11話
いやいや、昨日の私はおかしかったのだ。そうに決まっている。
よく考えてみたら私は彼の何が好きなのか上手く言葉にできないし…
人に好意を真っ直ぐとぶつけられた経験がないから勘違いしてしまっただけだ。
大体のところ彼はおかしい。普通は恥ずかしさとかで、あんなストレートな言葉は言えないはずなのに……羞恥心とかは無いのだろうか?
とにかく色々と言ったが、私は恋なんてしていない。
はずなのに…
「おはよう深井さん」
朝から彼に会えただけで心が弾む。自然と口角が上がってしまうのだ。もう重症である。
「おはよう大島くん。なんでこの駅に?」
最寄り駅が私とは異なる彼がここで待っている理由なんて一つしかないはずだ。
次の言葉を頭の中で想像し、期待して気分が勝手に高揚する。彼はまだ一言も喋っていないのに……
「深井さんを待っていたからだよ」
「私を?」
なんでもない風を装って返事をしたけど、内心では彼がわざわざ迎えに来てくれた事実に心が躍った。
本来の私は人付き合いが苦手で、なるべく1人でいたい人種なはずなのに……
なんで彼だけが特別なのか。そんなこと本当はもう分かっている。
「好きな子と2人で登校したいなって思って」
「そ、そう…」
相変わらずのストレートな言葉。恥ずかしいけど嬉しい。
「連絡はしなかったから、ちゃんと会えてよかった」
「もしかしてかなり待っててくれたの?」
私はいつもギリギリの時間に登校しているから、待たせてしまったかもしれない。
「少しね。でも俺がしたかったことだから」
「連絡してくれればよかったのに」
「気を使わせたくなくて」
「そう」
ああ、やっぱり認めるしかない。私が彼に恋しているということを。
朝には色々と言い訳を並べてみたけれども、もう言い逃れできない。
こんなにも好きというか気持ちが心の中を占めてしまったら、誤魔化すことなんて不可能だ。
私は彼が好き。
理由なんて分からない、そんなものは私が知りたいぐらいだけど……気がついたら好きになっていたのだ。もうどうしようもない。




