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報告-17の月、8日、アドソン

いつの世も面倒見の良い真面目な人が世の中を動かしてくれているという話。

『金の亡者団』ホプキンス達が意識を取り戻す。

東の国の三人は初めて会ったから、お互いに自己紹介している。

こちらとあちらの情報交換を行い、これからの辻褄を合わせる。


「本当はホプキンスに処理を頼んで置いたんだけど、勝手に殺し合っていたね」

「こっちとしては気の進まねぇ案件だったから、勝手に死んでくれていたから良いんだが・・・なぁ・・・王子様とやらが、ここに来るとは聞いてねぇよ」

「うん。話してないね。本当はいないはずの人だから。新しい頭はそのままホプキンスに頼むよ。俺たちは一国民として潜伏して、どっかで働くから。王族の血を引いていることは見逃して」

ゴッセが軽くお願いすると、ホプキンスが眉を顰める。


「おい。条件が変わってるじゃねぇか。王族がいるって言うのに、平民の俺が王ってなんの冗談だよ。そこの王子に」

思わずコッヘルを指差してしまったホプキンスに、コッヘルが笑顔で声を掛ける。

「コッヘルです。ホプキンスさん」

「おっ、おう・・・コッヘル様だな」

「いえ、コッヘルで良いんです」

「おぅ・・・いや、そうはいかねぇだろ。隣の国の王子様なんて、俺達みたいな端くれ者には高貴すぎるんだよ」

コッヘルの笑顔はただ単に楽しい様子だが、ホプキンスからしたら何を考えているか分からない笑顔なんだろうな。

王族に名前を呼びすてするどころか、平民は普段話すことすら許されない存在とされているのだから。

眉尻を下げて困ったようにコッヘルは笑う。

「そう言われましても、私は東の国からメッツェン嬢の付き添いで来ただけなので」

「そんな事言ったってなー。平民が国王なんて冗談にしか聞こえねぇよ」

「ホプキンスが国王になってくれれば、今までの『金の亡者団』の恩赦と、国家予算が貰えるんだよ。良いじゃないか!」

「その金は俺個人のじゃねぇだろうがっ」

横やりを入れたゴッセに的確にツッコミを入れて行く。


ホプキンスのやりとりを静かに観察していたラスパが近づいてくる。

「・・・思ったよりしっかりした人なんだね。金さえ払えば何でもやる人達なんでしょ?」

「んー汚い金は受け取るけれど、汚い仕事は握り潰してきたんだってさー。読み書きがある程度出来るから、平民の代表としては適材だと思ってるんだー」

東の国の三人に、サクラが迷子になった時の話をしたら驚きそうだなと、にやけてしまう。


「なぁ、おい、アドソン!お前も何か言ってくれよ」

ホプキンスがこっちに話を持ってくる。

そんなことを言われても、この中で誰かが一度王座に就かないといけないのならば、俺以外の誰かが適材だ。

「えーっと、クラが言ってた期間限定の領主で良いんじゃねぇの?メッツェンは生涯幽閉、コッヘルを領主として、五年間は東の国の領地の一つになって、ここを安定させる。その間にホプキンス達が国政を担えるように、一緒に働けば良い。五年経ったらホプキンスが領主で、その後も定期的な交代制にするんだ」

「交代制の国王?なんだそりゃ、誰が責任を取るんだよ」

やっぱりホプキンスは話の要所を抑えて聞いている。

現場で色々やってきた男だろうから、社交界しか知らない貴族の若いやつらより、よっぽど信頼できるんだよなー。


「・・・あー、クラはなんていってたっけかー」

「覚えていないのかよ」

「腹減ってた時だったからなー」

ホプキンスが鼻で笑う。

夕飯のことしか考えていなかったから、聞いてなかったんだよ。

後で、サクラに連絡してみようか。


パンと小さく一回手を叩いたゴッセが、口を開く。

「んじゃそれにしようか。ダメならまた考えるし、国民が賛成してくれるかは分からないからね」

「お貴族様が平民の国王なんて、大反対するだろう?」

「コッヘルが領主として働くなら、そんなに文句は出せない。その後は良い案があるんだ」

「ゴッセの顔が気持ち悪いくらいの笑顔だな・・・嫌な予感しかしない」

ホプキンスの溜息に同意するように、スタンツェも息を吐きだす。


「まぁまぁ、そう言わずに、しばらくは茶番に付き合ってよ。皆が暮らしやすい国にしたいんだ」

「そこだけは本当に達成してくれよ。俺だって覚悟決めてここに来たんだ」

「うん、分かってる。じゃ、ホプキンスは次期領主、コッヘルは暫定的領主、俺たちと金の亡者団はその下で馬車馬の様に働くってことで」

「各大臣と副大臣と言うことだね」

ラスパがうまくはなしをまとめた。


「平民が大臣ってのも大概おかしいからな」

「諦めて付き合ってくれよ」

「あー分かったよ!やってやるよ」

ツッコミを入れたのだが、結局はホプキンスが折れる形になった。

あいつ、ほんと優しいやつだよなー。



なお、ホプキンスは全ての約束が果たされ、一期五年の新制度の中、二期十年領主を勤めた。

東の国の特別自治領『西の国』で最初の平民出身の領主となる。

退職の日に残した言葉は「良いか、俺には連絡してくるなよ。俺は休みたいんだ」であった。


彼が金の亡者団を作ったきっかけは、孤児を見捨てられず面倒を見るためでした。

いつかサブキャラのストーリーも描けたら良いなぁ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

連日23時アップ予定です。

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