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それは、産まれてきたというより、さながら、顕現のような 後

「……そうか。分かった……。青藍、君の決めてくれた名前で決まり、としよう。私の考えていた、ヴァイド、ヴォイド、ボイド、ヴァニディー等と比べると恐らくそっちの方がいい。私の考えてたのは、最初にイメージにあまりに引っ張られ過ぎている。特に、あの、いつの未来からかも分からない、かの未来の息子に引っ張られ過ぎている。合ってないのだよ……。本来の有りように……」


「そう。こんな決まり方だけど、大丈夫?」


「一応、念のために意味だけ聞かせてください」


「わかったわ。貴方って、将来、たくさんのお嫁さんを迎えるんでしょ? 多分、子供もいっぱい産まれてくる。大家族、よね。そんなみんなを、率いていく。引っ張っていく。貴方が家族で唯一のお父さんなんだもの。だから。ライド。貴方が引っ張っていく。方向も。早さも決めて。でも、貴方はそんなみんなから成る家族という舟に乗っている。みんなを信じて。みんなで決めて。託されて。これがどれだけの周回と継承を重ねた末かはわたしたちには分からないけれど。その在り方は率いる者でありながら、全てを決め責を負うタイプの長とは違う。だから。敢えて。わたしはこう形容するわ。『ライド』。ライダーにしようかと最初は思ってたんだけど、ちょっと違うって気づいたから。だから、『ライド』。どう、かしら……?」


「父上も納得いきました?」


「あぁ。相応しいと思う。理由まで綺麗に嵌っているのが実にいい。私たちの望みと、お前自身の望みと、嫁たちや娘息子たちから望まれた姿が合一したかのような。いい、じゃあないか。名前とは、子に対する未来への想いを込めた最初の贈り物であるが、お前に関してはそれだけじゃあないのだからなぁ。既に背負うものがあって。ある意味最初から一人の大人であって。だからこそ、なおのこと、これは相応しいといえる」


「ありがたく拝命するよ。ありがとう、父上。母上。僕、こと、ライドはこの名に恥じない生き方を貫くことを、ここに誓います」


 そう、片膝をつき、頭を下げる。


 その仕草。その言葉。言われるまでもなく、このような行為を選んだということは――確かに、彼が、二人の息子であるということをこれ以上なく証明していた。


 もう、息子たるライドの顔にも、親たる二人の顔にも、憂いは残っていなかったから。


 ドゴォオオオオンンンンンン! バコォォトッ!


「「「……!」」」


()()()くぅぅぅぅんんんんんんんんんんっ!!! ……。きゃぁああああああああああ――!」


 ドアをぶち飛ばして、部屋の壁面にぶつけ沈めて、何の躊躇も無く、部屋へ飛び込んできたリリリスは、三人を見て、正確には、ライドを見て、そして、青藍と少年を見て、そんな青藍も少年も付着物が除かれた一糸纏わぬ姿であったのだから、未だ初心な生娘なリリリスが、顔を真っ赤にして即退散していくのは、至極当然のことであった。


「あ~あ……。修繕に金銭や労働での対価要求された場合、立て替えますので、言ってくださいね、父上。母上」


「追いかけなくていいの、ライド」


「どうせ、コンシェルジュのとこに戻るだけでしょうし。他に未だ知り合いも、他の嫁たちもいない訳ですからね」


「有難いが、必要無いだろう。恐らく、全員ここから出れば勝手に直る筈だ。この部屋の仕様、知らないのか?」


「僕は貰えませんでしたから。そもそも、ベッドのサイズが、どう考えてもこの部屋の面積くらいじゃあ足りませんからね」


「何人娶る気だよ……」


「たくさんですよ。それでも、僕が一度に全員抱ける範疇という、嫁たちとの取り決めの範囲内の人数ですよ?」


「言っては何だが、私は性豪だ」


「知っていますが……」


「ライドよ。お前は、生れ落ちたとき、私があれで完全に発散しきっていたように見えたか?」


「……。敢えて触れないようにしてたのに……。母上、気にしてらっしゃるんですよ、それ……」


「あ……、す、すまん、青藍……!」


「いいのよ。貴方が悪いんじゃあなくて、私たちをたった七日間しか放っておいてくれない、師匠たちが悪いのだから。そういえばさ、ライト。貴方って、打ち止めになったことって、ある……?」


