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報告-16の月、17日、2枚目

図書館の匂いって好きなんです

サクラと猫型で透明なペアンとアドソンは東の王城内を歩く。

コッヘルの手配で、初日にコッヘルたちとの話し合いの場まで案内をしてくれた護衛が、図書館まで案内してくれるそうだ。


「ケーニッヒさんに毎回案内してもらうのは、申し訳ないなー」

「いえ、コッヘル様から丁寧におもてなしするようにと、お話を受けています」

「そっかー、ありがとう!」

アドソンの人懐っこい笑顔のおかげか、東の騎士のケーニッヒもリラックスして案内をしてくれている。

メイドの立場のため、サクラは後ろからついていくだけだ。

キョロキョロとしないように、そっと周りを観察する。

東の国の騎士服も階級や、所属によって色が違うそうだが、コッヘルの髪と瞳の色に合わせて、バーガンディのような色合いの服装だ。

アドソンは深緑の騎士服のため、色合いのバランスが良いと、サクラは目の保養になっている。


メッツェンの客間は王城の二階部分に当たるそうだ。

図書館は離れの塔にあり、一階部分は使用人たちも使える部分、二・三階は魔術師や騎士団の記録、禁書など立ち入りが制限されている空間だという。

サクラたちが目的とするものは一階部分で良さそうだと入室の手続きを行う。

コッヘルが書いてくれたカードを見せるだけで良いのは助かる。


「クラ、メッツェン様の話していた図書は三番目の列と、七番目、あとは一番奥の列だそうだ。東の国の流通に関しては奥の列だな」

「では、奥から参りますか」

「そうだなー。貸し出しの制限はない見たいだから、気になったものを片っ端から借りれば良い。俺とケーニッヒさんで持つよ」

「わっ、私もですか?」

「いえ、自分で持てる範囲の数冊に抑えます。大丈夫ですっ!」

図書館の司書に鋭い視線を送られて、三人は咄嗟に口を押える。

苦笑しながら、一番奥の列から見ていき、合計十五冊の本を借りることになった。


アドソンとケーニッヒで持つと言われたが、サクラは五冊持つと言い張り、部屋に戻ることになった。

図書館から王城に戻り、清潔感のある廊下を歩きながら、サクラは周りを観察する。

本五冊の重みは心地よく、西の国とは少し違う落ち着きのある壁の装飾などに、サクラはご機嫌で窓の方を見ながら歩いた。


「あっ、ごめんな、あぁっ」

前を歩く騎士たちが立ち止まったことに気付かず、サクラはぶつかってしまい、本がバランスを崩した。

床に散らばった本に傷がついていないか、早く回収しなければと気持ちが焦る。


「こちらもどうぞ」

聞いたことのある声と共に手元に本が差し出される。

「あっ、ありがとうございます」

コッヘルが本を拾って渡してくれたのだった。

エレバが奥にいる騎士二人にお小言を言っているのが聞こえる。


「サクラ嬢の話していた図書ですね。こんなに借りたのですか?」

「はぃぃぃ・・・お申し付け通りの本を選んで参りました」

コッヘルはエレバと騎士を放っておいて、メイド姿のサクラに話しかけてくる。

メッツェンの姿しか知らないはずのコッヘルが、一メイドに話しかけてくる事実がおかしいのだが、目上の者に話しかけられれば、下の者に拒否権は無い。

出来る限り視線を下に向けて、返答する。


「サクラ嬢に伝言をお願いします。勤勉で多趣味な貴方ともっとお話したくなりました。明日の昼食とお茶の時間を楽しみにしています、ね」

「・・・はい。必ずお伝えいたします」

依頼を承ったことを伝えるために顔を上げると、コッヘルはサクラをまっすぐに見つめて微笑んでいた。

サクラが一礼すると満足したのか、エレバに声を掛けて立ち去る。


「お二人にもご迷惑をおかけいたしました」

「エレバに怒られちゃったから、クラの本は俺が持つなー」

「重ね重ね申し訳ありません」

「クラなら五冊くらい平気で持てるのに、過保護だよなー」

「アドソン殿、流石にそれは・・・」

「いえ、災害支援なども経験はありますので、野宿も開墾も出来ます」

「なんとも・・・頼もしいですね・・・」

苦笑で誤魔化しながら、メッツェンの客間に戻り、ケーニッヒから本を受け取る。


「ということがありましたー」

「ねぇ、それメイドがサクラだってバレたんじゃないの?」

「バレたと思いますよ?」

「え?それやばいよね?」

「大丈夫ですよ?」

「え、どういうこと?」

一旦落ち着いて整理しようと、それぞれがお茶を飲む。


「メイドがサクラだとバレても、メッツェンがサクラがとバレなければ良いんですよ。どうせ初日から変な王女が来たと思われているんですから」

「たしかにー」

「うん、まぁ、そうだね」

「もし王女がメイドの服装でうろうろするのは好ましくないと仰るならば、退去すれば良いだけです。我々の勝ちです」

「・・・そうだね。気づいていない、もしくは、何も言わずに婚約成立させるなら、それはそれでサクラの勝ちになるのか」

「はい、ですので、問題はありません」

「・・・問題がないとは言い切れないが・・・まぁ今は良いか」

小さく溜息をついたゴッセを、機嫌よく尻尾を振る猫型のペアンが見つめていた。


日差しが当たる窓辺に座ると眠くなるのはなぜでしょうね。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます

連日23時にアップ予定です。

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