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報告-16の月、12日、6枚目

アレルギーの発症は個人差や体調の影響を受けます。

昔よりも解明されたこともあれば、それが治療に結びつかないこともあります。


「初めて間近で見た時に、手首がガサガサとして痒そうでした。普段から手袋は好まないのだと判断しました。ゴッセさんの出迎えの服装は肌に優しい素材で、地味に見えないもの、先程の平服も肌をしっかり覆って露出は控えめでした。恐らく肌にも影響が出ていると思います」

「そういうものアレル・ギーに入るんだね」


サクラの知識はこの世界には無いものも多い。

西の国の三人、ペアン、ウィスカーは『そういう存在』として話を聞いてくれる。

しかし、その前提が無い人に急に話をしたところで、変わり者と思われて終わるだろう。

伝えるチャンスは一回だけ、成功しなければ、コッヘルからの信用は得られない。

婚約をどうするかに関わらず、体調を安定させることが出来るならば、サクラにとっては有意義だ。


「アレル・ギーの考えがこの世界には無いので、言ったところで理解してもらえないかも知れません。私が闇雲に説明しても、分かってもらえないでしょう。ただ、コッヘル様と同じ食事だと言って厨房のお弁当を出してこなかったのは、コッヘル様の好みだとか体調に関して偽らないという誠実さの表れだと考えています。」

「お弁当を誤魔化さなかったのは、サクラちゃんとしては良い評価なのっ?」

「はい。最初の食事ですから、何を出してもこちらは信じるしかないでしょう。けれど、それをしなかった。理由は分かりませんが、私はそれを誠意として受け取りました」

「サクラちゃんって、たまに周りの人間に激甘判定するよねぇ」

ウィスカーが笑う。

「その自覚はありますよ。体調が良くなるお手伝いができれば、コッヘル様も寿命に怯えなくて良いと思いました。生きるのを諦めている人には見えませんでしたから。仮初の結婚の後、臣下に下り、地方の領地でも分けてもら、そこでのんびり過ごしてもらえば、私たちも自由に過ごせるのではないでしょうか」

「ふむ・・・飽くまでも、サクラと俺たちの自由を求めるんだね」

「もちろんです。そのためにここに来たのですから」


言い切ったサクラを見ながら、ゴッセは微笑みを深くする。

「そっか・・・スタンツェ、アドソン。俺はサクラがあいつらを引き入れることに賛成するけれど、どうかな?」

「魔術の研究が出来れば、文句はない」

「俺もうまい飯が食えて、体を動かせれば、どこでも一緒にいくぞー」

和やかに話がまとまり、サクラはホッと一息をつく。

温くなったミルクティを一気に飲み込む。


はたと気づくと、サクラはペアンの膝の上に座っている

「ペアンくんとウィスカーさんも、私と一緒にここに居てくれますか?」

「サクラの知識が我の欲を満たしてくれるのだ。サクラがいる場所に我も居るぞ」

「サクラちゃんが困ったときに、一番に相談に乗るのはあたしだよっ!」



アドソンがソファから身を乗り出して、サクラに問う。

「なぁ、サクラ。あの王子と食事するときは制限が掛かるってことだよな?」

「まぁある程度は。今日食べたものは大丈夫だったとしても、空気に混ざっている成分で体調を崩すこともあります」

「えっ?ほんと毒みたいなんだな」

「そうなんですよね。でも、他の人は食べられます。なので、料理中やお食事を上手く分けて、見た目は一緒で中身を変えたり、体を整えたり、ゆっくり体を慣らす方法もあります」

「えっ、治せるの?」

「慣れることもあるという意味です。まだ、細々を説明出来る段階ではないですし、実は何らかの病気や呪いがあるかも知れません」

「別の理由も考えられるか」

「そもそも、治療法が確立していないことを王子様に向かって試せるほど、私も無鉄砲ではありませんよ」

「もし治療が出来たら、ずっと食べられないわけじゃないんだね」

「ずっと食べられないものも多いですし、最悪死にます」


寿命が延びると確定するわけではないと言い切るサクラ。

それでも眼差しの力に、ゴッセは考え込む。

「・・・うーん」

「まぁ、諸々動くのは医魔術の知識を深めてから考えます」

「それなら、エレバは医魔術や薬について研究していたはずだ」

「わぁ、それは嬉しいことです。明日から徐々に学んで行きますね」

「なぁ、サクラ。食べ物の話をしていたから、俺腹減ったー!」

「俺も食べたい」

「お前らはまだ食うのか」

「はーい、追加で作ります。まぁ悪意は感じなかったので、調査に関しては東の国の方々に任せますね」

「東の国からの報告だけ受ければ良いか。実害はなかったわけだしな」


「まぁそれでも良いです。今日の収穫は、コッヘル様、エレバさん、ラスパさんとベールなしで会話出来たことですね。あっ、偽物だとはバレていないですよね?」

「偽物というか、驚きすぎて王女なのかを怪しまれていた気がするよ・・・」

「まぁ、今日のことで婚約者候補不適合となるなら、願ったりかなったりですよ。正々堂々と逃亡しましょう」

「・・・あぁそうだな。皆で自由に旅でもしようか」

ゴッセはサクラに提案し、サクラは微笑んで頷いた。

アレルギーは甘えでも我儘でもありません。

治療ガイドラインが変わりましたが、体調に関してのご相談はかかりつけ医にお願いします。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます

連日23時アップ予定です。

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