「無いな。そもそも。君に反応するようになってからだからなぁ、こういう行為に興じるようになったのは。それにどうやら、私は君いないと微塵も発散しようがないようだし」


「母上。枷を外して、本気で乱れてもいいのだと僕は思いますよ? 父上が、もう出ないって枯れ死ぬさまを、僕は微塵も想像できない。だいたい、僕が嫁連合軍と仕合って、一方的に勝つのが常ですからね。そんな僕と比べてすら、どう見たって、父上の方がヤバいでしょう? 嫁のうちの一人の言葉を借りるならば、『義父様は、雄度の位階が違うから。もう、男とか、オトコとか、オス、じゃあなくて、漢、とか、雄なのよ。刺さる人なら、目に入れただけで、下手すれば気配だけで、ぽちょんとする位に』とあるので。それと同時に、母上以外にはぴくりとも反応しませんからね、父上。もう見る人によっては、修経者とかに見えるくらいには。話を戻しますが、母上の場合は、指輪を外して、理性を手放せば、もっと長いこと保つでしょうし、復帰も早いでしょう。でも、復帰即ノックバックオーバーキルで、またのびてしまうというのを繰り返すことになるでしょうね……。のびてしまっているならその間は、父上に全てを委ねておけばいいと思いますよ? 念のために、一度限界を確かめておくことをお勧めしますよ? でも、母上も父上もまだまだ成長途上な訳ですし、記録は更新され続ける恐れもありますし、……、ま、その辺は上手いことやってください」


「……。なぁ、俺たちは親子で、なんつぅ話をしてるんだ……?」


「「「……」」」


 そうしてお開きとなったのであった……。






 その愛の巣なホテルを後にしたライドは、出口で待っていた存在に合流した。


「お待たせしました、リリリスちゃん」


 と、彼女の頭を撫でる。


「えへへ。()()()()()()()()ライド君だね~。ん~、ライド君、赤ちゃんみたいな匂いするね!」


 と、ライドの撫でる手をとり、すんすん、と嗅ぐ。


「リリリスちゃんこそ、もうすっかりいつも通りですね。素を投げ捨てて、すっかり甘えん坊さんだね。匂いのことだけど、どうやら、そう世界に認識されているようだね。だから、当分は()()けかな」


「え~残念」


「リリリスちゃんさ。未だ初心なんだし、身体なんて純潔そのものなんだから、そうやってませた振りしなくていいんだよ? 他の嫁たちも未だ、合流してないんだしさ。折角の、肉欲無しの恋人時間なんだしさ。そう長くは無い、贅沢な時間だよ。そして、嫁たちの中でも今回味わえるのは多分リリリスちゃんだけだろうね~。()()()()()()()()()()()()、だけどね」


「うん。わかったわ。ふふふ」


「にしても、リリリスちゃんは、やはり、雑ですよね。何というか」


「?」


「うっかり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それをリリリスちゃんのインパクトで無かったことにできていたらいいのですが。後で問い質される面倒は御免被りますし。まあ、それはいいとして。リリリスちゃん、扉の前にスタンバイしてたでしょう?」


()()()()()()?」


「あぁ、ということは、()()()()()()()()()()()()()の影響ですかね。ということは、今回の周回は、最前線、理論値に最も迫っているということでしょうね。もしかしたら、今回こそ、会えるかもしれませんね。()()と」


「楽しみだね」


 並んで仲良く手を繋いで。二人は学園を、学園街を抜けていったのだった。

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他にも色々描いてます。
長編から連載中のものを1つ、
完結済のものを2つピックアップしましたので、
作風合いそうならどうぞ。

【連載中】綺眼少女コレクトル ~左目を潰され、魔物の眼を嵌められて魔法が使えるようになったエルフの少女が成り上がる話~

【完結済】"せいすい"って、なあに?

【完結済】てさぐりあるき
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