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報告-11の月、9日、2枚目

のんびり第二弾

サクラは沢山の人から話を聞くことが出来た。

しかし、ホルスにお礼を伝え忘れていたことに気付く。

忙しい中で図書館の案内をして、ここで使用人たちの意見を聞く手筈まで整えてくれたにも関わらず。


「社会人としてお礼も伝えないだなんて、なんたる失態・・・」

菓子職人のミテルを見かけて、材料とコンロを貸してもらう。

今は誰も使っていなかったので、残りの時間はお菓子作りをして過ごすことにした。

「さて、ペアンくん、降りてくださいな。少しだけお菓子を作ります」

「ニャ」

「誰か来たら教えてくださいね」


朝食で余ったロールパンをスライスして、コーヒーとバターと砂糖を混ぜたシロップを作る。

「よし、なんとかなるかな」

「ニャ」

オーブンで焼きながら、一人と一匹でお茶を飲む。

厨房のオーブンやコンロは料理の魔術か火の魔力の者しか反応しないようになっているらしい。

と言っても、この世界では料理の魔術なしに優秀な料理人を目指すのは難しいそうだ。

家庭料理などはサクラのように出来るため、趣味の範疇で落ち着く者がほとんどだという。

前回はミテルが居たため不便がなかったが、今回はミテルは付き添えないとのことで、オーブンは先に加熱しておいてくれた。

コンロはいつの間にか火がついており、ペアンが着火してくれたようだった。

サクラは出来上がったお菓子がペアンの食べられる物か分からないため、食べられずに機嫌を損ねる可能性を見据えて、褒めたたえておいた。


お菓子が出来上がり、厨房に洗った器材を戻し、ミテルにお裾分けする。

今日もベレー帽をきっちり被り、彼はクルミを砕いていた。

先にペアンとつまみ食いをして味を確かめたので、皆にも食べて貰える味だと思う。

ペアンは普通の猫と違い、お菓子もだいぶ食べられるようで、サクラはホッとする。

買い出しの時に買っておいた紙袋が素敵なお菓子に仕立て上げてくれている。

「おぉ、ありがとな。後ほど食べてみる」

「はい、無理して食べなくても大丈夫ですから。あと執事長さんにも今日のお礼をしたいのですが、差し出がましいでしょうか・・・」

「王女様付きのあんたなら良いんじゃないか。執事長室に行ってみたら良いのでは?」

「いらっしゃるか分からないですが、お礼だけでも伝えてきます」

「はい、行ってらっしゃいよ」

結局ホーマンは不在だったので、部屋の前にいた騎士にお礼の伝言とお菓子を託して退室する。


自室に戻る途中、メッツェンの部屋の前にゴッセとアドソンがいるのが目に入った。

なぜ扉の前で話こんでいるのだろうか?

二人の自室は廊下の反対側だ。

「・・・サクラか、どうしたー?」

「お休みを頂いたのでお菓子を作りました。食後のお茶の時間に召し上がっていただこうと思って持参しました。いかがでしょうか?」

「へぇ、うまそーだな」

「はい、メイドさんがいらっしゃれば渡そうと思ったのですが、このままお渡しして良いですか?」

「あぁ良いよ。一緒に茶を飲むかー?」

「あ、アドソン、今日はサクラの休みだろう?」

「そうですよ。これは私の休日ですので、お茶を淹れるのはお仕事ですからやりません。皆さんはお休みの日にたまたまあって、たまたま作ったお菓子を渡したので、たまたま今日お菓子を食べるんです。明日感想を聞かせてください」

「そっか、そっか、たまたま、ね。分かった。ありがとなー」

「俺様が美味しく頂いておいてやるぜっ」

「はーい、あとメイドさんにも分けてあげてくださいよ」

「そっか・・・分かった」

「では、よろしくお願いします。失礼します」


自室に戻り、読書を始める。

集中していたからか、いつの間にか膝の上にペアンがいた。

ふと視線を上げると遅い時間になっており、ウィスカーがベッドに腰かけていて驚く。

テーブルには賄い食の海鮮焼きそばが乗っていた。


「あ、お帰りなさい。お菓子食べましたか?」

「うん、美味しかった。でもあいつら一つずつしかくれなかったんだよっ」

「そうだろうと思ったので、私たちの分を取ってあります。一緒に食べましょう」

「わーサクラちゃん、大好きっ」

「シャー」

「はいはい、怒らないのっ」

「ふふっ。お、そういえば、これからしばらくの間、使用人の賄い料理は地方の伝統料理が出てくるそうです。明日は北部の煮込み料理と聞きました」

「へぇ、どういう風の吹き回しなの?」

「私が地方の伝統料理を知りたいと話したら、皆さんが教えてくれたんです。ついでに皆で食べてみたいという話になりました」

「そうだったんだ。じゃぁ明日からも美味しいご飯だね」

「はい、楽しみです。でもあの三人はいつも通りのコースですので、ちょっとだけ仕返しです」

「あ、サクラちゃんが意地悪な顔してるっ」

「ふふっ。さぁ、皆でラスクを食べましょう」


穏やかで楽しい休日が過ぎて行った。

作ったのは簡易コーヒーラスクです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

連日23時にアップ予定です。

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