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12話




 授業中。

 気がついたら彼のことを目で追っている自分がいる。



 深井瑞樹は大島恭司に恋をしている。



 これで両思いになったのだから正式に付き合えばいい。

 それでハッピーエンドだと皆んな思うのだろう。



 しかし私には一つ問題があった。この気持ちをどう伝えるのかということだ。



 どんな言葉を使えばいいのか。そもそも私自身が素直になれるのか。



 

 あんな風にストレートに話せる彼の方がおかしいのだ。



 さっきからそのことばかりが頭の中を支配して授業に全く集中できない。

 これで私の成績が落ちたらどうしてくれるというのか。



 中間試験も近いというのに。中間試験……もしかしたら2人で勉強会をしたりするのだろうか。



 それは凄く楽しそうだけど、ドキドキして勉強は捗らなそうだ。



 少し前までの私ならこんなことは考えもしなかったし、想像も出来なかっただろう。




 しかし、こんなにも早く好きだなんて言っていいのだろうか。いくらなんでもチョロすぎやしないか私。



 誰にでも簡単に靡く軽い女だとか思われないだろうか?



 そんなことを考えていたら授業が終わり、気がつけばお昼休みになっていた。









・・・








 昼休み。

 今日も彼と中庭のベンチに座りお弁当を食べている。



「昨日の夜に楽しみにとっておいたアイスを食べようと思ったらなくて、犯人を探したら姉さんだったんだよね」



「それは残念ね」



「そう。それで結局コンビニに買いに行ったんだ」



 2人でたわいもない話しをしつつ食べるお昼ご飯。その心地よさを感じながら今日のメインディッシュである唐揚げを口に入れる。



 なんだか普段よりも美味しく感じた。もちろん母が作るお弁当はいつも美味しいのだが、好意を寄せる相手と口にする食事というのは特別なのだろう。



 ああ、好きな人と食べるご飯がこんなにも美味しいなんて今まで知らなかった。

 



 なんて幸せなのだろうか。







「好き」



「え」



「好きよ大島くん。私と正式に付き合って」




 私の気持ちをどうやって伝えるか。あんなにも悩んでいたのに、気がつけば口から自然と言葉が出ていた。

 



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