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報告-14月、8日、アドソン

様々な慰霊の形

慰霊祭、晩餐会が終わった。

引継ぎや手続等の処理を行い、翌日の昼過ぎにこちらを出発することになったのだが、サクラはイスイ村の村長であるスティーレからの伝言を受け取った。


今回の災害で亡くなった村人が慰霊祭の後、見つかったのだという。

村人たちは諦めていたが、一部分でも良いから正式に埋葬したいと考えているそうだ。

土砂崩れの近くにある祠が墓地と兼用されているそうで、サクラに埋葬の付き添いを頼んで来たのだ。


「そんな訳で、一旦保留としてきました」

サクラが引き留めるのは珍しいな。


「保留して、どのくらいの後に立ち入りの制限を緩めるつもりだ?」

「そこは私に聞かないで下さい。ただ私としては災害発生からひと月は開けた方が良いと思っていましたので、ちょうどいい時期なのかもしれません」

「山肌に草が生え始めているから、地盤の再生は始まっているんだろうなー」

「はい、そして私たちが引き上げた後に、例えばひと月後に住民たちで祠に近づき、事故があっては管理責任を問われるかとも考えました」

「管理責任の前に、ポッツの話だと、ひと月後だとこの地は雪が積もっているんだよなー」

「そうですか・・・」

イスイ村近くの出身の騎士から得た情報のため、サクラも強くは言い出せない様子だった。


執務を行っているメッツェンが顔を上げる。

「あたくしは着いて行けないけれど、貴方たちが行きたいなら今日行ってきて良いわよ?」

「んー新しい災害がすぐに起こるとは思っていないんですが、不安はあります。まだ大地に水分がたっぷり含まれて居るでしょうから」

「土属性の者達に意見をきいたら?」

先発隊を出して、条件を確認してもらえば、安全性は増すのだろう。

まぁダメならダメで、村長と領主たちに任せても良いのだと思い直す。


「んじゃ、俺聞いてくるわー」

「なんだか大げさになってしまって済みません」

「あたくしに謝罪しているなら、誠意を尽くして頂きたいわ」

「・・・埋葬できなかったら謝罪しますね」


結果は短時間であれば可能だと言うことになった。

「ありがとうございます、ありがとうございます!」

俺とサクラが村人に説明し、これから限られた人数で墓所に向かう事になった。


肌寒いが晴れている空とこれから向かう山を見上げて、サクラは目を細めていた。

「村の方々の生活の一部である祠の内部を知ることが出来ますが・・・私たちが知っても良いのでしょうか?」

「村の奴らがサクラになら良いって行ったんだろう、喜んで良いんじゃ無いか?」

「そうですね、信頼してもらえたと言うことですね」

朗らかにサクラは笑う。

村長と家族の代表者、遺体を運ぶ部下数名を伴って、俺とスタンツェとサクラは山に分け入る。


中腹にひっそりと洞窟の入り口があった。

村からは祠の屋根が見えるのに、山の麓からは全く見えず、今回の山崩れの近くにはずなのに何の影響もないような佇まいだった。

こういう場所は何とも言えない空気が漂っていて、背筋が伸びる。


村長と家族が案内をしながら、先に入る。

奥は思ったよりも広く、祭壇の様なものもあった。

祭壇の左側に部屋がありそこに遺体を置くのだそうだ。

ひと月ほど置いておくと、遺体は魔石になるのだという。

住民の誰一人も理屈は分からないが、昔ここを訪れた魔術師が言うことには、生きていたときの魔力と同じ様な波長が見えるそうだ。

「なるほど、そう言われてみれば近しい魔力だな」


魔石となった遺体は、各家族の割り当てられた場所に安置するのがこの地域の決まりだという。

岩壁を抉った穴に、大小の魔石が無数に納められている。

小さな山間の村でずっと生活していても、遺体の安置場所が足り無くなることはなかったのはこういうことらしい。


 興味が湧いたスタンツェと俺は、スティーレ達にいくつか質問をする。

「わしらは経験したことと、伝承しか分からないが・・・」

戸惑いながらも、懸命にこの場所が心の支えになっていると話す。

魔術の知識がなく、魔力も少ない村人たちにとっては、ここは神聖な場所に写るのだろう。


だが、ここに蓄積された膨大な魔力が何に使われるはずだったのかが、スタンツェには気になるようだ。

人間の体が魔石になるという【変換装置】を、どのように作り出したのか。

ここは墓所ではなく、研究施設だったのではないか?と仮説を一人呟いている。


 質問を終えた俺は住民と部下たちとで遺体の安置について確認する。

住民には直接見せていないが土砂に埋まっていた遺体であるため、損壊や腐敗がある。

今は布に包まれているが、安置するのはこのままで良いのかが分からない。


そして、スタンツェは仮説を立てた後情報を集めるために、村の始まりのことを含めて話を聞いていたため、二人ともサクラがいなくなったことに気付かなかった。


サクラがいなくなったことに気付いたのは、祭壇の右手奥から爆発音が聞こえてきたからだった。



まぁフラグは立っていた。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます

連日23時にアップ予定です

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