報告-17の月、4日、コッヘル時々アドソン
前提の違いがすれ違いを呼んでいる。
なぜ?
ガゼポの椅子に座って動けずにいたところをエレバに話しかけられる。
「・・・主よ、西の国の騎士が戻って来ているがどうする?」
「なぜ?・・・いや、伝言だけではダメな理由があるのだろう、会うと伝えて」
返答をしながら、顔を持ち上げるとアドソンがいる。
「そりゃぁどうもー。サクラの地雷をぶち抜いたって聞いたから、話に来たんだ」
「アドソンさん、『地雷』とは?」
何のことだか分からず固まっていると、エレバが代わりに質問してくれる。
「あぁ、『貴方はそう考えるのですね』って言っただろ?あれだよ」
「へ?それくらいの言葉は普通に使うだろ?」
「ラスパ・・・私もそこで彼女の空気が変わったと感じたんだ」
「笑顔のはずが、どう猛な魔獣に見えましたね」
「えぇ?そうなの?」
三人のやりとりを見ながら、カラカラと笑うアドソンは続ける。
「サクラっておもしれーな。ちなみに俺らもその言葉で地雷をぶち抜いて、サクラが話してくれるまで怒ってると思ってたんだ。一つ言えることはあれは怯えだったんだ」
「怯える・・・なぜ?」
「なぜ、かー・・・んーアイツが言っていただろ?俺たちのところと、ここの・・・今は婚約者候補はサクラがこの世界に居て良い理由なんだ。正解とか不正解じゃなくて、ここに椅子を置いてもらったから、アイツはこの世界の人間ではないからこそ、全力で居場所を守ろうとしている。それは分かってくれるか」
「詐称については何とも言えないけれど、役割があるから存在出来るという考え方は理解出来ます」
「うん。でも、サクラは違う世界の人間だから、サクラはこちら側の人間ではないからと線を引いたように、サクラが感じる言葉が『貴方はそう考える』なんだ」
「それは・・・そんなつもりはなかった」
「俺たちもそうだったんだー。そんな言葉でなんで怒るんだって思った。意識的でも無意識でも線を引かれたから、それは切り捨てられることだって思うらしいー。まぁ婚約がダメになれば俺たちは出て行って自由になるだけだけど、一応サクラとしてはお前ら三人は内側に入れた人間らしいよ」
「それで切り捨てられたから、怯えていたんですね。そう思わせてしまったのですか?」
「それを知って謝罪しろということですか?そもそもそちらが詐称などしなければ良かったのではないですか。本物の王女もいないのですから!」
なるほどと頷いている間に、エレバが声を荒らげてしまう。
「え?」
「あ、エレバっ」
「あぁ・・・すまない。昨日の話の中に同席していたメッツェン嬢が本物だという確証がなかったんだ。それで私たちは王女がここにいないと仮定して話し合っていたんだ」
「あーそこが引っ掛かっていたのか。サクラも俺達も昨日は何も嘘はついていなかったんだが、伝わっていなかったんだな」
――――サクラがゴッセの名を敢えて出さなかったのは、サクラの異質な存在を目立たせて、ゴッセを隠すためか。聞かれれば答えただろうけれど、逆効果になったんだな。
「は?意味わかんねぇ」
ラスパも苛立ってきている。
両手を頭の高さまで上げたアドソンは、すまんすまんと軽く謝っている。
「お前らが俺達を理解出来ないように、俺たちでもサクラを完全には理解できてない。でもサクラは聞けば教えてくれるし伝えてくれるんだ。気になったことは聞いてみれば良いんだよ・・・言いたいこと言ったから戻るけど、何か質問はある?」
「・・・もし今日夕食を一緒にとお願いをしたら、また話は聞けるだろうか?」
「確認してみるけれど、たぶん大丈夫だよ。明日でも良いだろうけど」
「明日は元々設定していた婚約式があるんです。この婚約を成立させてしまって良いのか、最後の確認をさせてください」
「・・・なぁ、コッヘルって天然なの?したたかなの?」
「えっ?どういうことですか?」
「いや、その確認があるってことも含めて、伝えておく。断ることはないと思うけど、後ほど返事をもってくるな。そっか、明日か」
考えこむようにしてアドソンは去っていった。
夕食の誘いを了承するとの返事がすぐに届いた。
なぜという疑問は全て聞いてしまおう。
夕食が最終決戦です?
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
一週間ほど多忙&ストックの体裁が整えられず、不定期となります。
毎日アップを目標にしてきましたが、とうとう途絶えそうで悔しいです。
時間と業務量管理のスキルを上げたい。




