51:錬金術師見習いルルカ 1/2
【逆にわかり難いかもしれない、ポーション作りの困難さの例え、ボツ版です】
バナナジュースを作るのに、一定量出てくる蛇口があって、10秒間にバナナが一本出るのに、牛乳がコップ4分の1で、砂糖が僅かパラパラしかない状態がある。
規定量に正確なルルカが、美味しいバナナジュースを作るためにバナナと、牛乳をすくいとって美味しいバナナジュースを完成させる。
こっちは美味しいバナナジュースを作るまでに、バナナと牛乳でお腹いっぱいになるけど、ポーション作りは逆に魔力が減ってしまう。
「俺様が、風の魔法でバナナジュース作るぜ!」
「ルルカ……、アーンしてくれたら、もっと食べれる気がするよ」
「そうなんですか? 今度、挑戦してみます!」
「えっ……」(誰と?)
「よし! 女子会でバナナジュースパーティーしよう! 俺様はバナナジュースが作れるし、砂糖は持っていく」
「まぁー」
「お前はもう帰れ……」
ちゃんちゃん!
ルルカたちが、それぞれの過去と向き合ったのは昨日の事。
朝が明ければ身支度を済ませ、部屋を出て、隣りの部屋のネームプレイを眺める。
――アイシアはまだ戻ってない。長い夏の休みの出来事を話せば、なんて言うかしら? 早く彼女の顔がみたいわ。
ルルカの口もとに少しだけ微笑みを受かべると、まだ帰らない親友のネームプレイとにそっと触れ、歩き出す。
◇◇
錬金術同好会の部室に入ると、今日はすでに黒板の前の鍋がグツグツと煮えていた。
その隣りには、錬金同好会の制服を着たセロッティー部長が居て、料理用お玉をもちかき混ぜている。
「おはようございます」
「おはよう。このポーションなのだけど、ちょっと後で手を貸してくれる?」
「どうかしたんですか?」
「それについては後で話すわ。それにしても……いつたいどれくらいの量が必要なのかしらね?」
「どうでしょう? エルドア様が当初、計画されていた量は、今日にも越えそうなのですが、昨日、新しく運び込まれた薬草が気になりますよね。ですが……ちょっと私事がありまして、鍵を返す際にゼロス先生にも聞けずじまいでしたわ」
ルルカは昨日の事を少し思い出し、穏やかな顔で微笑む。
「あぁー、大変だったみたいね? アンドリューは『ルルカがとにかく大変だった。だから俺様と、エルウィンとちゃんとしなきゃだぜぇ』って言って、部室の端で寝てるわよ」
部長は、鍋をかき回す手をゆるめずに、ニャッと口角をあげてそう返した。
「えっ!? えっと……私は大丈夫です。見えてなかったものに、驚いたり、嬉しかったりしましたが、大丈夫です。ちょっと師匠の様子を見てから、紅茶を淹れますね」
「詳しくは、秘密なのね? いいわ。 美味しいハーブティーを淹れてくれるならね」
「うふふ、腕によりをかけますわ」
「お願いね。ハーブはフロートが集めて、皿に入れてあるわ」
「はぁーい」
彼女が教室の奥へ歩き出すと、大魔術師のアンドリューが部室の壁にもたれかかり、腕を組み眠っていた。
そこまで静かに歩いていっても、全身黒の装束の眠る、彼の金の瞳見る事ができない。
ルルカは彼の前に立ち、同好会の制服の太ももの部分に手を付け、お辞儀をするようにそっと彼を見る。
「師匠、ありがとうございました」
起きている彼にはいい難い事を、とても小さな声で囁いた。
だが、しかし――。
瞼があがり、少しだけ金の瞳を覗かせ彼は、「あぁ、わかった」そうとだけ言って、その瞼はふたたび閉じられる。
――これだから、訓練を受けてる方は……、こっそりお礼も出来ませんわね。
彼女は肩をすくめてから、足取りも軽やかに、調理スペースへ行くと、お湯を沸かし始めた。
クルクルと動きまわり彼女が、ティーセットの用意を終える頃には、お湯は熱い蒸気をあげる。
「それにしてもフロート様のハーブのブレンドはいつもながら、巧みね」
ティーポットの中にいれた、それをルルカは横から覗き見る。
多くの薬草を栽培をしている錬金同好会だから出来る、ハーブの使い方。
そうしなければ、モクモクと増えて扱いに困る。
そんな側面もあるハーブの消化の仕方というか、とにかく伝統のハーブティーらしい。
では、と、ハーブが用意されたポットへ、『みんなに元気になって欲しい』祈りを込めながらお湯を注ぎ入れていく。
そうすれば光は出ないまでも、少しだけ風味が良くなり、元気がでる。
そんなことを体感で感じとれる。
――プラゼボ効果だったりしないのかしら?
そんな疑問もわくが、効果を求める物ではないのでそのまま、そしてちょっとおまじないぽくて楽しい。
王国錬金術師になれば、今以上の多くの検査の仕方を学ぶ事が出来るようになるが……。
――もちろん、紅茶の美味しさについて、調査をしている暇はないわよねー?
そんな事を思いながら、ポットの中で踊るハーブたちをルルカはじぃーっと眺めていた。それだけで、心が満たされる。
「ルルカ来てくれる?」
「はぁーい」
呼ばれふたたび、セロッティーと、その鍋の前に立つ。
鍋の中に魔力は感じるが、下ごしらえの様なものだろう。仕上げの魔力までは感じられなかった。
「ルルカ、貴方の魔力をここに入れてくれない? 貴方の魔力が独特なら、その魔力の解明するチャンスは、在学中の今しかないと思うのよね!」
「わかりました」
昨日の夢の中の過去、あの時の気持ちは鮮やかにとまではいかないまでも、思い出しながら時間の経過でも、色褪せない思いをつむぎ合わせていく。
それをポーションに適した、魔力の属性とともに流し込んでいく。
そして光が現れ、ゆっくり、ゆっくり魔力を注ぎ、胸のペンダントの光の様子を眺めながら……。
ペンダントから発せられる青い光の次に、現れた炎の赤い光と、鍋の表面に広がる淡い光の様子を確認すると、魔力と火を止める。
「出来ました」
ルルカの言葉に、多少の疲労が混じっていた。
ペンダントは、一定量を越えた魔力の放出せき止め、余分なその属性魔力を象徴する色の光に変えてくれる。
そのおかげで、今では危なげなくルルカは、爆発を抑えこめる様になっていた。
しかし、ルルカの魔力を無駄に光として消費する量が、目に見えて抑えてこめるまではいたってはいない。
青、水の属性の光が、次の赤の光にともるまでしばらくの時間がある。その間、水の魔力は無駄に流れつづけている。
もし満足いく薬ので出来映えができたと同時に、水の光が点るようになれば、どの属性を、どの割合で注ぎこめばいいかの研究が始められるはずだった。
その頃には、ルルカは魔力の結構な使い手であるはずなので、理想を言えばってところかもしれない。
続く




