチャラ男を追い払ってくれた姿は少しかっこよかったけれど……だからって好きになったりはしない。
「1ヶ月くれないかな? その間に深井さんに好きになってもらえなかったら諦めるから」
「嫌よ、私になんのメリットが」
「男避けになるし、今日みたいな告白はなくなると思うよ」
「それはそうだけど」
「それに既にクラスの皆んなは俺の気持ちを知ってるから、もし俺たちが付き合っても騒ぎにならないと思う」
「いや? 騒ぎにはなるんじゃない?」
「それに明日には俺たちの事が噂になってるかもしれない。だったら変に否定するよりも俺を男避けに使った方が便利じゃない?」
「う……1ヶ月だけだからね…」




