22話
「お待たせ恭司」
今日は日曜日。学校も休みということもあって、お昼から彼と2人でスイーツバイキングのお店に行く予定になっている。
「うんん、全然待ってないよ」
相変わらず彼の方が待ち合わせの場所に着くのが早くて、いったいどれぐらい前に到着しているのだろうか。そんなことを思った。
私だって15分前には着くように家を出たのだけど。
それだけ彼が私を待たせないように早く来てくれているのだと思うと心が温かくなる。
「じゃあ行こっか」
「うん」
集合場所から目的地であるスイーツバイキングのお店まで電車を乗り継いで向かう。
その道中。私は今日の目的について考えていた。
もちろんスイーツバイキングも楽しみなのだけど、本日は恭司の写真を撮るというミッションがあるのだ。
先日、私のケータイのフォルダに彼の画像がないという衝撃の事実を知り、彼女としてそれはどうなのか。
そう思った私は恭司の写真を撮ることを心に決めたのだ。
・・・
「うーん! 美味しい!」
前世で男だった時と違い、今世では女性になった影響か甘いものが好きになった。
だから目の前にある多種多様なスイーツを好きなだけ食べれれると思うと、柄にもなくテンションが上がってしまう。
「な、なに?」
チョコレートケーキを美味しくいただいていると、ふと目の前から視線を感じた。
「美味しそうに食べるなって」
「それはまあ、美味しいから」
「普段は見れないような瑞樹の可愛い笑顔見れて幸せだよ」
「またサラッとそういうことを……食べにくくなるじゃない」
「ごめん。瑞樹が可愛いくてつい」
「もう…」
恥ずかしくてつい下を向いてしまう。でも、不思議なことに彼の口から出た可愛いは何回聞いても嬉しい。
こうやって好きな人と好きな物を食べる。その時間が幸せすぎて、永遠に続けばいいのにと思った。
そんなことを考えていたら私も彼のことを見たくなってその顔を見つめた。
パシャリ。
そしてつい写真を撮ってしまった。
「写真撮った?」
「ごめん。つい」
ふと見た彼の表情がよくて、思わず手が動いていた。
「大丈夫。別に撮りたければいつでも撮っていいよ」
「そう」
「そんなに俺の写真が欲しかった?」
「べ、別にそういうわけじゃ…ただ、美味しそうに食べてるのを見たらつい」
「じゃあ同じだね。俺もさっき撮りたいなって思ったよ。彼氏なのに瑞樹の写真を1枚も持ってないのもあれだし」
私と同じことを思ってた。それだけのことなのに嬉しくてしょうがない。
これからもこうして2人で色々なことを体験して、いい思い出を作っていければいい。
そしてそれを来年も再来年も彼と一緒に思い返せしたい。そんなことを思った。
きっとこれを去年までの私が聞いたら驚くだろう。
でも、恭司と出会えてよかった。彼のおかげで私の生活が色づいていって、今は本当に幸せだ。




