ブルースカイクラウドレース
ブルースカイ、つまり青い空。
クラウド、つまり雲。
レース、つまり競争という意味である……。
《オゾン杯! 第100回 ブルースカイクラウドレぇーース!》
その日、深夜にテレビをつけると、全く訳がわからない番組が放送されていた。
《実況はモチロン! アースアオクモ! さあ今日のブルースカイクラウドレースの参加者がスタートライン手前でスタンバイしてまーす!》
アースアオクモ。
日本語で直訳すると、地球の青い雲という意味だと推測できるが、訳がわからなかった。
よくよくテレビの画面を見てみたら、なぜかレース会場には地面がなかった。
《えー。今回で100回を迎えるオゾン杯 ブルースカイクラウドレース! さて! 今回の挑戦者は! 無事にゴールすることができるのか!》
その言葉に若干の違和感を覚えたが、このレースを最後まで見た感想は……ありえないだった。
まず一直線を一周するコースの上空は、人工衛星が撮影した地球の大陸の写真、そのままが写し出されていた。
だからコースの下は、闇という名の宇宙空間で、コースアウトしたレーサーに待つものは、『アースアオクモ特製:OZDAMーMark.EARTH_ORIGIN』というレーザー兵器でマシン毎、宇宙を彷徨う塵にされてしまうのだ。
《な、なんとー! 記念すべき100回のオゾン杯 ブルースカイクラウドレース! ゴールした挑戦者がいたようです! そうです、最後までレースを見てくれたあなたです! ゴール特て……》
その瞬間、周りが揺れて意識を途絶えた。
「はっ! ここは空? 私、死んだの?」
《オゾン杯! 第101回 ブルースカイクラウドレぇーース! 実況はモチロン! アースアオクモ! さあ今日のブルースカイクラウドレースの参加者がスタートライン手前でスタンバイしてまーす!》
あの番組を最後まで見たものに訪れる末路は、地球の遊び相手となることだった。
青空を見ていると偶にある直線の雲の正体は、このありえないレースに参加した者達が遺した、絶対に届く事がないダイイングメッセージだったのかもしれない。
終。
[あとがき]
幼い頃から青い空を見ていると、真っ直ぐな雲とそれを作るピカピカ光るボートはなんだ?という好奇心がありました。
それが飛行機雲だったことを知るのは、成長してからの話。
この話は、そんな幼い頃の記憶、オゾン層、スペースデブリをイメージして書きました。
お読みいただきありがとうございました。




