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報告-17の月、6日、4枚目

二人で過ごす久しぶりの時間

東の国から用意された夕飯に一品を足して、ペアンと分け合うサクラ。

いつもは賑やかに皆で食べているので、少しだけ寂しい気持ちになる。


空間魔術の中の厨房はカウンターがついているため、二人は横並びで座っている。

ペアンがサクラの顔を覗き込んで、話しかけてくる。

「サクラ、この後はどうする?」

「今日は案外疲れているので、皆さんにご挨拶の手紙を書いたら眠ろうと思います」

「そうか・・・サクラ・・・我はあやつらが戻ってくるまで人型で居ても良いか?もちろん他の者には見えないようにしているが」

「はい?良いですよ?」

首を傾げながらもペアンに気遣われていると感じたサクラは、いつも通りの笑顔を見せる。


「そうか・・・ありがとう・・・で良いのか?」

「そうですね、もしペアンくんが私の返事に喜んでくれているのなら、ありがとうと言ってくれると私も喜びます」

「うん、では、ありがとうだな」

ペアンも微笑む。

「はい。私からもありがとうございます。次は紅茶でも飲みますか?」

「あぁ、ミルクティが良いな」

サクラがミルクティを準備する間に、ペアンが皿を洗う。


のんびりとお茶を飲みながら、サクラはそれぞれの紙に通信を行う。

「よし、業務連絡終わり。後は、ウィスカーさん、そちらはどうですか?」

ブローチに手を当てて、ウィスカーに話しかける。

「サクラちゃんがいないくらいで何もないよー」

「ふふ、それは勘弁してくださいね。わっ、皆さん返事がきましたが・・・」

それぞれの手紙に返信が届き、ほんのりと紙が光る。


「他の奴らはそれぞれテントに入ってるんだっ。あたしは今夜はゴッセのテントに居る。昼間に本体に戻って、日の光を浴びて、夜に警備することにしたのー」

「・・・あら、夜勤になるんですね。お疲れ様です。そうしたら朝か夜に話しかけて、日中は避けますね」

「妖精は睡眠にこだわらないから気にしないでねぇ。月の光でなくても、魔力があれば一年くらい寝なくても平気なんだっ」

「あら、それは凄いですね」

「うん、だから必要があるときはいつでも呼んでねー」

「はい。では今夜のお仕事、頑張ってください」


ウィスカーとの通話を切り、手紙を返信する。

横からその様子を見ていたペアンは呟く。

「六人分の手紙を返しながら、通話をするのは器用なものだ」


思わずサクラは苦笑してしまう。

全員が一斉に喋るのだとしたら聞き取るのは苦しいけれど、履歴が残る文章ならお手の物だ。

一先ず全員の体調に変化はないようで安心する。

持って行ってもらったお菓子はそれぞれの口にあったようで、何よりだと微笑む。

コッヘルのアレルギーも発作が起こらなかったのは、ラスパのレシピのおかげだと二人で喜んだ。


嫌がらせを受けていたことを思い出し、安全のために部屋の寝室ではなく、厨房奥の寝室を使うことにした。

「よーし、では眠ります」

「今日はもう少しこの姿でも良いか?」


普段であれば猫型でベッドを使うペアンが、人型のまま質問してくる。

サクラはペアンなりの気遣いなのだろうと了承する。

「ペアンくんが安心できるまで人型で居てもらって、大丈夫ですよ。そのまま一緒に眠りますか?」

「・・・サクラの邪魔にならなければ・・・」

「ペアンくんが人の姿だと寝相が悪いのならば困りますが、そこはどうですか?」

「我の寝相は・・・悪くないはずだ・・・誰かと眠ったことがないから分からない」

「ふふ。では、寝相がいいと信じますね。・・・お布団、半分どうぞ」


寝室に設えたベッドはダブルサイズのため、二人で横になっても狭い感じはない。

室温も適温に整えられているため、もしどちらかが掛布団を奪っても、寒い思いはしない。

仰向けで眠るサクラの手をペアンが握る。

「・・・いつもよりサクラが暖かい」

「猫の姿より人の姿の方が、体温が低いからですね。ペアンくんの体温が下がった分、私が温かく感じるのでしょう」

「サクラ、いつもみたいにこちら側を向いて、眠ってもらっても良いか?」

「ん?はい」

サクラはペアンの方に横向きになる。


「・・・うん。サクラが猫の我にするように、抱きしめてみたい」

「なるほど・・・ちょっと不思議な感じですが、どうぞ」

唐突な提案であるが、サクラとしては子供が母親に甘えるようなものだと感じて受け入れる。

サクラは出来れば猫様を抱きしめて眠りたいが、たまには魔物も甘えたいときがあるのだろうと考える。


「えっと・・・我の手はどこに置いたらいいのだ?」

「私の脇腹の上か下で良いと思います。重ければ、引き抜いてください」

「あ・・・うん・・・重くない。・・・近くにいるとくすぐったいな」

「息苦しければ離れますか?」

「ううん、止めないで。このままで居て」

「はい、では、おやすみなさい。穏やかな夢が訪れますように」

「お休み・・・サクラ」


幽閉一日目が穏やかに閉じた。

いつものようにペアンの温かさを感じて、すぐに眠りに落ちて行った。


環境の変化は多かれ少なかれ、心身に負担が掛かりますね。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

連日23時にアップ予定です。

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