21話
物事というのはいつだって唐突に訪れるものである。
たとえば学校が終わって家に着くと、そこに母親と姉と妹が待ち構えていたりだとか。
嫌な予感しかしない。なぜなら全員の表情がニヤニヤしているように見えるからだ。
「おかえり瑞樹ちゃん」
「ただいま…」
「ケーキがあるのよ、皆んなで食べましょう」
母がにこやかな笑顔でそう言う。
「私はあとで貰おうかな」
この場に留まるのはなんだかまずい気がして、そう返事をした。
「たまには家族団欒しようよマイシスター」
「そうだよお姉ちゃん」
自分の部屋に戻ろうとする私を姉の未来と妹の葵が引き止めようする。その様子がますます怪しい。
普段は私なんか待たずにケーキを先に食べているような姉妹だ。だから余計にこの場から去りたくなった。
「別に家族が全員揃ってるわけじゃないじゃない」
「今日は女子会よ瑞樹ちゃん。ちなみに参加しないと今日の夕飯はありません」
「はぁ、分かった」
どのみち、何かと理由をつけられて逃げられそうにないので私は降参することにした。
・・・
逃げることに失敗した私はリビングにある大机に着席していた。
他の3人はなぜかずっと私の方を見ていて居心地がかなり悪い。
本当に嫌な予感しかしない。
「それでね瑞樹ちゃん。お母さん聞きたいことがあるの?」
そして、ついに母が話しを切り出した。
「なに?」
「彼氏が出来たって本当?」
「な、な、な、なんのこと…!?」
「あらー、和哉の言ってた通りだったのねー」
あー、兄さんが元凶か…確かに昨日はあのまま放置してしまったし。
「おめでとう瑞樹! 初彼氏じゃん!」
「ついにお姉ちゃんにも彼氏が出来たのかー。おめでとう」
「我が家の血を引いてるだけ合ってビジュアルはいいのに、男っ気が無かったからねー」
「まだいるなんて言ってないでしょ…」
「もうネタは上がってんだよお姉ちゃん」
「素直に認めなよー」
「く…」
「それで、お母さんは彼氏くんの写真が見たいわ」
「「私もー!」」
「そんな物ないわよ!」
「えー、本当に?」
あれ?
本当に恭司の写真を持っていないかもしれない。
「本当にないかも…」
「破局?」
「まだ付き合ったばかりだから!」
「まだ付き合ったばかりなんだー」
「どのぐらいなのお姉ちゃんちゃん!?」
「あー、もううるさい! 部屋に戻るから!」
うるさい家族から離れ、自分の部屋に戻る途中で考えた。
恭司の写真…欲しいかもしれない。




