濡らす。
頬を濡らす。
これは"目から涙が流れた"ことを表す描写である……。
私は恋愛ドラマを見ている。
「あまりのアルフレッヅ、私は感動的なあなたとの再会に、つい頬を濡らしてしまったわ」
「僕もだよ、マリアンヌ。1825日振りに再会して、一つも変わらない君に、僕もつい頬を濡らしたよ」
(はっ? 頬、濡らしてないじゃん)
翌日。
「おーい、この前やったテストを返却するぞー! 嬉し頬を濡らしたり、悔し頬を濡らしたりしても良いが、悔し頬を濡らした奴は、次回頑張ろうな!」
(先生? 頬を濡らしてないじゃん)
「先生! 頬、濡れてないですよ! 何を言っているのですか?」
ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ!
《イレギュラー感知! 頬を濡らした条約違反検知! 語り手:私を"頬を濡らした空間"に強制転移!》
強制転移後、私は"頬を濡らした監視組合機構"に、頬を濡らした条約違反の措置として、[音声感知付きGPS:No.1825]をつけられてしまった。
頬を濡らした条約。
如何なる状況でも涙を流す言葉は、全て"頬を濡らす"と言わないといけない、これがこの世界の理……。
もちろん「もう涙が出そう」や「感動のあまり、2つの雫が床に落ちて行く」等も条例違反である。
私は悲壮感のあまり、目から川が流れた結果、本当に"頬を濡らした"。
終。
[あとがき]
頬を濡らした……頬を濡らした……、この言葉を作用できる情景描写を思い浮かばせるのは難しいですね……。
魔与音は頬を熱くしながら、頬を濡らして、今にも頬が蒸発しそうだ……、です。
お読みいただきありがとうございました。
*嬉し(悔し)頬を濡らすの意味→嬉し(悔し)涙を流す。




